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『腎の構造と機能から学ぶCKDの病態』の目次です。
2日目ヒトは細胞内液に原始の海を細胞内液には太古の海を持っている:
5日目:最終的にアルブミンを漏らさない糸球体の濾過障壁は何?
6日目:糸球体の仕事をまとめ、糖尿病性腎症の進展について考えてみよう
10日目:蛋白尿(-)のCKD患者の血圧の下げすぎには要注意
15日目:レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系阻害薬の使い方
17日目:non-steroidal MRAフィネレノンの快進撃
18日目:集合管は尿量を最終的に決める~主役は水を保つADH~
19日目:水利尿薬としてのサムスカⓇ(トルバプタン)の作用機序と使い方
25日目:フロセミドは浮腫改善作用を持つ利尿薬であり、サイアザイドは利尿降圧薬
26日目:アルドステロン分泌異常疾患、ADHの分泌異常疾患による血清Na値異常
腎の構造と機能から学ぶCKDの病態
28日目(最終回):まとめの理解度テスト
問 題
問1.Naを保持して体液減少を防ぐのはなに?1つだけ選べ
①アルドステロン ②抗利尿ホルモン ③Na利尿ペプチド
問2.水を保持して体液減少を防ぐのはなに?1つだけ選べ
①アルドステロン ②抗利尿ホルモン ③Na利尿ペプチド
問3.体液量減少を感知して血圧を上げるために分泌されるものは?1つだけ選べ
①レニン ②アンジオテンシンⅡ ③アルドステロン
問4.Naを保持して体液減少を防ぐホルモンを抑制して利尿作用を示す薬はなに?
問5.水を保持して体液減少を防ぐホルモンが作用する受容体に拮抗して尿量を防ぐ薬はなに?
問6.高カルシウム血症による脱水には以下のうち何を摂取すべき?1つだけ選べ
①水を飲む ②OS-1を飲む
問7.フルマラソンに参加し完走した市民ランナーによる脱水には以下のうち何を摂取すべき?1つだけ選べ
①水を飲む ②OS-1を飲む
問8.ネフローゼ症候群によって血清Na濃度が132mEq/Lに低下した。この時の治療法は?
問9.ARNIとACE阻害薬の併用はあり?
問10.①血漿、②間質液(細胞間液)、③細胞内液、④体内水分量、⑤細胞外液量はそれぞれ体重の何%?
問11.以下の血清電解質濃度の正常値を言え
①血清Na濃度、②血清K濃度、③血清Ca濃度、④血清P濃度、⑤血清Mg濃度、
⑥血漿HCO3–濃度
問12.以下の正常値を言え
①心拍出量/分、②腎血流量/分、③糸球体濾過量/日
問13.糸球体細動脈をボウマン嚢の中で束ねているのは何細胞と何組織?
問14.下記の()内に適切な数値を入れよ。
ヒトは最も薄くて(①)mOsm/Lから最も濃くて(②)mOsm/Lの尿を作ることができる。
問15.ヒトの ①尿中正常Na濃度、②尿中正常水素濃度、③尿中正常Ca濃度、④尿中正常リン濃度 をいえ
腎の構造と機能から学ぶCKDの病態
27日目 発汗によって脱水になったら、
どうやって水分の喪失を防ぐ?
