薬剤師塾オンライン

 8月27日開催のアスヤクLIFE研修会「透析導入を防ぐ薬物療法~薬剤性腎障害を防ぐ~」では、研修後のアンケートにて201名の方から多くのご感想をいただきました。今回はその中から、50名様のご意見・ご感想を原文のままご紹介いたします。

 

 


高齢になると体重の少ない細身の女性が多く、腎機能のみならず、体重とともに投与量を確認することが大切。 トリプルワーニーの処方が出ている人には、NSAIDSの服用状況を確認し、症状によってはカロナール、外用剤、NSAIDSのなかでも腎機能に負担の少ないセレコックスを選ぶことが大切。 腎機能があってもアルブミン尿がある人は、腎機能はよくないため検査をすることが大切。 SGLT-2は副作用に注意してもらえるようしっかり説明し、心臓、腎臓保護のため継続する。 そういった腎機能を悪化させないようにできることが確認できて、服薬指導でも取り入れていきたいです。


トリプルワーミーの恐ろしさ、それを避けることの大切さ、それによる透析導入を回避する具体的な方針などがよくわかりました。また、現在、皮膚科の処方箋を受けている薬局で仕事をしているのですが、バラシクロビルの腎臓への影響の実際を知ることができたことなど、明日からの仕事にすぐ生かせるような実践的な知識が得られた思います。今回の研修を受けて本当に良かったと感じています。


日頃からの疑問に感じていたAKIとCKDの違いについて受講できて、大変わかりやすくありがたかったです。特に曖昧になっていた薬剤の有害事象を再確認んすることができ、明日からの業務に生かしていきたいと思います。ありがとうございました。


腎排泄薬は注意が必要とはわかってはいたもののNSAIDsの併用は特に危険と急性腎障害の転帰症例から学ぶことができました。腎障害を未然に防ぎ適正に薬剤を使用してもらえるように日々確認していきたいと思いました。


腎機能評価における、アルブミン尿の定量試験の必要性についてよく分かりました。 高齢者に対しての帯状疱疹治療においても、腎機能不明時の安全な薬物選択の提案など日常業務で活用しやすい内容で大変勉強になりました。


この薬じゃないと効かない、この薬がないと困る、自分には強くて合わないなどのこだわりが強く、変えても結局元に戻ってしまうようなケースもあるのですが、今回学んだことを活かして丁寧に対応していきたいと思います。


薬剤性腎障害が起きた患者さんにあまり出会ったことがないのですが、見逃しているだけの可能性が高いと思いました。高齢者へのNSAIDsやバラシクロビルなどリスクの高い薬の投与は避けるべきだと再認識しました。


高齢者の薬物治療に関して腎機能低下について気にはなっているがなかなか疑義照会に踏み出せないところがあった。今回習った内容を再度自分でも再学習し今後気づき疑義照会等自信をもってできるようになりたい。


透析導入を防ぐためには薬物療法だけでなく、薬剤による腎障害を予防することも重要であると改めて感じました。薬剤師として、患者さんの腎機能、服薬状況を把握し、適切な薬剤管理をしていきたいと思いました。


高齢者には特にトリプルワーミーの処方があった時には積極的に関与し未然に副作用を防ぎべきである。 強いては膨大な医療費削減にも繋がるし、イナーシャは患者だけでなく医療者側にも問題ありと感じた。


バラシクロビルによる腎後性腎障害のメカニズムや、腎障害を発生しやすい薬剤の紹介など新しい知見も多く参加して大変有意義に感じました。実務に活かしていきたいと思います。ありがとうございました。


慢性期の病院では処方内容が変わらずDo処方のまま利尿剤や痛み止めを継続される方がいるので、そのような患者さんの内容に関して、処方提案をしていけるようになれればと今回の公演で改めて思いました


NSAIDsによる腎機能障害については周知しておりましたが、抗生剤でも腎機能障害が生じ得る点は新たな学びとなりました。 今回の情報を踏まえ、今後の服薬指導や安全管理に活かしてまいります。


