2023年2月

 僕はこれまでにも関西腎薬や熊本腎薬を結成してきました。そしてそれらの講演会では必ず講師の先生には若手の薬剤師に質問してもらっていました。僕が若かったときには講演会を聞いたときに誰からも質問がなければ、たとえ知っていることでも知らないふりをしてでも必ず質問をしていました。だって何の質問のない講演会なんて、全然面白くないし、講師に失礼だからと思っていましたから。

 今回の薬剤師塾では、久しぶりに女性の先生(名前は出しませんが、覚えていますよ)が薬剤師塾で勇気を振り絞って(たぶん)、質問してくれました。本当にありがとうございます。すごく感謝しています。顔を見せて、質問するって恥ずかしいかもしれないし、誰も何も言わない中で1人だけ、声を出すって、本当にやりにくいですよね。だって日本人ってみんなと違うことをやるっていうことを容認しづらいヘンな国だから。

 でも誰もが黙って、みんな何を考えているのかわからないっていうのはおかしいとは思わないですか?聞きたいことがあったら、「チャットやアンケート欄に書いたらいつでも答えてくれるんだから、声に出さなくてもいいじゃん」という考えは、いいかげんもうやめにしないですか?チャットやアンケートの短い質問内容じゃ症例の全体像がつかめないから、クリアカットな答えが出せないこともよくあります。症例の薬物療法について聞かれることがよくありますが、もしもその症例が90歳以上だったら?飲んでる薬が10種類以上あったら?血圧が異常に低かったら?心拍数が120/分以上だったら?BMIが18以下の痩せた症例だったら?によって答えは大きく変わるかかもしれないのです。でもディスカッションして言葉のキャッチボールをすればそのような情報があるかないかくらい、分かるじゃないですか。

 「薬剤師塾」っていう名前を付けたのは一方向性の講演・講義とは違って、講師が身近にいて、何でも聞きたいことが聞ける、講師がおかしなことを言っていたら「それは間違ってる!」と言い返せるような熱いやり取りができる場、つまり単なるレクチャーではなくインタラクティブなものにしたいからです。そうすれば若い人、初心者の人もいつかその熱いディスカッションの輪の中に入ってみたいと思ってくれて、そのために勉強しようと思うようになればいいなと思っています。そして、いずれは若い人たちが僕に代わって薬剤師塾の講師を務めてくれるようになるように育ってくれたら、なおさらいいなと思っているからです。

 これからも皆さん、お願いですから黙ってないで、気軽に声に出して質問をしてくれませんか。「薬剤師塾」を盛り上げるためにも。一方向性のレクチャーでは教科書を読むのと一緒で、面白みがありません。「本当にわからないこと」を本当に知りたい人たちのために、「薬剤師塾」はあるんだと思ってください。お願いします。

 でもこんなことを言うと、チャットすらできない雰囲気の講演会になってしまうのは最悪です。いずれ声を出して聞きたいけれど、今はやっぱり声を出す勇気が今はないので、という方はチャットでもアンケートでもいいですから、質問してください。何にも出てこない薬剤師塾はやっても意味ありませんから。意味のない薬剤師塾であればやめた方がいいですから。

第 22回 基礎から学ぶ薬剤師塾 Q&A
慢性心不全とその治療薬
~これからはFantastic Fourの時代~

 


チャットでの質問


荒木脳神経外科病院薬剤部 戸田智美先生

Q.脳梗塞患者への持参薬継続としてSGLT2阻害薬の継続は可能でしょうか。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます

努力って辛いよね、頑張るって辛いよね。

 努力って辛いよね、頑張るって辛いよね。でも頑張らなくては一流な薬剤師にはなれない。 その以前に薬剤師の仕事を面白くないと思っていては一生懸命にはなれない。

面白いからこそ頑張れるんだ。

興味を持つからこそ一生懸命になれるんだ。

 でも患者さんや他の医療者を好きになれない人はどうやっても、 薬剤師の仕事を面白いと思うことはできないだろうね。仕事が面白くなるための努力、 いや努力じゃなくてちょっとした工夫、呼び水のようなものかな?これはちょっとだけ必要だと思う。

 第23回 基礎から学ぶ薬剤師塾 2023年3月11日(土)13:30から15:30まで の申し込みを始めます。

 登録していただいた方は再放送を繰り返し視聴できますが、再放送は質疑応答はできかねます。今回のテーマは「高齢者薬物療法と薬物動態の変化」です。

 
 加齢とともに生理機能は低下します。その中で顕著なのが呼吸機能、心機能、そして最も低下しやすいのが腎機能です。また加齢とともに併発疾患も増え、薬の種類も増えますが、それに伴い薬の有害反応が起こりやすくなります。だからトリプルワーミー処方、特にNSAIDsで腎機能が悪化するのは若年者では非常にまれで、ほとんどが高齢者です。そして最近の「適正使用のお願い」では「小柄な高齢女性」に副作用が極めて高頻度で起こっています。

 腎機能など薬物動態に応じて、薬物投与設計をするのは薬剤師の重要な役割ですが、寝たきりなどの活動度の低い高齢者の腎機能は、血清クレアチニンを測っても絶対値としてはほとんど意味ありません。そして利用できる薬物動態パラメータの情報はほとんどが若年成年男子のものであるため、高齢者ならばどのように変化するのかを考慮したうえで投与設計するのも薬剤師の極めて重要な役割です。世界で類を見ないほどの超高齢者大国になっている日本での今、高齢者薬物療法は非常に重要な課題なのです。

 まずはこれらの作用機序、副作用の対処法、各々または併用時の有効性のエビデンス、投与する順序などについてしっかり把握することから始め、Fantastic Fourによる有効性をより高め、安全に使用するキーパーソンとして薬剤師は必要不可欠だといえるようになれればと思っています。

 参加を希望される方は 申し込みフォーム に記入のうえ、送信してください。

 薬剤師塾となっていますが、医師・看護師など医療従事者であれば参加可能です。ただし薬剤師塾への参加者は、ぜひ学会発表を目指している方に参加していただきたいと思います。そして活発なディスカッションに参加して薬剤師塾を大いに活性化いただける方に参加していただきたいと思っています。そしてその先には原著論文を書くんだという大きな夢を持つ人になっていただきたいと思います。300名まで参加可能ですが、最近の登録者数は200名を超えていますので、早めに登録してください。

 

 

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

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