2024年2月

イグアスの滝はほんとうにすごいらしい

 ピースボートに乗っている人たちは旅のベテランが多く、その人たちからいろんな情報を耳にします。世界3大の滝、つまりナイアガラの滝、アフリカ大陸のヴィクトリアの滝、そして南米のブラジルとアルゼンチンの国境にあるイグアスの滝(写真1)を僕はどれも見たことがありませんが、3つとも見たことがある、あるいはそのうち2つを見たという方が少なからずいるのです。その人たちの意見を総合するとナイアガラは広いだけで高さがない、ヴィクトリアの滝はナイアガラよりもすごく水量も多いが、やっぱり一番衝撃的なのはイグアスの滝ということで一致していたと思います。アメリカのエレノア・ルーズベルト大統領夫妻がイグアスの滝を訪れた際、夫人が「My poor Niagara… (かわいそうなナイアガラ…)」と言ったとか・・・・。調べてみるとアルゼンチン側にある最大の瀑布である「悪魔の喉笛」は高さ82m、幅150mのU字型で長さ700mに亘ります。

 ただしピースボートのイグアスの滝のオプショナルツアーは1人50万円以上と、とても高いのと、日本人ツアーガイドがいるのではなく、英語ツアーガイドの翻訳してくれるスタッフが1人いるだけで、その人の持っている旗に数十人がついていくのです。僕はマチュピチュのツアーを自分でネット予約したので、僕たち2人だけのためにマチュピチュにとっても詳しい英語ガイドのウォルターさんが2日間同行をしてくれました。だからとても安く楽しめ、勉強することができました。

 

船内でイグアスの滝のツアーを予約したが、行けず残念無念~

 大自然の大好きな僕たちはイグアスの滝に行きたい!という気持ちが募り、そのため旅に出てから、つながりにくいインターネットをつなげて、①ブエノスアイレス発着のイグアスの滝2泊3日のコースの中でリーズナブルかつ、内容の濃いものをTripAdviserやExpedia、VELTRAなどのサイトを比較して予約、②滝の見学後にブエノスアイレスからリオにいる船に合流するためブエノスアイレス発、リオ着の飛行機をSkyscannerExpediaなどのサイトで比較して最安値のものを予約、③空港から近いブエノスアイレスの4つ星ホテルをExpedia、トリバゴ、Hotels.comを比較して1泊1人1万円ちょっとのものを予約(日本よりかなり安くて30㎡あるものもある)、という3つのステップを踏んで、イグアスの滝ツアーを自分で予約したのです。1日目は滝の数は少ないけれど、1つ1つの滝が大きいブラジル側から、そして2日目は大小無数の滝があって、「悪魔の喉笛」を上から見下ろすことがでるアルゼンチン側から滝を見に行くツアーです。

 ところが僕が大きなミスを犯してしまいました。ペルーのカヤオからマチュピチュに行くのには、飛行機に乗ったりホテルに泊まるため、ピースボートのレセプションに預けているパスポートが必要になりますが、それは前日にレセプションで申請すればよかったのです。だからブエノスアイレスに着く2日前にレセプションに行くと、「下船する寄港地の入港予定日5日前までに申請手続きをしないとパスポートは渡せない」というルールがあるということで強く断られました。まさに青天の霹靂ですが、乗員に配られた定款のような本には明記されているそうです(こんな本、渡されているけど誰も見ないはずです)。泣きそうになるくらいのショックでしたが、仕方なく旅程をキャンセルしました。30万円の金額が戻ってきません。でも後で、他の方から聞いた話では前日であっても、しつこく交渉したらパスポートをもらった人がいるそうです。これを聞いてより無念さが募りましたが、終わったことは仕方ないです。高い学習費を払って勉強させてもらいました。滝に行った人に聞くとみんな一様に「ほんと、すごかった!」と言っていました。ああ、残念!

 

リオのカーニバル狂騒曲

 船は2月7日にアルゼンチンの首都ブエノスアイレス、翌日にウルグアイの首都モンテビデオに1日ずつ停泊しました。ブエノスアイレスは観光地ではありませんが、8か国語の案内付きの2階建てバス(写真2)に乗って1周約3時間半で何度も乗り降り可能な観光バスに乗って市内を周遊し、夜には船内でアルゼンチンタンゴのショーを観劇しました(写真3)。南米では比較的安全なモンテビデオではゲバラも愛したというマテ茶のセットを購入し(写真4)、とてもおいしいチョリパン(牛肉野菜をパンで挟むサンドで、パンも炭火のような囲炉裏で焼く)という料理を楽しみました。

 でもこの旅のメインイベントは2月11日から13日まで停泊するリオデジャネイロです。リオのカーニバルの最大の催しであるサンバのトップチームによるパレードは、1部リーグの本選が1日6チームずつ2月の11,12日の2日にわたり開催されるのです。まさに世界最大の祭典のリオのカーニバルに参加するためにこのピースボートの南半球の旅行プランが建てられていると言っても過言ではありません。

 リオのカーニバルは夜22時から両側にアリーナ席(野球場の内野席みたいな座席でピースボートのオプションでは730,000円)、スタンド席(野球場の外野席みたいなコンクリートの座席でピースボートでは129,000円と高い)の間の700mの道路を1チーム85分かけて朝6時ころまでパレードをします(写真5,6,7)。山車、踊り、サンバのリズム、音楽など10項目によって審査され、最優秀チームを決め、最下位チームは2部リーグと入れ替えになるシステムです。僕は安い方のスタンドで見ましたが世界最大の祭典というだけあって、そりゃすごかったです。生涯で一番写真とビデオを撮りまくりました。サンバの強烈なリズムと唄、ダンサーの踊り、山車、花火、照明、たぶん1チームで数千人以上の行進など、そりゃ誰でも生涯に一度はみるべき価値があります。僕は午前3時くらいで、翌日の予定のことも考えて船に帰りましたが、何もなければ朝まで楽しんでいたかもしれません。

 リオデジャネイロは巨大なキリストの像(写真8,9)が絶壁の崖の上に立っていますので、その世界3大美港として景色の良さはよく知られていますが、危ない南米の中でもスリだけでなく強盗、ピストルを使った殺人もある「とびきり危険な街」でもあります。カーニバルがあるからなおさらかもしれませんが、港を出ると昔の大阪の


通天閣あたりのように、尿のにおいが強く、多くの人が半裸の状態でたむろし女性も男性も多くがTバック姿です。少人数で歩くと危ない街だということがすぐにわかりますが、街としては全長4kmで砂浜の幅も広いコパカバーナビーチや、有名なボサノバの曲「イパネマの娘」で知られるイパネマビーチなど、とてもきれいな白砂の海岸が続き、キリスト像のある「コルコバードの丘」から見える景色は絶景でしたし(写真10,11)、シュラスコなどの料理やフレッシュフルーツジュースはとてもおいしいですし、人々はとても陽気でエネルギッシュです(写真12)。

 

カラカス市民オーケストラとの別れ

 2月15日には南米最後の寄港地サルヴァドールに立ち寄り、バルパライソで乗船してきたベネズエラのカラカス市民オーケストラのメンバーがここで降りますので、前日の夜、さよならコンサートが開催されました。クラシックではなくマシュ・ケ・ナーダなど南米の名曲の数々や「未来へ(キロロ)」「愛をこめて花束を(Super Fly)」「世界に1つだけの花(SMAP)」などの日本曲も多数演奏していただき、最後には乗客との合同演奏・大合唱で会場は大きな拍手に包まれました。指揮者やメンバーも涙していました(写真13)。僕たちももらい泣きしそうでした。ほぼ3週間をピースボートのメンバーと共有(一緒に演奏、食事なども同じ場所で)できて友人になれたのは彼らにとっても私たちにとっても貴重で大切な時間だったのだと思います。

 

南米は黒人奴隷を使った資源の収奪と、ヒトの搾取の歴史

 ヤクルトの元監督のラミレスさんの出身地であるベネズエラは世界有数の産油国でありながら、非常に貧困に悩んでいる国です。ピースボートとの付き合いは長く、今も楽器や文具などを貧困国に寄付しています。南米は長い期間、スペイン、ポルトガルの植民地で、アフリカの黒人奴隷(これによって一部の富裕層がさらに裕福になった)を輸出入する中継基地として旧首都であるサルヴァドールは発展してきました。その歴史は資源の収奪と、ヒトの搾取の歴史と言ってよいでしょう。一部の大金持ちは自家用ジェットを持ち、メイドを多数雇い、ヘリコプターで出勤するような日本では考えられないような富裕層もいますが、ほとんどは1日の食糧を得るのもやっとの貧困層です。だから強盗や殺人がよく起こりますが、僕たちの接した南米の方はほとんどがとても明るく親切で、面倒見がよかったです。ペルーの港湾地区のカヤオで歩いていると「殺されるくらい危ないところだからここから速く立ち去るように」と親身でアドバイスをしてくれ、タクシーも手配してくれて僕たちは無事にピースボートに帰ることができました。彼らの親切を決して忘れません。

 

英語ツアーガイドとポケトークのすすめ

 これらの大都市でのツアーは、前もって予約しておかなくても港のそばにツアーガイドがあるので、英語の分かる人であれば英語ツアーに参加する方が、ピースボートの用意しているオプショナルツアーに参加するよりも内容も充実していて、価格も1/3~1/2以下とずいぶん安いです。南米ではホテルのフロントやツアーガイド以外で英語を話せる人はとても少なく、タクシーの運転手もレストランでもまったく英語は通じないことが普通です(How much?も通じない!)。しかもタクシーはメーター制よりも交渉制の方が多いのです。そこで大活躍したのがソースネクストが販売しているポケトークです(写真14)。スペイン語でも国によって単語などがかなり異なるので、55言語に対応しているポケトークを1つ持っていれば、とても便利です。

 ということで、今、船はサルヴァドールを旅立ち、8日間かけて大西洋を通ってアフリカ大陸の砂漠の国ナミビアに向かっています。

 

チリの氷河に行く

 バルパライソを出港してから、太平洋は波が非常に高く、船は大いに揺れ、空には厚い雲、海は色を失い、鉛色になって強風が続き、気温は徐々に下がっています。季節は南半球なので、夏とはいえこの船旅で、一番寒いところに来ました。平均最高気温は13℃、最低気温は6℃です。

 船は荒れた太平洋を避けて内海に入り(地図を見ると一見、大きな河のように見えますが、瀬戸内海のように穏やかな内海なのです)、1月28日15時に海峡に入り、夜間は内海を通ってフィヨルドを進み(図1)、1月29日の早朝にはピオⅪ世氷河の間近に到達し(写真1-2)、朝7時にピースボートの最上階で巨大な氷河をバックに記念撮影。ピースボートは夏でも溶けないこの氷河を見るためにこの長い内海を通ってきたのでした。

 この船旅は2月11日にリオデジャネイロに着きますが、その時がリオのカーニバルの最盛期なのです。ピースボートでもブラジル情報やカーニバルの歴史を学び、実際にカーニバルに参加したダンサーのダンス(写真3)を楽しみましたが、その迫力のすごいこと。本物のカーニバルにはあまり興味のなかった僕たも余ったスタンド席のチケットを購入しました。

 

南米大陸最南端の街プンタアレナスに停泊

 その後、内海水路を戻って、1月30日、31日にはチリ側の南米大陸の最南端でマゼラン海峡に面したプンタアレナスに停泊しました。プンタアレナスは年間を通じて風が強い街ですが、バルパライソと同様、パナマ運河開通までは、太平洋と大西洋を結ぶ重要な航路であった同海峡を航行する外洋船の寄港地として繁栄したそうですし、最果てなのでチリの流刑地でもありました。今は人口13万人の牧羊で得られた羊毛や羊肉の拠点になっています。海岸には海鵜、カモメとたくさんのマゼランペンギンがいました(写真4)。ここは人口13万人とは思えないほど、大きなショッピングモ

ール(この中にはユニクロの看板も見ましたが、なぜかGAPなどの他メーカーと一緒で、お店の中にはユニクロ商品は皆無でした: 写真5, 6)やスーパーマーケットが港の近くに多く、どのお店の店員や警備員の人たちもとっても優しい人ばかりでした。

そしてこれまでの、あるいはこれからの南米・アフリカの中ではかなり安全な街です。ただし英語の通じる人は全くいなかったため(これは南米各国で言えます。ホテルのフロントはさすがに英語を話せますが、タクシーの運転手やお土産屋さんの店員もまったく英語を話しません)、ポケトークが大活躍してくれました。僕はこの時、旅行者下痢症でしょうか、2日間下痢が続いていたのですが、ロペミンを持っていなかったので、ショッピングモールの薬店でロペラミドを購入。小さな2mg錠(日本の倍量)が6錠入って3,990ペソ(638円)とリーズナブルな価格でした(写真7)。それとチリ人が好むMerquenという辛みの調味料と好物のマシュマロを2袋(1袋150円程度で日本とほぼ同じ)購入しました。チリワインも欲しかったのですが、なぜかこのあたりのスーパーマーケットにはチリワインどころかビールも売っていなかったので翌日はワインを買うために港から6km以上離れたUnimarcという大きなスーパーに行きました。南米では日本で見られない種類のバナナを多く見ました。クスコでも赤いバナナや太目のバナナを買って食べましたがとてもおいしかったです。ここでは緑のバナナが売っていましたが(写真8)、店の人の話によると、これは料理油のバナナなので、そのまま食べてもおいしくないそうです。その後は船内でなくしたギター用のカポタストを楽器屋さんで購入しました。僕の持っているマーチンのバックパッカーというギターのネックは太いので、クラシックギター用のものでないと合わないのでです。ずっと他人のカポを借りていましたので、ちょうどよいものがあって本当によかったです。天気は午前中の霧雨はやみましたが、ほんとプンタアレナスには風の強い街でした。でもカラフルな家が並ぶ素敵な街でもありましたし(写真9)、この辺りの日の出は6:20、日の入りは21:44と1日が長く(白夜のよう?)、1日を長く楽しめるのはとてもお得な感じがしました。

 

南米最南端の街ウシュアイアでパタゴニアトレッキング

 2月2日にはアルゼンチン側のフエゴ島に位置する南端に位置する人口6万人のウシュアイアに停泊しました。この辺りは南米大陸のプンタアレナスよりも200kmも南にある島で、いわゆる「世界の果て」でもあり、1人200万円以上もするオプショナルツアーの南極クルーズに行く人たちもこの街を起点にします。ここもプンタアレナス同様、アルゼンチンの流刑地としても有名で、刑務所は観光地になっています(写真10)。日本の網走みたいですね。ブンタアレナスよりもやや寒く、この旅で最も寒いところです。ウシュアイアに着いた時から、見渡す限り、険しい山々があって(写真11)、まさにあの防寒・登山ウエアで有名な「パタゴニア」のマークのような形の山々が連なっており、初めてスイス・オーストリアのアルプスを見た時のような衝撃でした。

 ここでは船内のオプショナルツアーのパタゴニアのミニトレッキングを選択しました。僕たちは基本的には船内のオプショナルツアーは高いのであまり参加しませんが、ウシュアイアという小さな街を起点とするパタゴニアツアー自体がウェブ上では見つからなかったので仕方ありません。ピースボートでは高齢者が多いためか、トレッキングといっても息が切れるようなきつさはありませんが、風景はどこを見ても、さすがに美しいです(写真12)。

時々、上高地や尾瀬のような湿地帯や池がありましたが、これはアルゼンチン海軍が1940年代に毛皮で産業を育てようとビーバーを連れてきたのですが、彼らが川をせき止めて池を作ったために、水に弱い木が枯れてこのような池ができたとのことで(写真13)、せっかくビーバーが作ったダムを、住民が壊して森林破壊を食い止めているそうです。ビーバーはその後、毛皮にもならず、天敵もいないため数は増えましたが、ヒトと共存しているそうです。ウシュアイアはタラバカニがおいしく、列車「世界の果て号」、世界の果て博物館、堺の最果て駅、世界最南端の郵便局があり、アラスカから続くパンアメリカンハイウェイの終着点です。

 ピースボートは2月3日より大西洋に出て南米大陸の東岸のアルゼンチン、ブラジルに向かいます。2月7日には世界最大のイグアスの滝、そして2月11日にはリオのカーニバルが待っています。

第 32回 基礎から学ぶ薬剤師塾 Q&A
初心者向けシリーズ④ 降圧薬を極める

 


 

セントラル病院 薬剤科 野村温子先生

Q .サイアザイドが腎機能低下者に大きな降圧効果をもたらすのは、ループ利尿薬と併用した場合のみで単独での使用にはあまり効果がないと考えてよろしいでしょうか?

A.一概に「サイアザイドが腎機能低下者には効果がない」とは言えませんが、一応CKD診療ガイドライン2023では重度腎障害以上(G4, G5)では効果が減弱するため、使用は推奨されず、半減期が延長するので長時間作用型のループ利尿薬が体液貯留患者にサイアザイドに代わる降圧薬としても用いられます。

 サイアザイドの使用目的は利尿作用に伴う降圧作用です。ループ利尿薬は利尿薬ですが、サイアザイドとループの併用は高度腎障害以上の患者でも「強力な利尿効果・降圧効果」をもたらすことが報告されています。


 

海邦病院 後藤夏美先生

Q .ARBと比較して低血圧の副作用はあるものの、腎イベントや高カリウムの副作用が少ないARNIは今後75歳以上の高齢者の降圧剤の一手になりうるのでしょうか。

A.ARNIは確かに腎イベントや高カリウムの副作用がRAS阻害薬に比し少なく、しかも高齢者でリスクの高い心不全に対する効果も高いので、高齢者には、使いやすそうですね。でもRAS阻害薬にNa利尿ペプチドの作用が加わるため、降圧作用がより強力になり、合併症があるため血圧をコントロールできていない高齢者にはよい選択になると思います。ただしその反面、過降圧による弊害には気を付ける必要があるでしょう。


 

日本調剤 中島鉄博先生

Q .RAS阻害薬と利尿薬の併用によって蛋白尿はより減少していましたが、腎機能は悪化してしまうのは虚血やそれに伴う糸球体内圧の減少が影響として大きいからでしょうか。また、時間軸をより長期で見た場合にも腎機能低下の傾きはより大きいと予想されますか。宜しくお願いします。

A.以前から言っていますように利尿薬は脱水による腎血流量の低下、RAS阻害薬は糸球体内圧の低下から蛋白尿(-)の患者では腎保護のメリットよりも腎機能低下が心配になります。ただし、蛋白尿(+)の患者に対してどちらもうまく使えば、つまり脱水、糸球体内圧の低下を予防するための腎機能モニタリング、電解質などのモニタリングのしっかりした医師が使い、薬剤師もきちんとした脱水防止のための服薬指導を行い、NSAIDsとの併用に対してきちんと疑義照会すれば、より強力な腎保護作用が期待できると思います。ただし、腎臓内科医以外の医師、特に他科の開業医の先生方がRAS阻害薬と利尿薬を併用する場合、あまり血液検査・尿検査をしていただけないようであれば、腎保護よりも急性腎障害のリスクの方が心配になります。

 腎機能が低下してきて脱水のリスクが高まる後期高齢者は、CKD診療ガイドライン2023ではRAS阻害薬や利尿薬よりもCa拮抗薬を第一選択薬として推奨しています。それはCa拮抗薬には蛋白尿を抑制する作用は期待できないものの、急性腎障害の心配が少ないためだと思います。

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

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