アシクロビル、Nsaids、利尿剤、RASなど腎臓への負担が大きい薬剤には薬剤師も注意する意識を持つ必要があると実感いたしました。大変、勉強になりました。 ありがとうございました。


高齢者の脱水時に、特に夏場に注意すべき薬剤等、明日からの業務に役立つ知識を得ることができました。ありがとうございました。また平田先生の研修を受けていきたいと思っています。


薬剤師としてやるべきことをやかりやすくおしえていただき有り難うございました。急性腎障害早期に見つけることの大切加齢とともに機能が衰えるので、腎臓機能の大切さがわかりました


腎障害は高頻度で起こること、自分の薬局の患者さんはほとんどがリスクの高い高齢者であること再度認識、ロキソニンも多く処方されるため、明日からの業務で早速生かそうと思った。


分かり難い領域を、わかり易く勉強出来て良かったです。薬剤師として患者との向き合い方 ちょっとした一言で病気への対応が良い方に向かっていくように 努力したいと思います。


薬剤師として透析導入を防ぎ、患者の利益になる仕事をするにはどうするべきか非常に有益なセミナーでした。 明日からの仕事に積極的に取り入れて行きたいと思います。


腎機能を踏まえて、どのように薬剤選択を行うか、わかりやすく説明いただき 、今後の監査、処方内容の理解、患者説明に、大変役立つ情報を得ることができました。


とても勉強になりました。もっと詳しい内容も知りたかったです。定期処方で腎機能に良くない薬の処方は多いので気を付けていきたいと思います。有難うございました。


大変分かりやすく勉強になりました。かかりつけ薬剤師として薬剤性腎障害を頭におき患者さまの腎機能評価をしっかり行い、医師に情報提供できるように頑張ります。


なぜトリプルワーミーがダメなのかよく分かりました。 最近帯状疱疹の高齢者が多く、腎機能悪化を防ぐためにも水分摂取をしっかり伝えていきたいと思いました。


整形外科の門前なので、日常的にロキソニンを大量に投薬しています。 今日学んだことを肝に命じて、併用薬を確認し薬剤師の仕事をしなければと思いました。


注目が高まっている腎臓のお話、とても勉強になりましたが、私の勉強不足でついていけない内容も。資料を改めて見直しながら、理解できればと思います。


すごく現場で早速取り入れたい内容でわかりやすかったです。 腎機能落ちている方、リスクのある方への服薬指導でのアプローチも参考になりました。


トリプルワーミーの腎障害の機序がよく分かりました。 整形外科門前で働いているので、NSAIDsの処方時にはより注意を払いたいと思いました。


とても勉強になりました。トリプルワーミーのことは仕事でとても気をつけていることだったので、興味深い講義でした。ありがとうございました。


平田先生の薬剤師に対する熱意あふれるセミナーを受講させていただき、ありがとうございました。今後の業務にぜひ役立てていきたいと思います。


薬剤性腎障害を防ぐために何を気にかけていくべきなのかを学ぶことができ、とても勉強になりました。今後の業務に活かしていきたいと思います。


貴重なそしてとても参考になる講演ありがとうございました。 具体的な症例を挙げて頂き今後現場でのチェックに役立てたいと思います。


ご講演ありがとうございました。 今後の服薬指導に大きく役立つ内容でした。患者様への検査値の確認の意義について再確認できました。


今回も大変有意義な講義を誠にありがとうございます。透析導入をしっかりと防ぎ、腎障害少しでも減らせるよう精進させて頂きます。


カロナールは効かないという患者さんが多いですが、1回の用量が足りていないという視点がなかったのでお話を聞けて良かったです。


高齢者へのNSAIDS処方は十分に気をつけないといけないと強く感じました。 カロナールの処方量についても勉強になりました。


CKDへの理解が深まりました 情報が多すぎて、どこまで活用出来るか不安ですが、明日からの業務に役立てていきたいと思います


高齢者の多い薬局に勤めています。 腎機能が落ちている方も多く、痛み止めや抗菌薬の処方に気を付けていく必要性を感じました。


興味のあるテーマなので受講させて頂きました。薬剤性腎障害を起こし得る薬剤を整理したかったので、ちょうどよい機会でした。


腎機能が悪化する飲み合わせなど、とても勉強になりました。セルフスターターになれるよう勉強していきたいと思いました。


腎機能の話だから仕方ないが 話が偏りすぎていて現実味がない NSAIDsの最後の質問にも胃障害に話を逸らしている


処方箋に検査値が記載されるようになり、腎機能に関する疑義照会の件数が増えた。今回勉強した内容は活用したいと思う。


薬局薬剤師として、AKIを未然に防ぐためにできることが分かり、有意義な時間となりました。ありがとうございました。


nsaid RAS阻害薬 利尿剤が高齢者にとって注意が必要な薬だと改めてわかりました。 とても参考になりました。


とても記憶に残る、分かりやすい講演でした、ありがとうございます。明日からの業務で早速意識していきたいと思います。


改めて、薬剤性腎障害の危険性を再認識することができました。利尿剤、NSAIDS、ARS阻害剤ついて注視します。


具体的な薬品名が出てとても分かりやすかった。 また投薬説明時のアドバイスも頂いて明日から活かせると思います。


日常なんとなく処方箋どおりに調剤している薬剤についてより深く確認しなくてはならないことがあることを学びました


平田先生の講演は初めてでしたが、非常に面白く、また分かりやすくて公演があれば、また受講したいと思いました。


透析患者さんは在宅訪問の方しか対応した事がなかったので、とても参考になりました。ありがとうございました。


興味深いテーマでした。薬に関しても思い切りのよい提案が多くて、いろいろ参考にさせていただこうと思います。

2026年10月15日(木)開催の平田の薬剤師塾のお知らせです。

◆第82回「平田の薬剤師塾」SGLT2阻害薬のすべて(中級者編)
~副作用対策と作用のメカニズムを深堀して服薬指導に生かそう~

 強力な利尿作用がある薬は脱水から急性腎障害を起こすのが当たり前。しかもネプリライシン阻害によるナトリウム利尿(ARNI)と、近位尿細管での浸透圧利尿(SGLT2阻害薬)という相乗的な利尿効果をもたらすのに、 SGLT2阻害薬は急性腎障害リスクを軽減してくれるのはなんで

 併用するMRAやRAS阻害薬と併用すると高カリウム血症が怖いだけどSGLT2阻害薬の併用によって高カリウム血症になりにくくなるのはなんで?
 
 RAS阻害薬、フィネレノン、サクビトリル/バルサルタンは用量を漸増するが、SGLT2阻害薬はドーズアップする必要がない。しかもこれらの薬剤との併用は競合するものではなく、心筋や腎臓を多角的に保護する包括的治療(GDMT: Guideline-Directed Medical Therapy)の基盤として、互いを補完し合う関係にある。
 
 いまやSGLT2阻害薬は糖尿病関連腎臓病の進行を防ぐ4本柱、CKDの進行を防ぐトリプルセラピー、慢性心不全治療のFantastic Fourの中で最強の治療薬になった。しかもこれまでに全く治療薬のなかったHFpEF(左室駆出率の保たれた心不全)に有効性を示した初の治療薬でもある。

 発売当初は単に尿糖を増加させる血糖降下薬だったが、桁違いの心血管病防止、死亡率低下、腎機能悪化防止、心機能改善作用、そして予後改善効果はどこから来るのだろうか?今回はこれらの疑問などについて深掘りし、「患者さんが飲みたくなるような」服薬指導、脱水、性器感染、ケトアシドーシスなどの副作用を防ぐ服薬指導ができる薬剤師を目指そう。
 

