半減期の短いSGLT2阻害薬は夜間頻尿を起こさない?
多くのSGLT2阻害薬の血中消失半減期は10時間以上であるのに対し、デベルザⓇ(トホグリフロジン)の半減期だけが約5.4時間と短いです(図1)。このことから複数の薬剤師・医師がトホグリフロジンは不眠の原因となる夜間頻尿になりにくいことが利点だと言っています。そのことを日本語論文にしている医師も複数いますが、 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
SGLT2阻害薬は近位尿細管、つまり腎臓に作用する薬なので、腎機能が低下すると効きにくくなりますよね。じゃあ腎機能低下例への投与はどれくらいまでが許容範囲で、eGFRがどれくらいで疑義紹介すべきでしょうか? この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
③心保護メカニズムは心筋リモデリング抑制、心筋収縮性改善、電解質恒常性維持、利点は主要心脳血管イベント減少、心血管死減少、心不全入院減少
SGLT2阻害薬の心保護作用は僕のイメージとしては腎保護作用ほど強力ではなく、30%程度だと感じています。CKDも慢性心不全も基本的に改善することはなく、進行を緩徐にすることしかできませんが、心不全の場合には適度な運動や薬物治療によって症状が良くなってNYHA分類がよくなった、あるいはBNPやNT-proBNPの値が この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
②腎保護メカニズムは尿細管糸球体フィードバックの是正、浸透圧利尿・Na利尿、利点は急性腎障害の発症抑制、アルブミン尿軽減、eGFRの悪化速度緩和とそれによる透析導入防止
この論文を書いたEvans先生は糖尿病医なので、オリジナル文献では「浸透圧利尿・Na利尿」が先頭、その次が「尿細管糸球体フィードバックの是正」になっていましたが、これは明らかに違和感があるので順序を変えました。「浸透圧利尿・Na利尿」はむしろ心保護メカニズムのトップにしてもいいと思っていますが、利尿作用 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
①糖尿病の進行防止のメカニズムは尿糖増加、糖毒性軽減、脂質異常改善、利点はHbA1c低下、血圧低下、体重減少
平田自身の抱いているイメージは糖尿病に関してはHbA1cを1.0足らず下げる程度で強力ではないし、SGLT2を完璧に阻害してもSGLT1がその分、頑張ってしまうので、SGLT2阻害薬の尿糖排泄作用は糖質を1日200~400kcal(炭水化物50~100gなのでご飯をお茶碗1~2杯分)摂っていなかったくらいにしかなりません。だから痩 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
いやはや、とんでもなく良く効く薬が現れました。その薬は皆さんご存じのSGLT2阻害薬。ブドウ糖は腎糸球体でろ過されますが、重要な栄養素であるため尿細管で100%再吸収されるので、健常者では尿糖は排泄されませんが、SGLT2阻害薬はブドウ糖の再吸収を阻害して尿糖を増やす薬なので、血糖値を下げる糖尿病の薬として発売されましたが、安全性試験で「強力な腎保護効果、心血管合併症の発症を抑制する効果」が認められ、期待した製薬メーカーは次つぎと大規模無作為化比較試験に打って出ました。そして現在では①糖尿病治療薬だけでなく、②CKD治療薬、③慢性心不全治療薬のそれぞれ切り札的な役割をする、安全で強力な作用を示すことが明らかにされました。
まずは図11)をご覧ください。真ん中に示されている図はブドウ糖が腎糸球体でろ過され、重要な栄養分であるため近位尿細管で再吸収されますが、その再吸収するトランスポータSGLT2を阻害するので、ブドウ糖の近位尿細管からの再吸収が抑制され、尿中のブドウ糖排泄が促進されることがまとめられています。それによって血糖値・HbA1c値が下がり糖毒性が軽減され、糖質制限をしたのと同様な効果(体重減少、脂質異常改善、血圧低下)、それに付随して心血管病変(CVD)の発症率を抑えます。
ではそれぞれの作用メカニズムと利点について明日から探ってみましょう。内容はEvans1)らの論文をもっとわかりやすいよう、アレンジしています。
引用文献
1)Evans M, et al: Diabetes Ther 2022; 13: 889-911
『SGLT2阻害薬』のテキスト(PDF)ダウンロードができます。
2021年12月22日、20時より2時間、株式会社ネクスウェイの主催するアスヤクLIFE研修会に783名登録していただき、多くの参加者の方々から質問をいただきました。これらの質問及び回答を、司会進行していただいた株式会社バンブーの松村歩美様からご承諾いただき「平田の薬剤師塾」の画面上で回答させていただきます。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
SGLT2阻害薬による心腎保護作用と急性腎障害抑制作用~ケトン体って何よ?~
9日目(最終回)
SGLT2阻害薬の腎保護作用・心保護作用のまとめ
この辺でSGLT2阻害薬の心保護・腎保護作用における多面的な作用についてまとめてみましょう。これまでに解説しきれていなかった初見のものも含まれます。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます