2015年12月

 14日目、いよいよ最終回です。実測CCrに0.715をかけるとGFRとして評価できます。Cockcroft-Gault式から算出された推算CCrに0.789をかけるとGFRとして評価できるとCKD診療ガイドライン2012に書かれています。でもちょっと待ってください・・・・・。


【 附則2 】

高齢者のeCCrEnzには0.789をかけない。 eCCrEnzに0.789をかけるのは若年者のみである。

  腎機能が加齢による影響を受けやすい、つまり若年者では高く(GFRよりもCCrが高いのは当たり前ですからこれは問題ありません)、後期高齢者では低い(CG式では1年に約1mL/minずつ低下しますが、実は平均的な日本人の腎機能は加齢によってそんなには低下しないことが分かっています; 図110)という特性を持っていることを理解する必要があります。若年者では推算CCrは腎機能を過大評価してしまうので、0.789倍してGFRとして評価する必要があります。高齢者では腎機能を過小評価しがちですので0.789をかけるべきではありません。実際には入退院を繰り返す高齢のフレイル症例は、健康で入院しない高齢者と異なり腎機能が低下していることが多いと考えられます。このような脆弱な患者さんにはCG式による推算CCrの方がeGFRよりも適していると言えるかもしれません。

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14日間に亘るブログの内容をまとめたものは下記URLからダウンロードできます。

http://cms.softsync.jp/rinshoyakuri/blog/

 

 13日目です。病態によってCrの尿細管分泌が増えることが報告されています。このような疾患では血清Cr値が低下し尿中Cr濃度が上昇するため、腎機能が高くなりますが、GFR(イヌリンクリアランス)には変化がありません。つまり実際には腎機能はよくないのによく見えてしまう現象(腎機能の過大評価)が起こります。


【 附則1 】

ネフローゼ症候群などによる低アルブミン血症や糖尿病ではCrの尿細管分泌が増加し、腎機能を過大評価してしまう。

ネフローゼ症候群などによる低アルブミン血症ではCrの尿細管分泌が増加し、腎機能を過大評価する程度が大きくなります。ただし総タンパク濃度との相関性は低いです1)。また同様の現象が糖尿病でも報告されており、血糖コントロールが不良な糖尿病患者ではCrの尿細管分泌が増加して腎機能を高く見積もることがあることが報告されています2)。

引用文献

1)Branten AJ, Vervoort G, Wetzels JF: Serum creatinine is a poor marker of GFR in nephrotic syndrome. Nephrol Dial Transplant 20:707-711, 2005

2)Nakatani S,et al: Poor glycemic control and decreased renal function are associated with increased intrarenal RAS activity in Type 2 diabetes mellitus. Diabetes Res Clin Pract 105: 40-46,  2014

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「今日はここまで、それではまた次回お楽しみに!」

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)