2018年12月

 2019年11月17日(日)のランチョンセミナー後に、立川志の春さんの独演会を予定しています。この方、経歴がものすごいです。大阪府出身の帰国子女で、フォード、ブッシュ父子、クリントン、ヒラリーも卒業したイエール大学卒です(東大どころじゃない!)。大手商社に就職し、2002年に26歳でNHKの「がってん」でおなじみの立川志の輔に弟子入りしました。たまたま入った落語会で志の輔の落語を聞いて、「これだ!」と思ったらしいのです。2011年に9年かけて二つ目に昇進。現在は得意の英語で演じる古典落語で世界中を飛び回っていますし、東京では結構、革新的な催しをやっています。
 僕は志の春さんのやっている英会話と落語のラジオ番組をPodcastで聞いていましたし、たまたま聞いた英語落語がものすごく面白かった。いや、その後に聞いた日本語の落語も古典も新作もすごく面白かったのです。まだ真打じゃありません。立川流、特に師匠の志の輔さんは非常に厳しいのです。年功序列ではなく実力がなくては二つ目にだってなれないのです。でもその辺の「真打」と称している落語家さん、テレビでよく目にする有名な落語家さんよりも古典も新作も志の春さんの方が圧倒的に面白いと僕は思っています。20181226.jpg
 僕は関西に長いこといましたので、上方落語が好きでした。桂米朝さん、枝雀さん、文枝さん、みんな大好きでしたが、東京の落語家は粋なだけで面白くないと信じていました。でも志の春さんは本当に面白い。その師匠の志の輔さんは毎年熊本に来ておりまして、ようやく2018年の10月に県立劇場で見ることができました。この方はやはり師匠だけあって別格!なにをやっても面白いし味がある。奥深い。「東京の落語は粋なだけで・・・」なんて、志の輔さんをみてから絶対に言えなくなりました。
 そうです。いい落語はいいのです。奥深いです。味があります。300年続いた日本の大切な文化です。志の春さんをみんな知らないかもしれないけれど、絶対に面白いから、そして落語という文化に触れていただきたいから熊本まで来ていただきます。乞うご期待です!

HPはこちらから→第13回日本腎臓病薬物療法学会学術集会・総会HP

 僕は40歳になってからまともな薬剤師、つまり服薬指導するために病棟に行って臨床経験を積むことのできる薬剤師になれた遅咲きです。でもその臨床が最初のうちはさっぱり分からない。薬物動態も、病態についてもからっきし力がないことを思い知らされました。
 その時に僕を救ってくれたのが図書館です。大阪市立図書館には専門書も患者向けの本もたくさんありました。動態については廃版になっていた日本の臨床薬理の父と言われていた石崎高志先生(元熊本大学薬学部教授)「循環器病薬の臨床薬理」をはじめとした名著を借りて読むことができましたし、腎臓以外の苦手な分野については患者向け、ナース向けの本を借りました。20181219_1.jpg最新の学会誌を読んでも、新しいことしか書いていないから、かなり力がつかないと読んでも無駄ですが、患者向け、ナース向けの本はわかりきったことしか書いていない。つまりよくわかっていないことは書いていないから、とってもわかりやすいのです。患者向け、ナース向けの本で僕はジェネラリストになれました。
 それともう1つは白鷺病院の図書室です。その当時は英語論文が熊大図書館以上にたくさんありましたし、腎臓関係の臨床雑誌は10以上ありました。その中で目を付けたのが電話帳のような「BrennerのThe Kidney」、「Seldin, GiebischのThe Kidney」、「Scribner, GottscharlkのDisease of the kidney」です。どれも2~3冊組。厚さにして3冊で20cmくらいあります。それらの英文教科書の巻末には腎機能低下時の薬物動態と腎機能別薬物投与量一覧が載っているのです。それを白鷺病院の医薬品集に入力し、薬物動態に関しては自分で訳してノートを作りました。そしてその中で分かりやすい図表は自分でアレンジして3冊の本のエッセンスをまとめた「自分ノート」ができたのです。20181219_2.pngそれをもとに自分の臨床経験も交えて日本では誰も書いていなかったことを著したのが月間薬事の連載「透析と薬物療法~投与設計へのアプローチ~」であり、それをまとめた「透析患者への投薬ガイドブック」です。この本は難しくありません。だって僕はダメ薬剤師だったからこそ、その立場が分かっていたので、難しい書き方を一切やめて、英文を訳したものの、内容は自分の臨床経験や体験した症例を加えて非常に「わかりやすい本」が書けたのだと思います。これで僕は「透析と言えば平田」と言われるようになりました。でもその狭い範囲がコンプレッススに感じたので、その後は頑張って幅広く「腎臓と言えば平田」と言われるよう、間口を広げる努力をしました。これが僕のスペシャリストへの道です。

