イグアスの滝はほんとうにすごいらしい

 ピースボートに乗っている人たちは旅のベテランが多く、その人たちからいろんな情報を耳にします。世界3大の滝、つまりナイアガラの滝、アフリカ大陸のヴィクトリアの滝、そして南米のブラジルとアルゼンチンの国境にあるイグアスの滝(写真1)を僕はどれも見たことがありませんが、3つとも見たことがある、あるいはそのうち2つを見たという方が少なからずいるのです。その人たちの意見を総合するとナイアガラは広いだけで高さがない、ヴィクトリアの滝はナイアガラよりもすごく水量も多いが、やっぱり一番衝撃的なのはイグアスの滝ということで一致していたと思います。アメリカのエレノア・ルーズベルト大統領夫妻がイグアスの滝を訪れた際、夫人が「My poor Niagara… (かわいそうなナイアガラ…)」と言ったとか・・・・。調べてみるとアルゼンチン側にある最大の瀑布である「悪魔の喉笛」は高さ82m、幅150mのU字型で長さ700mに亘ります。

 ただしピースボートのイグアスの滝のオプショナルツアーは1人50万円以上と、とても高いのと、日本人ツアーガイドがいるのではなく、英語ツアーガイドの翻訳してくれるスタッフが1人いるだけで、その人の持っている旗に数十人がついていくのです。僕はマチュピチュのツアーを自分でネット予約したので、僕たち2人だけのためにマチュピチュにとっても詳しい英語ガイドのウォルターさんが2日間同行をしてくれました。だからとても安く楽しめ、勉強することができました。

 

船内でイグアスの滝のツアーを予約したが、行けず残念無念~

 大自然の大好きな僕たちはイグアスの滝に行きたい!という気持ちが募り、そのため旅に出てから、つながりにくいインターネットをつなげて、①ブエノスアイレス発着のイグアスの滝2泊3日のコースの中でリーズナブルかつ、内容の濃いものをTripAdviserやExpedia、VELTRAなどのサイトを比較して予約、②滝の見学後にブエノスアイレスからリオにいる船に合流するためブエノスアイレス発、リオ着の飛行機をSkyscannerExpediaなどのサイトで比較して最安値のものを予約、③空港から近いブエノスアイレスの4つ星ホテルをExpedia、トリバゴ、Hotels.comを比較して1泊1人1万円ちょっとのものを予約(日本よりかなり安くて30㎡あるものもある)、という3つのステップを踏んで、イグアスの滝ツアーを自分で予約したのです。1日目は滝の数は少ないけれど、1つ1つの滝が大きいブラジル側から、そして2日目は大小無数の滝があって、「悪魔の喉笛」を上から見下ろすことがでるアルゼンチン側から滝を見に行くツアーです。

 ところが僕が大きなミスを犯してしまいました。ペルーのカヤオからマチュピチュに行くのには、飛行機に乗ったりホテルに泊まるため、ピースボートのレセプションに預けているパスポートが必要になりますが、それは前日にレセプションで申請すればよかったのです。だからブエノスアイレスに着く2日前にレセプションに行くと、「下船する寄港地の入港予定日5日前までに申請手続きをしないとパスポートは渡せない」というルールがあるということで強く断られました。まさに青天の霹靂ですが、乗員に配られた定款のような本には明記されているそうです(こんな本、渡されているけど誰も見ないはずです)。泣きそうになるくらいのショックでしたが、仕方なく旅程をキャンセルしました。30万円の金額が戻ってきません。でも後で、他の方から聞いた話では前日であっても、しつこく交渉したらパスポートをもらった人がいるそうです。これを聞いてより無念さが募りましたが、終わったことは仕方ないです。高い学習費を払って勉強させてもらいました。滝に行った人に聞くとみんな一様に「ほんと、すごかった!」と言っていました。ああ、残念!

 

リオのカーニバル狂騒曲

 船は2月7日にアルゼンチンの首都ブエノスアイレス、翌日にウルグアイの首都モンテビデオに1日ずつ停泊しました。ブエノスアイレスは観光地ではありませんが、8か国語の案内付きの2階建てバス(写真2)に乗って1周約3時間半で何度も乗り降り可能な観光バスに乗って市内を周遊し、夜には船内でアルゼンチンタンゴのショーを観劇しました(写真3)。南米では比較的安全なモンテビデオではゲバラも愛したというマテ茶のセットを購入し(写真4)、とてもおいしいチョリパン(牛肉野菜をパンで挟むサンドで、パンも炭火のような囲炉裏で焼く)という料理を楽しみました。

 でもこの旅のメインイベントは2月11日から13日まで停泊するリオデジャネイロです。リオのカーニバルの最大の催しであるサンバのトップチームによるパレードは、1部リーグの本選が1日6チームずつ2月の11,12日の2日にわたり開催されるのです。まさに世界最大の祭典のリオのカーニバルに参加するためにこのピースボートの南半球の旅行プランが建てられていると言っても過言ではありません。

