2025年11月

2025年8月28日 X投稿
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 異物や不要な老廃物などはすべて腎臓から排泄される。薬物も生体にとって異物だから薬物の95%は腎臓から排泄される。よくドクターの論文で「肝排泄性薬物」っていう人がいるけど、正しくは「胆汁排泄」だろうね。吸収されないために糞便中に排泄されるものもあるので、実際に胆汁排泄によって糞便中に排泄されるような原始的な薬は5%以下だろう。

 脂溶性薬物のほとんどが肝代謝を受け、CYPによって親水性がやや高い代謝物になる。肝代謝≒極性化反応だから、腎排泄されやすくなるが、それでも脂溶性が高いものは第二次反応として抱合化される。抱合体は極めて極性が高いので尿中に容易に排泄され、活性をもつ物はほとんどない。薬物の中で腎機能が低下したら減量すべき薬物は活性体のまま尿中に排泄される薬。だから腎排泄性薬物の多くが尿中未変化体排泄率が高い薬物と活性体の尿中排泄率が高いものだ。腎の排泄能力が低下して活性体が蓄積すると中毒性副作用を起こすからだ。腎排泄性のものはすべての薬のうち20~30%に過ぎない。ということは70%以上を占める肝代謝型薬物がどれかと憶えるよりも、腎排泄性薬物を記憶するほうが楽だ。例えば抗菌薬は腎排泄性薬物が多いのが特徴だ。βラクタム系抗菌薬はすべて腎排泄性なんだけど、中にはセフォペラゾンやセフトリアキソンなどのようにたまたま蛋白結合率が高いため、糸球体ろ過されにくいため、相対的に非腎クリアランスが高くなっているだけのことだ。そして腎排泄性抗菌薬はなぜか殺菌性の抗菌薬なのだ。

 向精神薬は血液脳関門を通って効果を示す薬だから脂っぽい構造のものが多いよね。向精神薬はガバペンチンやリチウムなど例外的に腎排泄される薬(8%足らずしかない!)を記憶するほうが楽だ。でもすべてを覚えることは酷なので、日病薬の発行している腎機能別薬剤投与量POCKET BOOKは必携だよ。

2025年8月25日 X投稿
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 何度かやめようとしたが、むかつき、何とも言いようのない胃部不快感でやめられず。もう15年以上、欠かさず飲んできたPPI。平田は健康には気を使っており、結構食物繊維もビオスリーも摂っているので、腸内細菌叢に関しては自信を持っていた。でも5月に行った腸内細菌検査の結結果は図のごとく、「判定C」!なんとビタミンを作る力は5点満点の最低点1(ナイアシン、B12欠乏症?)、有害菌の少なさ2点と惨憺たるものだった。この理由はPPIの長期連用のためと分かってる。熊大教授に赴任したとき、新たな教授職に加え、学会理事を複数務め、論文や講演の依頼はすべて「チャンスなんだ」と前向きにとらえ、断らなかった。好きな仕事なのでストレスにはならなかったけど、論文数が1年50本以上になった時には土日も大学に出てきて仕事していたけど、締め切り地獄で寝る時間がない!結局、コーヒーの飲み過ぎによる胃障害でのたうち回り、胃カメラで「胃潰瘍」と分かりPPIを常用するようになった。PPIの長期使用は良くないことは知っているので、何度もやめようとしたけど、胃症状や口臭(これってホントいやだね)が再燃するためPPIをやめられない身体になってしまった。そして主治医と相談し、PPIをやめることを決意。作戦は「①胃症状がきつくなったら、効果発現の速いタケキャブを頓服で飲む。そして②効力の弱いH2ブロッカーのガスターにレベルを下げる。③H2ブロッカーも効果発現は早いので、基本的には常用せずに、調子の悪い時だけのむ。④胃に良くないカフェイン含有飲料のコーヒー、お茶はすべてやめる。」というもの。そうすれば胃酸分泌が再開し、有害菌を殺菌してくれて、腸内細菌叢が改善するだろうということ。昨日まで20日くらいやめていたけど、この2~3日、むかつき、胃部不快感が再発。幸い、口臭はないみたいだけど、今朝、初めての頓服でタケキャブを飲んだ。素晴らしいもので2時間後には、曇天の空が快晴になるような爽快な気分になった。

