2025年12月

2025年9月2日 X投稿
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 日本腎臓学会編「CKD診療ガイド2024」は実に分かりやすくていい本だよね。だけど、見つけちゃった。「十分な鎮痛効果を得るために、アセトアミノフェンは1回投与量は400mgを目安に適宜増減する。アセトアミノフェンの最大投与量は4g/日であるが、鎮痛効果が得られれば、できるだけ少ない量で投与する」ってどーゆーことなんだよ。400mg/回は解熱用量だよ。こんな低用量を提示すると整形外科医から「腎臓学会の言うとおりに処方したのにやっぱりアセトアミノフェンは効かなかった。」って言われちゃうよ。ほんでもって脆弱な高齢者にNSAIDsの漫然投与が始まり、ある患者は消化管出血、ある患者はやらなくてもいい透析導入、あるいは腎機能悪化による入院が増えるんだよ。

 

 

 じゃあアセトアミノフェンの鎮痛効果を狙った適正投与量はどれくらいなのだろう?アセトアミノフェン500mgを空腹時単回投与しても鎮痛作用を表す血中濃度5µg/mL以上になるのは1時間程度に過ぎない。これが食後服用だったらTmaxが延長しCmaxが低下するので、ほぼ鎮痛効果は期待できないから1回400mgって全然ダメじゃん。1回1000mgの単回投与では十分効果はあるが(図2)、1日4000mg/日は体格が小さな日本人ではAST, ALTの上昇が危惧される(必ずしも肝障害を起こすわけではない)。論文上では、600mg×4/日でロキソニン3錠/日に劣らない、または750mg×3回/日が適切とされている。

 

 

 

 「アセトアミノフェンの有効濃度ってどこに載ってるの?」これはこのブログ「平田の薬剤師塾」の「TDM対象薬一覧表」に載ってるから参考にしてね。

 

 

2025年8月30日 X投稿
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 頻回の嘔吐・下痢および発熱の精査目的で入院した透析導入直前の末期腎不全患者に次のような処方がなされた。なおこの患者には絶食の指示が出されている。あなたはこの処方を見て、どのような検査値をチェックし、主治医にどのようなアドバイスをしますか?

点滴:5%ブドウ糖500mL+ビタメジン®(VB1+VB6+VB12)1V+VC500mg+50%ブドウ糖20mL×2A

内服:ビオフェルミン®3g分3発熱時ロキソニン®1錠頓用

 これって実際に僕が経験した症例で、主治医は研修医を卒業したての若い医師。まず検査室に電話してこの症例の最新データをもらうと血清Na濃度120mEq/L、K濃度2.0mEq/Lで明らかな低ナトリウム血症、低カリウム血症があり、患者さんは「脱力感、嘔気」を訴えていたので、すぐ医師のもとに行き、「この処方、ぜんぶ間違ってます」と言った。輸液は腎機能が正常であれば、どんな輸液をしても腎臓が不足分だけを保持し不要なものは排泄してくれるので、不足分が補えて体調はたいていよくなるが、末期腎不全となるこの能力は期待できない。下痢ってことは水、Na、Kが喪失するので、それらを補わなければならないが、電解質の入っていないブドウ糖で血漿を希釈してどうすんのよ。おそらく腎不全患者が鳴りやすい高カリウム血症、高ナトリウム血症にならないようにと思っていたんだろうけど、僕はこの症例を見たのは処方開始後2日後で、絶食の指示が出ているので、乳酸リンゲルに変えてもらい、ビオフェルミンは胃酸で死滅するので、ミヤBMの変更していただき、ロキソニンを空腹時に飲んだら消化管出血が怖いので、アセトアミノフェン500mgの頓服に変えてもらった。その後は先輩の先生が何とか指導してくれたみたい。通常、透析患者は高カリウム、高リン血症を起こしやすいとみんな思っているが、食事摂取できない栄養不良の高齢透析患者では低カリウム、低リン血症になることはふつうにあることなんだ。

 

 

 

 2026年1月開催の平田の薬剤師塾のお知らせです。

 第62回平田の薬剤師塾 初級編は「活性型ビタミンDは第4の脅威 Quadruple Whammy」です。(薬剤性腎障害シリーズ3回目)

 ビタミンDには様々な利益がありますが、強力な作用を持つ活性型ビタミン、特にエルデカルシトールは80歳以上の高齢女性で高カルシウム血症をきたしやすく、高カルシウム血症になると尿濃縮障害によって多尿・口渇・多飲をきたし腎前性の急性腎障害の原因になります。その後の腎石灰症・腎結石にも要注意です。また尋常性感染に全身塗布する活性型ビタミンD軟膏も経皮吸収率が高く、著明な高カルシウム血症をきたします。血清Ca濃度は添付文書上では「血清カルシウム値(軟膏では腎機能も)を定期的に測定し、高カルシウム血症を起こした場合には、直ちに休薬すること」と記載されているものの、これらの処方箋の発行元である整形外科・皮膚科では採血をあまりしていただけないことが非常に悩ましいです。活性型ビタミンDはトリプルワーミー処方に続く第4の脅威なのです。こまめな飲水指導はできてますでしょうか?

◆2026年1月8(木)開催「活性型ビタミンDは第4の脅威 Quadruple Whammy」
 
お申し込みは こちら から
【申込期限:講演会開始直前まで】
【定員:300名】

(クリックするとPDFが表示されます。)

 

 第63回平田の薬剤師塾 中級者編「高齢者薬物療法と薬物動態の変化」です。
薬剤性腎障害シリーズ最終回の4回目(実は9月に薬剤性腎障害、NSAIDs)をやっているので実は第6回です。

 高齢者は容易に急性腎障害を起こしやすいし、それによる腎機能悪化、透析導入のリスクが高まります。なんで高齢者はそのように脆いのでしょうか?高齢者の腎機能の正確な評価をしていない、若年者の薬物動態パラメータ(インタビューフォームの動態パラメータは健常成年男子のもの)を高齢者用に翻訳できていない。すなわち高齢者薬物動態を薬剤師が把握しきっていないことが原因かもしれません。

◆2026年1月22(木)開催「高齢者薬物療法と薬物動態の変化」
 
お申し込みは こちら から
【申込期限:講演会開始直前まで】
【定員:300名】

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プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

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