お申し込みは こちら から
【申込期限:講演会開始直前まで】
【定員:300名】
 お支払いが完了していれば、開始直前でもご視聴いただけます。また、受講者の方は講演終了後、数日後から1週間、オンデマンド配信にて繰り返しご聴講いただけます。あわせて、講演終了後に講演スライドをお送りいたします。

(クリックするとPDFが表示されます。)

2026年10月8日(木)開催の平田の薬剤師塾のお知らせです。

◆第81回「平田の薬剤師塾」SGLT2阻害薬のすべて(初心者編)
~単なる血糖降下薬が非糖尿病に有効な腎機能悪化防止、慢性心不全治療の切り札となるまで~

 SGLT2阻害薬の正式名称は「ナトリウム・グルコース共役輸送体2阻害薬(英名:Sodium-glucose cotransporter 2 inhibitor)」で、もともと1835年にリンゴの樹皮に含まれている天然の配糖体のフロリジンが発見され、尿糖を排泄する作用があることがわかっていた。糖尿病患者さんの腎臓の近位尿細管にあるブドウ糖取り込み輸送体を抑えることによって、尿糖を増やして血糖値を下げる薬になるのではということで開発された。

 COX-2阻害薬ロフェコキシブ、糖尿病薬ロシグリタゾンで市販後に心筋梗塞のリスクの上昇が発覚したことによって、FDAは「今後承認申請されるすべての新規血糖降下薬は、単に血糖を下げるだけでなく、心血管イベントを増大させない安全性(非劣性)を大規模比較試験で証明しなければならない」という厳格なガイドラインを発出した。SGLT2阻害薬エンパグリフロジンの開発陣が、この「FDAから出された宿題」をクリアするために企画・実施したのが 2015年のEMPA-REG OUTCOME試験だった。

 この試験では「心血管イベントを増やさないという非劣性」を証明して安全性をパスすればよい宿題だったにもかかわらず、結果は「むしろ心血管死や心不全入院を有意に減少させる(優越性)」ということで心臓も腎臓も守る糖尿病治療薬の歴史を塗り替える劇的な効果が証明されたのだ。

 今回はSGLT2阻害薬の糖尿病治療薬としての効果をはるかに超えた腎保護作用、心保護作用について理解していただこう。腎保護作用についてはアルブミン尿抑制作用、心保護作用に関してはSGLT2阻害薬による利尿作用が貢献していると言われていたが、それだけじゃない。今回、SGLT2阻害薬のすごさを体感してほしい。まさに透析導入をほぼ40%防ぎ、心不全による入院・死亡をほぼ30%改善させる現在、最強の腎・心保護薬になったのだから。
 

お申し込みは こちら から
【申込期限:講演会開始直前まで】
【定員:300名】
 お支払いが完了していれば、開始直前でもご視聴いただけます。また、受講者の方は講演終了後、数日後から1週間、オンデマンド配信にて繰り返しご聴講いただけます。あわせて、講演終了後に講演スライドをお送りいたします。

(クリックするとPDFが表示されます。)

8月20日(木)開催の、症例に基づいたCKD患者の薬物適正使用(中級者編)について以下のような質問をいただきましたので回答させていただきます。


Q.講義中にエカードがダブルワーミーであるとのご発言がありましたが、RAS系阻害薬と利尿剤の合剤はすべてダブルワーミーでカウントすべきでしょうか。それとも前回の講義でお話があったように、その合剤の腎機能障害の報告数が多いものだけをカウントすべきでしょうか。腎機能障害の報告は何の資料を参考にして、具体的にどのくらいの報告数があるものをダブルワーミーの薬と判断すべきでしょうか。よろしくお願いいたします。

A.先月もARNIのサクビトリル/バルサルタンはダブルワーミーかという問い合わせがありましたが、薬剤性腎障害の報告は今のところありません。おそらくは薬剤性腎障害の発症率は非常に低いと思いますが、RAS阻害薬+利尿作用がありますので、ダブルワーミーとして注意しておいた方がよいと思っています。

 実際のところ、圧倒的に危ない利尿薬は利尿作用が強力で脱水になりやすい短時間型ループ利尿薬、すなわちフロセミドだと思います。だから実臨床で気をつけるとすればループ利尿薬>サイアザイド=スピロノラクトンなどのMRAだと思います個人的には利尿作用の弱いフィネレノンや血中ANP濃度の上昇が緩徐なサクビトリル/バルサルタンはかなり安全だと思っています。エカードはサイアザイドを含みますのでダブルワーミーですが、ループ利尿薬ほど怖くはないはずです。

 ただし、ループ利尿薬で効果ない場合にはサイアザイドを併用すると作用部位が異なるため、強力な利尿作用が現れますよね。それを狙って併用療法をする医師は少なくありません。そうすると「エカードだからそんなに怖くはない」とは言っていられませんし、サクビトリル/バルサルタンだって心不全患者では当たり前にフロセミドと併用されるわけですから、これも安全とはいってられないのです。併用することによってフロセミドによる脱水を助長することによって循環血症量が低下するとレニン-アンジオテンシン系が活性化してしまう。ここれRAS阻害薬が併用されれば強力な腎虚血になることは十分考えられますから。

 どの薬が危ないかについてはRCT(ランダム化比較試験)・コホート研究・症例対照研究などでのエビデンスによって判断すべき問題です。そのような報告が全くないときに症例報告も参考にしますが、腎機能障害の報告数だけではどの薬が危ないかは判断できません。

8月20日(木)開催の、「症例に基づいたCKD患者の薬物適正使用(中級者編)」について以下のようなアンケートの回答をいただきました。原文のまますべてのアンケート内容を紹介させていただきます。


受講して2年目になりますが、ようやく理解できるようになってきました。高齢者、低体重、小柄女性、筋肉量、個別化eGFRでの投与量など要注意で取り組みたいと思います。ありがとうございました。


ありがとうございました。勉強になります。


バラシクロビル服用患者さんに、1回200mlの飲水を起床時、朝食時、午前10時頃、昼食時、午後3時頃、夕食時、入浴後に取るようお伝えするという指導は具体的で大変勉強になりました。本日も貴重なご講演を誠にありがとうございました。


在宅クリニックなどで退院後抗凝固薬や抗不整脈薬がずっとDO処方で継続されている方の入院相談も受ける事があるので減量忘れの見逃しがないように気をつけようと思いました。


透析患者のピロリ菌除菌の減量について詳細な回答いただきありがとうございました。 P-CABやPPIの長期投与による影響も確認しながら、今後可能な限り相談していきたいと思います。

8月13日(木)開催の、「症例に基づいたCKD患者の薬物適正使用(初心者編)」について以下のような質問をいただきましたので回答させていただきます。


Q.透析患者のピロリ菌除菌の減量について、ボノサップ400を例に教えてください。また、消化器の医師は除菌が成功すればH2に変えて継続するほうが、P-CAB継続による胃酸分泌抑制の影響や良性腫瘍のリスクを考えて変更することを勧めていますが、透析医側は、PCAB(またはPPI)を長期使用のまま変更することがありません。どんな考え方がいいのでしょうか。

A.透析患者ではアモキシシリンを 1日量500 mg(250 mg 1日2回)などの低用量レジメンが有効性・安全性の面で妥当と報告されています。アモキシシリンは透析で除去されるため、透析日は透析後に投与するとよいでしょう。

 P-CAB(カリウム競合型アシッドブロッカー)やPPI(プロトンポンプ阻害薬)の長期投与は、逆流性食道炎の再発防止や、アスピリン・NSAIDs(消炎鎮痛薬)による胃潰瘍・出血の予防に不可欠な一方、胃酸を長期間強力に抑え続けること特有の副作用やリスクも伴います。長期投与によるデメリットは胃酸分泌が強力に低下することによるCa、Fe、Mg、ビタミンB12などの吸収が悪くなるといわれています。特に低マグネシウム血症による重症不整脈発症(トルサード・ド・ポアンツになることも)、ビタミンB12欠乏、カルタン、ホスレノールなどのリン吸着薬の効果低下などの報告が多く、しかも深刻な副作用が多いです。ほかにもクロストリジオイデス・ディフィシル感染症(重症になると偽膜性大腸炎を発症します)、などの原因になりますので、PPIについてよくご存知の消化器の医師は、長期投与を避けたいのだと予想されます。P-CABやPPIの長期投与により、良性腫瘍である「胃底腺ポリープ」などの数が増えたり大きくなったりすることが知られています。これらは基本的に良性であり、薬をやめると小さくなることも多いですが、長期間の服用には注意が必要だそうです。

 日本の透析患者は高齢化が顕著なこともあり、胃が脆弱な方が多く、また心血管疾患予防のための低用量アスピリンや抗血栓薬の服用に伴う消化性潰瘍の再発抑制などのため半数近くの方がPPIの長期投与されている透析施設もあります。重度の逆流性食道炎(びらんや潰瘍)でやめられない患者も多いのです。

 どちらの考え方がよいのかは患者さんの病態、そして医師の判断によると思いますが、P-CAB(またはPPI)は本来ならば4~8週間までの投与となっていますが、長期投与は様々な問題があります。消化器の医師が言うように除菌が成功すれば、H2遮断薬を投与すると、これはPPIと異なり血中濃度依存性のため、即効性がありP-CABやPPIのように常時、胃酸の分泌を強力には抑えないので、これで消化器症状を抑えることができれば様々な有害事象が防げる可能性があります。

 これは私見ですが、私自身が胃潰瘍になったことがあり、PPIを十数年続けていました。何度もやめようと思いましたが、やめると胃がむかつき、口臭がするのでやめられなかったのです。でも消化器内科で腸内細菌叢を調べると、酪酸菌などのプロバイオティクスを常用し、努めて食物繊維を摂っているはずの私の腸内細菌叢は判定「C」で「ビタミン産生菌が極めて少ない、ビタミンB12産生菌が欠乏状態、ロブゼリアなどの酪酸菌が少ない、有害菌が多い」という結果でした。熟慮した結果、PPIをやめてファモチジン20mgを胃症状のあるときだけ頓服し、症状があまりにきついときにはP-CABを頓用しており、月に数回、ファモチジンを頓用することでなんとか収まっています。

 私のように食事や酪酸菌、ビフィズス菌、ヨーグルトや野菜の摂取で腸内環境に気をつけていても、こんな腸内細菌叢になってしまうので、高カリウムのために野菜・果物を摂れない、溢水のため水分を摂れない、免疫力が低下しているため抗菌薬がよく投与される、催便秘薬のためにひどい便秘になってしまう透析患者の腸内細菌叢は細菌数自体が極めて少ない、腸粘膜を守る酪酸産生菌や短鎖脂肪酸産生菌が極めて少ないのです。それによって尿毒素産生菌が増えて、心血管病変が進行し死亡率も高くなっていることを指摘する専門家もいます。

 PPIは消化器症状をめざましく改善してくれる素晴らしい薬ですが、長期投与によって細菌・ウイルスの侵入を許し、カチオンの吸収悪化などによる全身への弊害を十分考慮して処方すべきと思っています。

8月13日(木)開催の、「症例に基づいたCKD患者の薬物適正使用(初心者編)」について以下のようなアンケートの回答をいただきました。原文のまますべてのアンケート内容を紹介させていただきます。


腎機能に問題があるなどアセトアミノフェンをNSAIDsの代替として使いたい場合に参考になりそうな論文を紹介していただいたので今後医師への提案にこちらを使おうと思います


腎排泄ではないが用量調整がある薬剤は興味深く学びになりました。 講演資料について、解説に使用した引用の文献のみ(講義で重要なもの抜粋で)でいいので最後のスライドor配信でまとめて一枚のスライドにして欲しいです、スクショ可能であれば当日又は配信時に最後にスクショしたいです。