 PPIってホントいい薬なんだよね。短期的には安全だし、極めてよく効くし。でも長期にわたって胃酸が全く分泌されなくなると、①胃酸分泌の抑制による腸内細菌叢の変化によってクロストリジオイデス・ディフィシル(CD)腸炎などの多剤耐性菌のコロニー形成のリスクになる(図1)、Mgの吸収障害による重度の低マグネシウム血症により、QT延長、心停止を起こす可能性がある。TdP (Torsades de pointes)発症患者の半数以上が低マグネシウム血症でTdP発症群の血清Mg濃度は低く、PPI服用中にTdP発症群の血清Mg濃度はさらに低いことが報告されている(図2)③胃酸分泌抑制によって吸収されにくくなる薬物がある(アゾール系抗真菌薬のイトラコナゾール、HIV抗レトロウイルス薬のリルビビビン、アザタナビル、チロシンキナーゼ阻害薬のダサチニブなど)④PPI長期投与によってビタミンB12の吸収障害(PPIを常用している平田も欠乏レベルに近かった)。

 

 

 そのほかにも様々な報告がある。Ca吸収障害による骨折のリスク増加、種々のがんリスク上昇、肺炎のリスク上昇、認知症悪化リスク上昇など様々だが、これらは矛盾するデータも多く、交絡因子の影響を受けているものが多いので確立されていない。本当にPPIの必要な患者さんに対して、再生回数を増やすために、明確になっていない副作用、薬の怖さだけ強調して患者さんの不安を煽る医療系SNSはほんと、何とかしてほしい。

 

 

2025年8月24日 X投稿
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 重度腎障害(CCr<30mL/min)はDOACの大規模RCTにおいて除外対象となり、リアルワールドデータも乏しい。透析患者にはDOACの使用経験がないからという理由で、いまだにワルファリンを使わざるを得ない医師はまだ多いようだ。米国ではアピキサバンが透析患者に使われているのにね。

 以前に僕が調査したアンケートで医師はワルファリンが透析患者(重篤な腎障害)に禁忌になっていることを知っていたのは26%のみ。そして重篤な腎障害患者で血栓を起こしやすい症例に対してワルファリンを処方することがある医師は85.3%(平田,2009)。薬剤師も透析患者にはワルファリンが普通に投与されているから「重篤な腎障害には禁忌」って寝耳に水だったのかも?

 だけど実際には腎機能が悪くなればなるほどワルファリンは大出血を起こしやすいんだよね。PT-INRの目標値は通常2.0~3.0だけど日本の透析患者は2.0未満にしなくちゃいけないし、日本の高齢者では1.6~2.6にしなきゃいけない。腎障害血清を加えるとではワルファリン代謝酵素CYP2C9の活性がCYP2C9基質ロサルタンへの血清添加量が多くなるほど代謝が阻害されることは京都薬大の辻本先生の検討で分かっていた(辻本, 2010)し、GFR<30mL/minではCYP2C9代謝が阻害されCYP2C9代謝が阻害されS-ワルファリン濃度が27%上昇し半減期が20%延長する(Albrecht D, 2017)ことも明らかになっている。しかもワルファリン服用者の大出血発生率は腎機能が悪化するほど高い(Jun , 2015)。じゃあ日本人高齢者で特にワルファリンが使いにくいことはワルファリンの効果部位のVKORC1の遺伝子多型がアジア人で多いので、ワルファリン用量を減らすべきことと、腎機能が悪くなればなるほどさらに減量すべきことで説明できるかも(Ichihara, 2015)。ということで日本人の腎機能低下患者にワルファリンを使うと出血しやすいということは十分に分かっているのに、透析患者には使わざるを得ないようだ。2024 年 JCS/JHRS ガイドラインフォーカスアップデート版不整脈治療で「維持透析患者に対してワルファリンを用いることは推奨されない 」が推奨クラスⅢ(No benefit)デビデンスレベルBになった。No benefitって、わかりにくい説明だね。よく読むと「透析患者には原則禁忌」のようだ。でも臨床現場では透析患者の血栓症予防のためには投与せざるを得ない。ああ、悩ましい。

 さらに悩ましいのは相互作用。CYP2C9阻害作用を持つNSAIDsはロルノキシカム、イブプロフェン、インドメタシン、メフェナム酸、ピロキシカム、テノキシカム、セレコキシブなどがあり、これらのNSAIDsはワルファリンの代謝を阻害することによってワルファリンの出血リスクを増大する。薬剤師こそ知っておくべき薬物動態学的相互作用なのだ。

 

 

 

 

2025年8月23日 X投稿
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医師:大変だ!腎機能は透析間近の末期腎不全患者で小柄な高齢者なんだけど、心房細動のリズムコントロールでシベノールを間違って常用量投与しちゃったんだ。低血糖は起こすし、過量投与によるQT延長は心配だし、どうしたらいい?

