サファリを楽しんだポートエリザベス

 ケープタウンを出港して翌々日の2月28, 29日の2日間はポートエリザベスに寄港です。港には何千台もの新車が欧州への輸出を待っていました。聞くところによるとポートエリザベスではフォード、フォルクスワーゲン、いすず、トヨタが車を生産しているとのことでした。ここは2日間の停泊のため、広大なワイルドサファリでアフリカの様々な動物をたくさん、自然のまま見ることができます。2日目は前もってアッドエレファント国立公園に行くことに決めていますので、初日はポートエリザベス港を出ると観光ガイドでいいツアーを捜して、価格を聞いて、どこに行くかを決めます。結局、妻が大の動物好きなので、1人8000円の観光タクシーに乗って日本のサファリパークをより本格化したようなKragga Kamma Game Parkと街巡りのツアーに行きました。シマウマ、アフリカンバッファロー、白サイ、キリン、ダチョウ、スプリングホック、イボイノシシ(ライオンキングのプンバァ)、インパラなどを野生の姿を、そのままで見ることができました(写真1)。スプリングホックは南アフリカの国の動物に指定されていて強豪ラグビーチームの名前に使われているそうです。あまり強そうではないですね・・・・。アフリカでは草食動物:肉食動物の数の比は1000:1だそうで、ここにもライオンやチータがいるのですが、昼間はブッシュの中で寝ていて見れませんでした。ちなみに肉食動物は檻に囲まれていて、エサを与えられているので全くの自然な形では遭遇できません。ライオンは3頭いるらしいのですがウクライナから運ばれてきたとかで、戦争のために動物園どころではないのでしょうね。

 2日目は前もってネット予約した半日アッド エレファント国立公園サファリのツアーです。ここは国立公園というだけあって広大で本格的ですし、もともと象の保護区なので、昨日見れなかったアフリカ像はたくさん見ることができました。この日は暑かったので、象は水ベに集まって、水を飲んだり、水を身体に浴びて涼んでいました(写真2)。像の数は大変多く、車を止めて、社内から観察するのですが、像が移動するときに車に近寄ってくることがあります。怖くて思わず悲鳴を挙げそうになるのですが、運転手から「危ないから声を出さないで!」と叱られます。 牙のあるオスのアフリカゾウはとても凶暴なので、車に近づいても決して声を出してはいけないのです(写真3)。“”ビッグファイブ“”と呼ばれる大型動物とはライオン、アフリカンバッファロー、サイ、ゾウ、ヒョウですが、ライオンやヒョウは木陰で隠れて寝ているのでここでも見れませんでした。1時間ちょっとかけて街に帰りつく前に見た広大な大地にはすべてトタン作りのスラムがありました(ただし後述のマダガスカルと異なるのは電気が通っており、パラボラアンテナがついていたことです)。運転手が自嘲気味に「All black, no money」と言っていましたが、アパルトヘイトが終わり、アフリカでは裕福な国の方だと思っていたこの国でも、まだまだ黒人の方々の暮らしはとても貧しいことに気づかされました。そしてその近くには同じく広大な墓地がありましたが、COVID-19による死者のお墓なのだそうです。ケープタウンで見た裕福できれいな街並みとは大違いでした。ポートエリザベスでもネルソン・マンデラさんの人気は高く、ゆかりの建造物が多くありました(写真4)。ここのお土産としてはルイボスティーが有名ですが、ピノタージュという赤ワインは日本に入ってこないので貴重だそうです。

 

バオバブの木のあるマダガスカル、だけど極貧の世界を目の当たりにした

 ピースボートはいよいよインド洋に入り、強風と強い波の中を揺れながら走り、3月5日、6日の2日間、世界で4番目に大きい島、マダガスカル島のトゥリアラ沖に投錨しましたが、遠浅のため停泊できません。イースター島の時と同様、2日間に分けて1回100人足らずに分かれてテンダーボートに乗って上陸することになります。ここで今までになかった光景に出くわしました。マダガスカルの人々が小さなボートや帆掛け船など、決して立派ではない小さな船でクルーズ船に近寄ってくるのです(写真5)。何のために来たのかというと、食べ物や船室のアメニティの石鹸、使い古しの衣服などをせがみに来たのです。

 マダガスカルはサン・テクジュペリの書いた「星の王子様」に登場するバオバブの木が有名ですが、それを見るために上陸すると、藁やトタンでできた、おそらく電機も水道もない非常に貧しい家がほとんどでした(写真6)。世界でも最貧国の1つ、物乞いも多いですし、15歳以下の子供の人口が48%を占めており、広大な平野があるのに、畑ではなく荒れ地になっています。サトウキビやフルーツ、コーヒーなどの農園や酪農になんで使わないのでしょう?この国に大事なのは子供たちの教育なのかもしれませんが、マダガスカルは、国民の約79%が1日1.9ドル以下で生活しているという極貧状態にあり、慢性栄養失調率が世界で4番目に高く、5歳未満の子供の40%が発育障害に苦しんでいるそうです。バオバブの木を見ることはできましたが(写真7)、主要な港なのに全く華やかさのないトゥリアラの貧しさが心に残りました。いろいろと考えさせられた2日間でした。

 

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

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