筆者は透析患者の便秘に関する研究1)2)3)やプレバイオティクスとしての作用を持つ下剤のラクツロースが腎不全モデルマウスで腎保護作用を示したという研究4)を介して腸内細菌叢microbiotaに興味を持った。今回は腸内細菌叢と腸管免疫について書きたいが、近年の免疫学の進歩は著しく、私の専門外なので、中には間違った記載や古い学説があるかもしれないことをご容赦していただきたい。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
以前の連載で「吸収率の低い第3世代経口セフェムってこんなに必要?」の時に現在、アレルギーや自己免疫疾患、様々な精神疾患などが急増しているのは腸内細菌叢の変化によるのではないかと書いた。しかしそれだけなら野菜や発酵食品をたっぷりと摂れば、あるいはプロバイオティクスとなる整腸剤を毎日摂取すれば済む話であるが、そんな簡単な話ではなさそうだ。これらの現代病が増えた理由について考察してみたい。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
今回の連載は抗菌薬シリーズの中に入れていますが、厳密にいうと今回は抗菌薬は出てきません。腸内細菌叢micobiotaと尿毒素uremic toxinの話、つまり「腸腎連関」の話です。ただし抗菌薬を投与すれば、腸内細菌叢は大きく変化するはずですから「抗菌薬」シリーズの中に入れさせていただきます。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
1.ジゴキシンとエリスロマイシン、テトラサイクリンの相互作用のメカニズム
ジゴキシンの代謝には腸内細菌が関わっているのをご存じだろうか?ジゴキシンとエリスロマイシンの併用によってジゴキシンの血中濃度が上昇するといわれている。添付文書には「エリスロマイシン、クラリスロマイシン、テトラサイクリンとの併用によって腸内細菌叢*への影響による本剤の代謝の抑制、あるいは、P糖タンパク質を介した本剤の排泄の抑制により血中濃度が上昇するとの報告がある。」とされているが、クラリスロマイシンはCYP3A4阻害薬でありP糖タンパク質の阻害薬であることは今となっては誰でも知っているが、テトラサイクリンにはそのような阻害作用はないはずだ。ではエリスロマイシンはどうなんだろう、というのが今回のテーマだ。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
2.クロストリディオイデス・ディフィシル(CD)腸炎を防ぐために
(5)CD腸炎はどんな人が罹患しやすい?
CD腸炎の院内感染に罹患しやすい患者は我々の経験のように①広域スペクトル抗菌薬が投与された患者がほとんどで、②高齢者(特に長期入院患者)、③胃酸分泌抑制薬のPPIやH2遮断薬投与患者ではCD関連下痢症のリスクが3倍高くなることが報告されており4)、PPIの服用で再発性CD腸炎を4.2倍になる5)。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
ホームページのタイトルを本日より変更します。題して「平田の薬剤師塾~薬のことを分かりやすく丁寧に~」です!
実は2020年3月に熊本大学を定年退職して、やる気満々で神戸に転居し、I&H株式会社の学術顧問として「平田塾」を関西でと意気込んでいましたが、コロナ禍のためなかなか、実施できませんでした。でも平田は肉体年齢40歳、精神年齢20歳という若さを保っており、非常に元気です。これからはホームページの力を借りて平田が長年培ってきた薬剤師力をぶつけてみたいと思います。
◆腎機能評価の10の鉄則(中級者向け)
このブログの中で一番多くの方に読んでいただき、
この内容に関する質問も一番多く いただいています。
◆育薬に活用できるデータベース
大学病院医学部の先生方がよく利用してくれているらしいです。
若い先生から感謝の言葉をいただくことがあります。
◆わかりやすい細菌と抗菌薬の話(現在連載中)
時には弱い広島カープのことをぼやいたりすることもあるかもしれませんが、基本的に薬剤師力をアップさせるためのコツ、知っておくべき知識のようなことを書いていきたいと思います。こうご期待!