薬剤師:シベノールの分布容積Vdは5~8L/kg程度と大きいから、どんな血液浄化法も無理です。Vdが2L/kg以上の薬はいかなる血液浄化法によっても除去できないんですよ(図11)。だって組織に分布しやすい薬の血中濃度は低いでしょ。低い血中濃度を血液浄化法で下げても体内には組織に移行した薬物が残っていますから。対症療法するしかないかもです。

医師:でも透析やCHDFで除去できた、「血液浄化法で救命できた」っている報告がいっぱいあるじゃないか?

薬剤師:医学論文って書いたのが医師で医師が査読しますよね。医師はたいてい薬物動態知らないですから、全部間違ってます。だからそんな論文が出るたび、僕は編集部あてにLetter to editorを書いてました2)3)。これが届くと著者が回答しなくちゃいけないんですよ。「救命できた」っていうのは血液浄化法をやらなくても放っておいても薬物が消失したために死ななかっただけのことです。あれだけ言っておいたでしょ、腎機能低下患者に薬を投与するときには日腎薬の「腎機能別薬剤投与量POCKET BOOK」を見てから投与してくださいって。

さて、このように血液浄化法では、どうしようもない薬物もたくさんあるが、一番問題なのが、腎排泄性なのに、なぜか、Vdがほぼ5.0L/kgと大きなシベンゾリン、ジゴキシン、アマンタジンなのだ。この3つだけは初回投与設計を間違えないようにしよう。

 

 

 

 

 

1)平田純生, 金 昌雄, 上野和行, 他: 薬物の透析性. TDM研究 14: 277-287, 1997

2)平田純生: Letter to Editor. 早川和良, 他: 透析患者のamantadine hydrochloride中毒における血液浄化療法の経験.に対して. 透析会誌36(5)363-364, 2003.    

3)平田純生: Letter to Editor 黒川陽子,他: Cibenzoline中毒に対して血液吸着・血液濾過透析が有効であった1例』に対して. 透析会誌36(9):1457-1459,2003

 11月20日(木)開催の、シリーズシリーズ④「心不全の臨床データから疑義照会・服薬指導 にどう生かす?」について以下のような質問をいただきましたので回答させていただきます。


Q.アゾセミドやフロセミドは患者さんに使っている場面を見て使い分けのイメージが分かるのですがトラセミドは低カリウムを起こしにくい以外にどのような位置づけになりますか?トラセミドのここぞという何かいいことがあれば教えていただきたくよろしくお願いいたします。

A.僕もトラセミドは低カリウムを起こしにくい以外のメリットを知りません。医師のループ利尿薬の処方頻度はフロセミド74%、アゾセミド20%、トラセミド6%となっていますので、ループ利尿薬といえば短時間作用型はフロセミド、長時間作用型はアゾセミドばかりが主に使われていて、トラセミドはあまり使われていません。腎機能が重度腎障害(eGFR<30以上に低下するとサイアザイド利尿薬の効き目が悪くなるので、降圧薬としては長時間作用型ループ利尿薬に変更されることが多いのですが、この時には高カリウム血症が怖いし、併用薬でさらに高カリウム血症を助長しやすいRAS阻害薬やMRAなどが併用されると特にカリウムを下げるアゾセミドのほうが使いやすいのではないかと思っています。だからアゾセミドを使っていて低カリウム血症気味になったらトラセミドに変更ということはあるかもしれません。また抗アルドステロン作用を持つというのはトラセミドによる心保護、腎保護が期待されるので魅力的ですが、それらは動物実験による報告だけではないでしょうか。臨床的にアゾセミドに勝ったというエビデンスはないと思います。

 11月20日(木)開催の、シリーズ④「心不全の臨床データから疑義照会・服薬指導 にどう生かす?」について以下のようなアンケートの回答をいただきました。原文のまますべてのアンケート内容を紹介させていただきます。