※写真右上:初めての書籍「透析患者の投薬ガイドブック」

※写真左下:僕をスペシャリストにしてくれた英文の専門書

朝まで平田塾

 熊本では熊大で育薬フロンティアセミナーを4週連続開催する「平田塾」を毎年やっていますが、中には福岡や鹿児島から聞きに来てくださる方もいらっしゃいますし、他府県の人も「参加したい」という声を耳にします。でも熊本大会で平田塾をやるとスケジュール表があふれてしまうので、金曜日の夜から理事長講演「朝まで平田塾」を開催します。実は朝までやりません。「朝まで」という意気込みで、夜5時から10時までに薬剤師なら知っておくべきことを有料テキスト付の完全予約制で4つの演題に集約します。そして少しサプライズな企画も用意しているところです。
 平田が講演を聞かせてあげるなんて気はさらさらありません。平田がしゃべりたい、語りあいたい、語り尽くしていないから、心おきなく伝えたい。だから気持ちの上では「朝まで平田塾」です。2019‗4.png自分の持っているものすべてを伝えたいし、初心者にも腎臓病薬物療法に興味を持ってもらいたい、分かってもらいたい、今までよくわからなかった人にもわかってもらいたい。難しいことは翌朝の大会長講演でお話ししましょう。
 「夜がとても短すぎて、愛を語りつくせない」は風のファーストアルバムに入っている伊勢正三さんの名曲「お前だけが」の歌詞ですが(平田は風オタクです。仲間とよくコピーしました)、2日間じゃとても短すぎるので金曜日の夜にスタートします。

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◆まずは好きになる努力が大切
 何も知らなければ、取り残されて、つらくなる。だから少し努力しても最初に勉強しよう。そうすればみんなよりできるようになる。みんなよりできるようになると楽しくなる。苦痛じゃないので好きになる。好きになったら夢中になれる。夢中になれる人を他人は「オタク」という。オタクは天才に勝てるのです。そうすれば普通のあなたが他人から天才と呼ばれるようになるのです。それは痛快でしょ?
 まとめましょうか。まずは1つの薬、1つの病態について詳しく知りましょう。それに関する分かりやすい日本語論文を2~3読んでみるだけでいいのです。それだけであなたはその薬局でトップの知識人になれます。うれしくなって主だった英語論文を読むとあなたは県下で有数の物知りになれるはずです。学会で専門家に質問もできるようになりますよ。それをもとにどんな研究をすればよいかが分かるようになって自分で論文を書く。そして日本語論文に飽き足らなくなれば英語論文を書く。これであなたは日本で有数の臨床研究者の仲間に入るのです。
 最初の「好きになってみる」ために、ちょっとだけ努力をしましょう。その努力は「さし水」や潤滑油のようなものです。ほんの少量でこれからの情報量を増やしてくれるもとになるのです。

◆疲れたら休む
 疲れたら休む。眠くなったら眠る。眠くないけどやる気が起こらないときにはスポーツジムで汗を流す。ギターを弾く。要するに気分転換も大切です。やる気もないのにやったって成果が出るはずもないのです。
 その代わり眠れないようなくらい夢中になって仕事ができて、翌日が休みなら朝まで頑張る。これが僕の仕事のコツです。僕は仕事に夢中になると頭が冴えてくるので、土曜日はほとんど朝帰りです。

◆待ち時間を有効に
 待ち時間は無駄だと思っています。何か自分の成長につながることをやりましょう。英会話をスマホで聞いてもいい。気持ちを落ち着かせるために音楽を聴くのもいい。もちろんいろんな書物も読める。
 僕は電車の中では論文を読んでます。なぜか机の上で読むよりも頭に入りやすいのと、新しいアイデアが生まれやすいのです。これは僕の場合、電車の中が適した環境ですが、人によってはスタバやドトール、マックの方が落ち着く人もいますし、図書館やネットカフェの方がいい人もいるでしょう。

◆フレキシブルに時間を使いこなせ
 朝9時から夕方5時までのコアタイム。これはできれば守りたいのですが、本来ならば職場にいた時間ではなくて成長できるときに成長しよう。別に朝早くでも夜遅くでも構わない。僕は断然夜型なので、帰るのはほぼ12時。仕事が好きだから(それと不器用だから)12時までいるんですよ。いやだったら早く帰るしかない。
 だけど職場と家の往復だけじゃ息が詰まりそうなときもある。だから友達の誘いはできるだけ断らないし、嫁とランチやディナーはできるだけ出かけるようにしてる。気分転換も大切です。そして良いアイデアは机の上以外のところで発生しやすいのです。トイレ、スポーツジム、通勤時、野球観戦時などなど。だから僕はポケットメモをいつも持っていて、それをすぐにメモると、結構いいアイデアや名言が生まれてきます。

◆ストレスを抱え込まないで
 一喜一憂って言葉があるけど、1つ1つのことに敏感に反応すると、ストレスでつぶされそうになります。
 仕事は抱えすぎるとパニックになります。仕事を貯めないようにするコツはない。いやな仕事も早くこなすしかない。溜まった仕事に追われると仕事は苦痛に変わる。でも仕事を1つ1つ終え、自由な時間を作ると、これからは自分から仕事を追えるようになります。
 言っていること分かりますか?仕事を中途半端にしておくと、中途半端な仕事を何回も繰り返さなくちゃいけなくなる。飽きてしまうような仕事を何度も繰り返すのはストレスフルでとってもつらいことなのです。15430928_s.jpgだけど予習は未知のことなので、ワクワクドキドキします。つまり自分から仕事を追える、こんな楽しいことはないのです。そして予習しておけばスタートラインから他人に勝っている。予習は知らず知らずのうちに好きになる努力をしていることと同じなのです。これをする人はいい意味での「オタク」です。天才よりすごいのです。

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

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