2023年9月


平田塾 in Nagoya  2023年10月27日(金)18:00 ~ 21:00 参加費無料、事前登録不要!

 

 第17回日本腎臓病薬物療法学会の前日、10月27日(金)18:00~21:00 のたっぷり3時間(休憩時間あり)「平田塾」を開催します!

 昨年の日腎薬平田塾と同様、写真撮影・録画・録音OKです。
参加費無料、事前登録不要!興味のある方はぜひ参加してください。
僕も久々のライブ講演なのでオンデマンドと違い、アドレナリンがふつふつと沸き出て、きっと熱い講演になることと思います。

平田純生

※画像をクリックするとダウンロード(PDF)できます。

腎の構造と機能から学ぶCKDの病態

18日目 集合管は尿量を最終的に決める~主役は水を保つADH~


 腎の尿細管の最終部にあたる集合管は主細胞と間在細胞からなる。集合管主細胞にはアルドステロンによって活性化される上皮型Na+チャネル(ENaC)のほかにもカリウムチャネルやバソプレシンV2受容体(血管平滑筋や中枢にV1受容体もあるが腎臓には関与していない)とそれによって誘導された水チャネルaquaporin 2が発現している。集合管の主細胞に隣接して間在細胞が存在し,管腔側にプロトンポンプ(H+ -ATPase)を発現するα間在細胞と,Cl/HCO3 交換輸送体を発現するβ間在細胞とに分類される(15日目図1と図2を参照)。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます

腎の構造と機能から学ぶCKDの病態

17日目 non-steroidal MRAフィネレノンの快進撃



FIDELIO-DKD試験

 George Bakris先生が主導して行ったアルブミン尿陽性で、RAS阻害薬を用いて治療中のCKD合併2型糖尿病患者(詳細は微量アルブミン尿の糖尿病網膜症または顕性アルブミン尿のDKD)を対象にフィネレノンの効果を見たFIDELIO-DKD試験では複合腎イベント(末期腎不全発症、eGFR 40%以上の持続的な低下、腎臓死)のハザード比0.82(95%CI: 0.73~0.93、p=0.001)と腎複合イベントリスクを18%有意に低下した(図1)。フィネレノンはアルブミン尿を有意に軽減した(図2)。これはアルドステロンが糸球体のメサンギウムとポドサイトに、直接悪影響して足突起の剥離を促進して蛋白尿を増やすのをMRAが防いでくれているという動物実験の結果を支持する結果と言えるかもしれない。カリウムの上昇は平均0.25mEq/Lと軽微であったこともFIDELIO-DKD試験で明らかになり(図3)、懸念される高カリウム血症も従来の抗アルドステロン薬に比べると使いやすいと思われた。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます

腎の構造と機能から学ぶCKDの病態

16日目 かなりあくどいアルドステロン


 アルドステロンは実は、前述のように水や塩がなくても即死しないために、陸上生物にとっては必須のホルモンだった。血圧が低くては機敏に動くこともできないために容易に猛獣に襲われしまうし、水が得られない場所で遭難しても水・Naを保持することによって生きてゆくためにはアルドステロンは必要だったのだが、人類の生活が豊かになって豊かで平和な世の中が続き、肥満・飽食・塩分を過剰に摂取するようになると、アルドステロンの主作用のNa・水の貯留による血圧上昇は高血圧などの生活習慣病にとって非常に危険なものに変わってしまった。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます

腎の構造と機能から学ぶCKDの病態

15日目 レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系阻害薬の使い方



陸上生活するうえでどうしても必要なシステム

 海で生まれた生物が進化をして、陸上生活をするためには水や塩がなくても生きてゆけるシステムが必要だ。循環血漿量の減少を感知した腎臓の傍糸球体装置からレニンが分泌され、副腎皮質でアルドステロンを産生してくれることによって、Naを腎臓で再吸収して尿中に出すことなく循環血漿中に保持することができる。細胞外液の喪失、つまり脱水(この場合、下痢・嘔吐・出血などによって起こるhypovolemiaまたはvolume depletionであって、高齢者に多いdehydrationではない:わからなかった人は8日目の図2参照)や血圧低下による腎機能悪化から守ってくれているありがた~い存在なのだ。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます

腎の構造と機能から学ぶCKDの病態

14日目 傍糸球体細胞による糸球体内圧の維持とレニンの役割



全身血圧が変化しても糸球体内圧が一定、腎機能(GFR)が一定に保たれているのはなぜ?

 薬剤師であれば「傍糸球体細胞(あるいは傍糸球体装置)からレニンが分泌される」という文言は何度か聞いたことがあるだろう。じゃあ傍糸球体細胞ってどこにあるの?これは読んで字のごとく「糸球体の傍(そば、わき、かたわら)」にある細胞だ(図1)。傍糸球体細胞は全身血圧が大きく変動しても健常者であれば糸球体内圧を50mmHgと一定に保ち、GFRを100mL/minに維持している。これらの調節には輸入細動脈、輸出細動脈の血流を調節して一定にするための傍糸球体装置における尿細管糸球体フィードバック(TGF: 6日目に説明済み)とレニン-アンジオテンシン系が関与している

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 第30回の「基礎から学ぶ薬剤師塾」は2023年10月20日(金)18時半から(20時半までの予定)です。

 基本的に第3金曜日の18:30に録画ではなくライブとなります。登録していただいた方のみ視聴できますが、ライブのみで再放送はありません。

 今回のテーマは前回、好評であった初心者向けシリーズの第2回目として初心者向けシリーズ② 2型糖尿病とその治療薬です。大学で学んだ薬物治療学ではわかりにくかった糖尿病のという病態と最新の薬物療法について、できるだけ分かりやすく解説したいと思っています。

 参加を希望される方は 申し込みフォーム に記入のうえ、送信してください。

 薬剤師塾となっていますが、医師・看護師など医療従事者であれば参加可能です。ただし薬剤師塾への参加者は、ぜひ学会発表を目指している方に参加していただきたいと思います。そして活発なディスカッションに参加して薬剤師塾を大いに活性化いただける方に参加していただきたいと思っています。300名まで参加可能ですが、最近の登録者数は200名を超えていますので、早めに登録してください。

 

腎の構造と機能から学ぶCKDの病態

13日目 近位尿細管の機能
~刷子縁膜構造を持ち、必要な栄養素を完全に再吸収し尿に出さない~


 近位尿細管上皮細胞の管腔側は図1左に示すような、大草原のような刷子縁膜(微絨毛ともいう)構造をしている。極性の高いアミノ酸やブドウ糖、ペプチドやアルブミンなどは身体にとって必要な栄養分だ。それらを尿中に排泄していたら、栄養失調になってしまうが、これらの栄養物は親水性なので細胞膜上にある脂質二重層を介して再吸収できないため、図1右の小腸の刷子縁膜構造と同様に、面積を広くして栄養物を再吸収できるよう、脂質二重層上に能動輸送をするためのトランスポータが豊富に埋め込まれている(図2)。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます

腎の構造と機能から学ぶCKDの病態

12日目 尿細管の名称と機能を知ろう


 腎臓は大量の糸球体濾過を行っている。「1.5Lの尿を作るのに150Lもの大量の原尿を濾過するなんて無駄なことをやってるな」と思ってことはない?でも健康な人の原尿産生量、つまりGFRが150L/日から半分の75L/日に減少するだけで、GFRは正常値の100mL/minから明らかにCKD患者と分類される50mL/minに低下する。ということはあと少し悪化しただけで30mL/min未満という不可逆的に悪化して重度腎障害患者になってしまい、徐々に高カリウム血症、高リン血症などの電解質異常、高窒素血症、アシドーシス、溢水、腎性貧血などの腎不全症状が次々と起こり、透析導入になってしまう可能性が高くなる。すなわち、150L/日(GFR100mL/min)という十分な余力がないと、速やかにCKDになり、不可逆的に腎不全へと進行してヒトの死亡率トップはがんや心臓病ではなく、猫(がんに次いで死因の第2位が腎不全)のように腎不全が主要死因になってしまうであろう。慢性腎臓病は基本的に良くはならない この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます

腎の構造と機能から学ぶCKDの病態

11日目 薬剤師の皆さん、イナーシャになってない?


 薬剤師のみんな、高血圧に対してイナーシャになってない?えぇ!「イナーシャ」を知らない?実は僕も4年前に高血圧ガイドライン2019を読んで初めて知ったんだけど(図1)。Clinical inertia(臨床的な惰性・怠惰)とは、治療目標が達成されていないにもかかわらず、治療が適切に強化されていないことだ。患者さんの問題を認識していながら、それを解決する行動を起こすことができずに医療人の惰性によって患者の症状が悪化することが問題になっている。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

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