腎機能低下とともに、非腎クリアランスも低下しているという考え方で、用量を減量しているにもかかわらず、副作用が出ている可能性がわかりました。ありがとうございました。


シスタチンCなど検査依頼したいが、なかなか難しいことが多いです。


わかりやすいご講演をありがとうございました。


いつもありがとうございます。


本日も、ありがとうございました。大変勉強になりました。毎回お話を楽しみにしています。

2026年9月17日(木)開催の平田の薬剤師塾のお知らせです。

◆第80回「平田の薬剤師塾」初心者コースのテーマは
腎臓が何をやっているか?(2)尿細管編~腎臓の最も重要な体液の恒常性維持は尿細管の仕事~(中級者編)

 「腎臓は何をやっている臓器?」とたずねると多くの方が「腎臓って尿を作る臓器でしょ?」と答えてくれる。間違いではないけど、腎臓はもっと高度で精密な仕事をしている。排泄する尿中に含まれているものはすべて不要なもの、余剰なものであって、必要なものは尿細管で再吸収してくれるから、必要な栄養素を失うことなく、いつも体液中の電解質濃度を一定に保ち、水分量やpHを一定に保ってくれている。だからいつも健やかな生活を送ろうとするのに腎臓はとても大切な働きをしている。

 腎機能が低下すると何が起こる?高リン血症から低カルシウム血症、そしてPTHが過剰分泌されるので骨を溶かしてCaを上げる、いわゆるCKD-MBDだから骨まで脆くなるし血管が石のようになってしまう。腎性貧血によって疲れやすくなり、高カリウム血症によって不整脈によって突然死の危険性が高まる。尿毒素がたまり、血液が酸性に傾くと元気がなくなり食欲も失せる。

 腎臓の構造は複雑だ。だけど腎臓の役割を理解しておくと、これまでに分からなかった患者さんの病態、加齢に伴う病態の変化も理解できるようになる。

 腎の構造を知らないと「CKDはなぜ治らない病気なの?」とか、「糖尿病の症例って最初は腎機能がとびきりいいのに、いったん悪くなりかけるとなんで急激に悪化して透析導入になってしまうの?」とか、「なんで腎臓は高血圧に弱いの?」などについて理解できないし、薬剤師なのにサイアザイド系利尿薬とループ利尿薬の違いを説明できない、フォシーガなどのSGLT2阻害薬、RAS阻害薬、ケレンディアなどのMRA、ネスプなどのESA、ダーブロックなどのHIF-PH阻害薬などの腎に作用する薬の作用がいまいち理解できない。だから患者さんに「腎臓を守るにはどうすればいいのか」についてもわかりやすく説明できなくなる。これらをできるだけ理解して「あんたの言ってくれたことが一番分かりやすかった」といわれるような薬剤師になろうね。

お申し込みは こちら から
【申込期限:講演会開始直前まで】
【定員:300名】
 お支払いが完了していれば、開始直前でもご視聴いただけます。また、受講者の方は講演終了後、数日後から1週間、オンデマンド配信にて繰り返しご聴講いただけます。あわせて、講演終了後に講演スライドをお送りいたします。

(クリックするとPDFが表示されます。)

2026年9月10日(木)開催の平田の薬剤師塾のお知らせです。

◆第79回「平田の薬剤師塾」初心者コースのテーマは
腎臓が何をやっているか?(1)糸球体編~足細胞は再生できないから腎機能がよくなることはない~ (初心者編)です。

 腎臓は2つ合わせて500gしかないけど、心臓から送られてくる血液の20~25%、つまり1日1500~2000Lが腎臓を通っている。その中の10%にあたる150~200Lの濾液(原尿)が作られる。でも尿量はその1%の1日1.5L程度だよね。なんて「無駄に濾過してるんだろ?」と思わないでほしい。これだけの余力があるから多くの人は腎臓病にならなくてすんでいるのだから。