 リオのカーニバルは夜22時から両側にアリーナ席(野球場の内野席みたいな座席でピースボートのオプションでは730,000円)、スタンド席(野球場の外野席みたいなコンクリートの座席でピースボートでは129,000円と高い)の間の700mの道路を1チーム85分かけて朝6時ころまでパレードをします(写真5,6,7)。山車、踊り、サンバのリズム、音楽など10項目によって審査され、最優秀チームを決め、最下位チームは2部リーグと入れ替えになるシステムです。僕は安い方のスタンドで見ましたが世界最大の祭典というだけあって、そりゃすごかったです。生涯で一番写真とビデオを撮りまくりました。サンバの強烈なリズムと唄、ダンサーの踊り、山車、花火、照明、たぶん1チームで数千人以上の行進など、そりゃ誰でも生涯に一度はみるべき価値があります。僕は午前3時くらいで、翌日の予定のことも考えて船に帰りましたが、何もなければ朝まで楽しんでいたかもしれません。

 リオデジャネイロは巨大なキリストの像(写真8,9)が絶壁の崖の上に立っていますので、その世界3大美港として景色の良さはよく知られていますが、危ない南米の中でもスリだけでなく強盗、ピストルを使った殺人もある「とびきり危険な街」でもあります。カーニバルがあるからなおさらかもしれませんが、港を出ると昔の大阪の


通天閣あたりのように、尿のにおいが強く、多くの人が半裸の状態でたむろし女性も男性も多くがTバック姿です。少人数で歩くと危ない街だということがすぐにわかりますが、街としては全長4kmで砂浜の幅も広いコパカバーナビーチや、有名なボサノバの曲「イパネマの娘」で知られるイパネマビーチなど、とてもきれいな白砂の海岸が続き、キリスト像のある「コルコバードの丘」から見える景色は絶景でしたし(写真10,11)、シュラスコなどの料理やフレッシュフルーツジュースはとてもおいしいですし、人々はとても陽気でエネルギッシュです(写真12)。

 

カラカス市民オーケストラとの別れ

 2月15日には南米最後の寄港地サルヴァドールに立ち寄り、バルパライソで乗船してきたベネズエラのカラカス市民オーケストラのメンバーがここで降りますので、前日の夜、さよならコンサートが開催されました。クラシックではなくマシュ・ケ・ナーダなど南米の名曲の数々や「未来へ(キロロ)」「愛をこめて花束を(Super Fly)」「世界に1つだけの花(SMAP)」などの日本曲も多数演奏していただき、最後には乗客との合同演奏・大合唱で会場は大きな拍手に包まれました。指揮者やメンバーも涙していました(写真13)。僕たちももらい泣きしそうでした。ほぼ3週間をピースボートのメンバーと共有(一緒に演奏、食事なども同じ場所で)できて友人になれたのは彼らにとっても私たちにとっても貴重で大切な時間だったのだと思います。

 

南米は黒人奴隷を使った資源の収奪と、ヒトの搾取の歴史

 ヤクルトの元監督のラミレスさんの出身地であるベネズエラは世界有数の産油国でありながら、非常に貧困に悩んでいる国です。ピースボートとの付き合いは長く、今も楽器や文具などを貧困国に寄付しています。南米は長い期間、スペイン、ポルトガルの植民地で、アフリカの黒人奴隷(これによって一部の富裕層がさらに裕福になった)を輸出入する中継基地として旧首都であるサルヴァドールは発展してきました。その歴史は資源の収奪と、ヒトの搾取の歴史と言ってよいでしょう。一部の大金持ちは自家用ジェットを持ち、メイドを多数雇い、ヘリコプターで出勤するような日本では考えられないような富裕層もいますが、ほとんどは1日の食糧を得るのもやっとの貧困層です。だから強盗や殺人がよく起こりますが、僕たちの接した南米の方はほとんどがとても明るく親切で、面倒見がよかったです。ペルーの港湾地区のカヤオで歩いていると「殺されるくらい危ないところだからここから速く立ち去るように」と親身でアドバイスをしてくれ、タクシーも手配してくれて僕たちは無事にピースボートに帰ることができました。彼らの親切を決して忘れません。

 

英語ツアーガイドとポケトークのすすめ

 これらの大都市でのツアーは、前もって予約しておかなくても港のそばにツアーガイドがあるので、英語の分かる人であれば英語ツアーに参加する方が、ピースボートの用意しているオプショナルツアーに参加するよりも内容も充実していて、価格も1/3~1/2以下とずいぶん安いです。南米ではホテルのフロントやツアーガイド以外で英語を話せる人はとても少なく、タクシーの運転手もレストランでもまったく英語は通じないことが普通です(How much?も通じない!)。しかもタクシーはメーター制よりも交渉制の方が多いのです。そこで大活躍したのがソースネクストが販売しているポケトークです(写真14)。スペイン語でも国によって単語などがかなり異なるので、55言語に対応しているポケトークを1つ持っていれば、とても便利です。

 ということで、今、船はサルヴァドールを旅立ち、8日間かけて大西洋を通ってアフリカ大陸の砂漠の国ナミビアに向かっています。

 

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

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