~ADHとアルドステロン、ANP/BNPの違い~
尿量は最終的に集合管で決められる。脱水にならないための主役は昇圧系の代償機構の代表であるRAASのアルドステロンとともに、抗利尿ホルモンADHで、これらが尿量を減らすことによって脱水を防いでくれている。ついでに言っておくと、降圧系の代償機構の代表であるANP(心房性Na利尿ペプチド)やBNP(脳性Na利尿ペプチドだが実際には心室で分泌されている)は心房・心室から分泌され、集合管でのNa再吸収を抑制している(図1)。これはANPやBNPの分解を阻害するサクビトリル/バルサルタンというアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)の快進撃によって心・腎保護作用が注目されている。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
腎の構造と機能から学ぶCKDの病態
26日目 アルドステロン分泌異常疾患、
ADHの分泌異常疾患による血清Na値異常
高ナトリウム血症と低ナトリウム血症
血清Na濃度の正常値は135-145mEq/Lだが、症状は120 mEq/L未満、あるいは160 mEq/L以上になってから起こる。高ナトリウム血症と低ナトリウム血症の症状はよく似ている。「どちらも悪心・嘔吐、倦怠感、意識障害、痙攣と覚えよう。高ナトリウム血症になって意識障害を起こしたのか、低ナトリウム血症になって意識障害を起こしたのかは患者の原因疾患やシチュエーションを見ればわかる。」と熊本大学の学生には教えていた(図1)。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
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25日目 フロセミドは浮腫改善作用を持つ利尿薬であり、
サイアザイドは利尿降圧薬
フロセミドは浮腫改善薬であって長時間作用型ループ利尿薬とは異なる
ループ利尿薬の中のフロセミドだけは半減期がほぼ1時間以内と非常に短いので、まさにフロセミドこそ「利尿薬」という名にふさわしいと思う。フロセミドの場合、細胞外液量は治療開始後数日の間に失われたナトリウムの量だけ減少したままである。サイアザイド系利尿薬では、最初の塩分と水分の喪失の後、一般的に塩分と水分の平衡が一定期間保たれ、細胞外液量が基礎値に近く(ただし、基礎値には達しない)戻る。この二次的な反応のメカニズムは明らかではないが、ループ利尿薬によるヘンレループからのNaCl排出量の増加は、遠位尿細管と皮質尿細管の肥大とNa再吸収能の増加につながることが示されているが、サイアザイド系利尿薬では、排出量の増加とそれに続く肥大反応は皮質尿細管に限られると考えられている。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
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24日目 サイアザイド系利尿薬再び
話をサイアザイドに戻そう。
サイアザイド系利尿薬のタンパク結合率はフロセミドほどは高くないが、おそらく尿中排泄性薬物で、効果を発揮するには腎尿細管の内腔に到達しなければならない。この過程は近位尿細管の有機アニオントランスポータによって媒介される。したがって、腎機能が低下している場合には、より多くの利尿薬を尿中に排出するために投与量を増やさなければならない。腎不全患者では効果が乏しくなるのであまり使われない。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
腎の構造と機能から学ぶCKDの病態
23日目 利尿薬について誤解していない?
利尿薬への誤解~利尿作用は1~2週程度しか続かない?~
ナトリウム利尿薬について解説したい。すべて尿細管に作用して尿量を増やす薬だ。15日目、16日目にMRA、19日目に水利尿薬トルバプタン、21日目にARNIについて解説したので、今回は肝腎のサイアザイド系利尿薬・ループ利尿薬の本流の利尿薬について解説しよう。大まかにすべての種類の利尿薬の尿細管での作用部位について簡潔にまとめると図1のようになる。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
腎の構造と機能から学ぶCKDの病態
22日目 Fantastic Fourの効果と使い方
RAS阻害薬→β遮断薬→MRA→RAS阻害薬をARNIに変更→SGLT2阻害薬の順でなくっちゃ駄目?
慢性心不全治療ガイドライン2010の時点では、リスク因子はあるが心不全症状・病理所見がないACA/AHA分類Stage Aの時点でACE阻害薬かARNなどのRAS阻害薬を投与し、心疾患はあるが身体活動に制限がないACC/AHA分類Stage B またはNYHA分類ClassⅠではβ遮断薬の投与が推奨されており(20日目図4を参照)、症状が出始めてからの薬物療法は利尿薬、MRA(この当時は抗アルドステロン薬)を徐々に追加していくというスタイルであった(図1)。まだARNIやSGLT2阻害薬がなかったころの話だ。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
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21日目 サクビトリル/バルサルタンってどんな薬?~新規心不全治療薬ARNIの快進撃~
PARADIGM-HF試験~圧倒的な心保護作用で早期終了~
2014年に報告された駆縮率の低下した心不全HFrEF患者約8,400人を対象としたPARADIGM-HF試験において、対照薬のエナラプリルと比較して、主要評価項目の心血管死亡・心不全入院(複合エンドポイント)を20%抑制した(ハザード比0.80: 95%CI: 0.73-0.87; P<0.001 図1)。この試験はサクビトリル・バルサルタン群の圧倒的な利益のために中央値27カ月で早期中断となったが、これはすでにHFrEF患者の予後改善効果がすでに報告されているエナラプリルとの比較結果であるだけにさらに興味深い。PARADIGM-HF試験での有害事象としてはエナラプリル群に比し低血圧発症が多く、収縮期血圧90mmHg未満になった患者数も有意に多かったが、低血圧が多かったというよりも降圧作用が強力だったと言い換えることができるだろう この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます