僕はこれまでにも関西腎薬や熊本腎薬を結成してきました。そしてそれらの講演会では必ず講師の先生には若手の薬剤師に質問してもらっていました。僕が若かったときには講演会を聞いたときに誰からも質問がなければ、たとえ知っていることでも知らないふりをしてでも必ず質問をしていました。だって何の質問のない講演会なんて、全然面白くないし、講師に失礼だからと思っていましたから。

 今回の薬剤師塾では、久しぶりに女性の先生(名前は出しませんが、覚えていますよ)が薬剤師塾で勇気を振り絞って(たぶん)、質問してくれました。本当にありがとうございます。すごく感謝しています。顔を見せて、質問するって恥ずかしいかもしれないし、誰も何も言わない中で1人だけ、声を出すって、本当にやりにくいですよね。だって日本人ってみんなと違うことをやるっていうことを容認しづらいヘンな国だから。

 でも誰もが黙って、みんな何を考えているのかわからないっていうのはおかしいとは思わないですか?聞きたいことがあったら、「チャットやアンケート欄に書いたらいつでも答えてくれるんだから、声に出さなくてもいいじゃん」という考えは、いいかげんもうやめにしないですか?チャットやアンケートの短い質問内容じゃ症例の全体像がつかめないから、クリアカットな答えが出せないこともよくあります。症例の薬物療法について聞かれることがよくありますが、もしもその症例が90歳以上だったら?飲んでる薬が10種類以上あったら?血圧が異常に低かったら?心拍数が120/分以上だったら?BMIが18以下の痩せた症例だったら?によって答えは大きく変わるかかもしれないのです。でもディスカッションして言葉のキャッチボールをすればそのような情報があるかないかくらい、分かるじゃないですか。

 「薬剤師塾」っていう名前を付けたのは一方向性の講演・講義とは違って、講師が身近にいて、何でも聞きたいことが聞ける、講師がおかしなことを言っていたら「それは間違ってる!」と言い返せるような熱いやり取りができる場、つまり単なるレクチャーではなくインタラクティブなものにしたいからです。そうすれば若い人、初心者の人もいつかその熱いディスカッションの輪の中に入ってみたいと思ってくれて、そのために勉強しようと思うようになればいいなと思っています。そして、いずれは若い人たちが僕に代わって薬剤師塾の講師を務めてくれるようになるように育ってくれたら、なおさらいいなと思っているからです。

 これからも皆さん、お願いですから黙ってないで、気軽に声に出して質問をしてくれませんか。「薬剤師塾」を盛り上げるためにも。一方向性のレクチャーでは教科書を読むのと一緒で、面白みがありません。「本当にわからないこと」を本当に知りたい人たちのために、「薬剤師塾」はあるんだと思ってください。お願いします。

 でもこんなことを言うと、チャットすらできない雰囲気の講演会になってしまうのは最悪です。いずれ声を出して聞きたいけれど、今はやっぱり声を出す勇気が今はないので、という方はチャットでもアンケートでもいいですから、質問してください。何にも出てこない薬剤師塾はやっても意味ありませんから。意味のない薬剤師塾であればやめた方がいいですから。

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

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