 腎機能は糸球体濾過速度(GFR)で表す。CKDの定義はGFR<60mL/min/1.73m2ということは常識だよね。正常値は100mL/min/1.73m2だけど、じゃあ中年男性で150mL/min/1.73m2の人は腎機能が高いから、素晴らしい?もしもその方が糖尿病になっていたら血糖値が高すぎるために、尿細管で多すぎるブドウ糖を再吸収しきれずに尿糖が排泄されて、多尿になる。高血糖のため血清浸透圧も上がるから無性に喉が渇き多飲になり、さらに多尿になる。GFRが150mL/min/1.73m2ということは糸球体過剰濾過を表す。糸球体内圧が高いため、放っておくとアルブミンが尿中に漏れ出てくる。「口渇・多尿・多飲」以外の症状は何にもなく、元気だからって放っておくと次第に糸球体の濾過膜が破綻するし、血管も動脈硬化が進行する。そのうち心臓も血管も悲鳴を上げるようになる。「尿中アルブミンは全身の血管が傷つき、傷み始めているシグナル」なんだ。だからCKDの診断基準にアルブミン尿・タンパク尿も極めて重要な指標なのだ。

 正常の1.5倍の腎機能は腎臓の機能が素晴らしく良いからではなく、腎臓がむち打たれて疲弊していることを表している。放っておくと顕性アルブミン尿から糸球体濾過膜が壊れて、通常の大きなタンパク質も漏れ出て、一気に腎機能が悪化して透析導入になる。これが典型的な糖尿病性腎症だ。

 そして腎臓に病気があるなんて全く思っていなかったけど、血圧が高いのを放っておくと70~80歳代になって腎硬化症で透析導入になる方が多い。あるYouTuberが「降圧薬って製薬メーカーと医師がグルになってもうけるために投与してるんだよ。血圧は年齢+90くらいでちょうどいい」とか言うのを信じていると、腎臓だけじゃなく心血管系にも障害が及んでくる。「○○をのむだけでみるみる腎機能がよくなる」とか「eGFR40が70mL/min/1.73m2に改善した」なんて嘘だよ。一度失われた足細胞は再生できないから、CKD患者の腎機能がよくなることはないんだ。

 今回、「放っておくと」という言葉を何回使っただろう。放っておく(これを医師・薬剤師のイナーシャと呼びたい)とあれだけ余力のあるはずだった腎機能、そして腎臓を守るための様々な仕組みがあっという間に崩壊してしまうのだ。でもその悪化速度をかなり緩やかにできる薬物療法が確立しつつあるということは知ってるよね。あとはアナタの薬剤師力によって血糖管理、血圧管理をわかりやすく指導し、腎臓を守る素晴らしい薬を副作用の心配することなく、患者さんが確実に「飲みたくなるような服薬指導する」、そして「危ないサインがあるのに放っておく」のをやめさせるのが薬剤師の極めて重要な役目だ。皆さん、ちゃんとできてる?

お申し込みは こちら から
【申込期限:講演会開始直前まで】
【定員:300名】
 お支払いが完了していれば、開始直前でもご視聴いただけます。また、受講者の方は講演終了後、数日後から1週間、オンデマンド配信にて繰り返しご聴講いただけます。あわせて、講演終了後に講演スライドをお送りいたします。

(クリックするとPDFが表示されます。)

◆第79回 9月10日(木)初級者編 お申込はこちらから
 腎臓が何をやっているか?(1)糸球体編

◆第80回 9月17日(木)中級者編 お申込はこちらから
 腎臓が何をやっているか?(2)尿細管編

◆第81回 10月8日(木)初級者編 お申込はこちらから
 SGLT2阻害薬のすべて

◆第82回 10月15日(木)中級者編 お申込はこちらから
 SGLT2阻害薬のすべて

 

※お申し込み期限は講演会開始直前までとなります。
 お申し込みの際は 免責事項 をご確認のうえお手続きください。

今後の開催予定はコチラから
過去の開催(アンケート・質問)はコチラから

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

月別アーカイブ