検査値の解釈などを具体的な症例を通じて勉強できたので、明日から検査値のどこを注目すればいいかの参考になった


腎不全になると腎性貧血になることはあるのは知ってましたが、心不全でも貧血になることはあるんですね。


調剤薬局の薬剤師です、今日も大変勉強になりました。 心不全とは直接関係ない質問にも丁寧に説明いただき感謝申し上げます。病院勤務ではないので、日常的に多岐の採血検査項目や尿検査項目、菌培養検査(抗菌薬感受性検査)、またTDMの数値をみる機会はほとんどありません、是非とも今後の講演内容で基本的な検査値の見方を取り上げていただきたいです。


症例検討の学習会はあまりないので、今後もあると嬉しいです。


いつも大変勉強になります。


症例を元にすると、色んな事を考え、とても勉強になりました。


本日もありがとうございました。4回全て受けさせていただきました。普段、調剤薬局勤務なので、医師に提案は中々厳しい状況にはありますが投薬に活かしていきたいと思います。


今までのまとめになり、有難うございました。 患者さんへ暗いイメージを持たせない服薬指導をするのには…何回もどんな時も考えて行いたいと思いました。ストーリーが描けるように薬剤、検査値、背景、病態など勉強します。


今回のような具体的な検査値、症例があると、より理解しやすく助かります。毎回YouTubeは、3~4回見直して復習させてもらっています。ありがとうございます。


貴重なご講演ありがとうございました。 先生のおっしゃっていた「明るい服薬指導をする、くすりをのませるように指導するのが薬剤師の力」という言葉が身に沁みました。おっしゃるとおりだと思います。薬剤師の使命は、患者さんのアドヒアランスをよくすることだと思います。副作用の話もしないといけないが、しすぎるとかえって薬をこわがってアドヒアランス不良にしてしまう恐れもあります。私も明るい服薬指導を心掛けたいです。


初めて参加させていただきま、沢山の学びをいただきました。


過剰ろ過の状態の患者に対して、イナーシャにならないよう、 説明していくことは大変参考になりました


症例での講義、今まで理屈で理解していたことが現場感覚で頭に入ってくるのが楽しかったです。文字になっていない薬のイメージが先生の身振り手振りでさらにわかりやすくしてくれてました。

2025年8月19日 X投稿
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 フィネレノンはエサキセレノンとともに非ステロイドMRA(nsMRA)に分類されるが、果たしでどう違うのだろう?フィネレノンはまずステロイド骨格を持っていないので、構造はもちろん違うが、驚くことにニフェジピンと同じジヒドロピリジン骨格を有する(図1:さすがバイエル薬品!)。MRAのスピロノラクトンのアルブミン尿低下作用はRAS阻害薬よりも強力だが、高カリウム血症が怖い(図2)。おそらく糖尿病関連腎臓病DKDではアルドステロンがサンギウム細胞の増殖を促し足突起の剥離を促進してアルブミン尿を増やすからだと考えられている(図3)。だからMRAのアルブミン尿を下げる作用はSGLT2阻害薬に勝るかもしれないし、併用すると相乗作用を示す。

 

 

 

 

 そしてnsMRAのフィネレノンの利尿降圧作用は非常に弱い。ステロイド骨格のスピロノラクトンには女性化乳房などの性ホルモン作用があり、エプレレノンは性ホルモン作用がないだけでなくこれらの利尿作用・降圧作用ともにフィネレノンよりも強力だから、フロセミドを使いたくないときやRAS阻害薬だけでは血圧が十分下がらないときにステロイド骨格を持ったMRAは頼りになるが、何といってもやばいのは高カリウム血症を起こしやすいってことだ(図4)。腎機能の低下したDKDにフィネレノンが優先されるのは細胞増殖・リモデリングを抑え、高カリウム血症を起こしにくいからだ。フィネレノンは心不全の適応がないから、使いたくても使えないので、ロケルマを併用しながらスピロノラクトンやエプレレノンを使う循環器医も多い。高カリウム血症の原因薬にはMRA以外にもST合剤、RAS阻害薬、ARNIがあるので併用時には高カリウム血症に気を付けよう(図5)。

 

 

2025年8月17日 X投稿
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 「これを寝る前に飲むだけでクレアチニン1.5→0.8」とか「クレアチニン1.5→0.8にガンガン落ちる食べ物」「eGFRが50代から70台に上げる方法」なんてタイトルのYouTubeがあるけど、全部ウソだよ。中には医師がこんなウソを言っている。急性腎障害で一時的に悪化した腎機能は元に戻ることはよくあることだし、セマグルチドなどで激やせするとクレアチニンが下がることがあるけど、これは脂肪が主に少なくなるけど筋肉もやや少なくなるから、筋肉由来のクレアチニンが減少して腎機能がよくなったように見えるだけのこと。こんな時の腎機能はシスタチンCによるeGFRでないと判断できないんだ。慢性心不全は薬物療法の恩恵でリバースリモデリングが起こって駆出率やBNPやNYHA分類が改善することはよくことだけど、なんで腎機能はよくなることがないのか?

 腎の糸球体はそれを取り巻く糸球体上皮細胞の足突起が脱落すると、足細胞は再生できないため、慢性腎臓病の腎機能がよくなることはありえない(図1)。足突起の脱落は高血糖や高血圧に起因する糸球体過剰ろ過で起こる(図2の下)。つまりタンパク尿やアルブミン尿が高いのを放っておくと、特に糖尿病関連腎臓病DKDでは腎機能は急激に悪化するので怖い(図3)。こうなる前に血圧・血糖管理を改善し、RAS阻害薬やSGLT2阻害薬を投与してもらうために受診していただこう。

 

 

 

2025年8月16日 X投稿
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 高齢者のちょっとしたむくみの訴えに対して、開業医は何とかしなくちゃということで、ラシックスを使うけど、それによって高齢者が脱水や腎機能の一時悪化で食欲不振・倦怠感を訴えて入院ということがよくある。そのたびごとに僕は親友の医師から愚痴を聞く羽目になる。「開業医の連中、何とかならんかなぁ。高齢者のちょっとしたむくみにラシックスを使って、結局脱水になったら入院するんや。うちのような病院が面倒見なあかんのや。ほんま何とかしてほしいわ」と。

 ある薬剤師からの訴え「循環器医がラシックスを投与すると、腎臓内科医が中止する。すると循環器医はラシックスをまた投与する。間に入った薬剤師の私はどうすればいいの?」と。循環器医は心不全によるうっ血を取って自覚症状を改善したいから利尿薬を使いドライにしたい。でも腎臓内科医は脱水による腎障害を起こしたくないから利尿薬で脱水にならないようウェットにしたい。いつまで続くのやら、この静かな戦い……。

 そこでグッドニュース。ラシックスはほぼ強制的な利尿作用だけど(とはいえ脱水になるとレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系は活性化されるけど)、SGLT2阻害薬は体液が過剰な時には利尿作用を発揮するが、脱水時には無理な利尿を起こさないのは多分、抗利尿ホルモンが体液量を精密に感知して尿量を制御してくれているからじゃないかといわれている(図1)。だからSGLT2阻害薬には利尿作用があって脱水を起こすのに急性腎作障害を起こさないのかも(図2)。そしてなんといっても慢性心不全にもCKDにも有効性が非常に高い。高カリウム血症も(低カリウム血症も)起こさない(図3、4)。SGLT2阻害薬は失われた腎機能を復活させる薬なのかもしれない。心腎連関によって心臓も守ってくれるのかも?

 

 

 

 

2025年8月11日 X投稿
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 グラム陽性菌は脂質二重相の外膜を持たないので、グラム染色で濃紺に染まった後もアルコールで脱色されないので濃紺のままだが(バイキンマン)、グラム陰性菌は紺に染まった脂質二重相の外膜がアルコールで溶けちゃうので、その後の赤色色素で赤く染まるんだよね(ドキンちゃん)。グラム陽性菌のペプチドグリカン(細胞壁)が分厚いから細胞内圧が20気圧と高いので、増殖スピードは速いけど、細胞壁合成阻害薬によって溶菌しやすい。代表的なものには黄色ブドウ球菌(耐性化するとMRSA)、肺炎球菌、溶連菌などメジャーなものはすべて球菌だ。かたやグラム陰性菌の代表的な細菌は緑膿菌、大腸菌、インフルエンザ菌、肺炎桿菌などメジャーなものはすべて桿菌だ。だから臨床的に重要な細菌はグラム陽性球菌とグラム陰性桿菌なんだ!つまり青丸の菌と赤長の菌をマークしよう!

 

 

 

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

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