腎機能が低下してくるとトリプルワーミーの1つであるRAS阻害薬を投与し続けてよいのだろうか?一応、アルブミン尿(+)の糖尿病関連腎臓病、蛋白尿(+)のCKD患者には後期高齢者でない限りは投与すべきだと思うが、蛋白尿(-)の高血圧患者には米国の調査では末期腎不全ではRAS阻害薬の処方率が低下している。これはRAS阻害薬を高度・末期腎不全患者に投与しても効かないんじゃないの?あるいは腎機能悪化が怖い、透析導入を早めてしまうかもしれない、という危惧からだと思う。RAS阻害薬の代わりに腎保護作用や蛋白尿抑制作用もないけど急性腎障害を起こさないCa拮抗薬の処方率が増えている(図1)。

じゃあRAS阻害薬は腎機能が悪化すると中止すべきなの?投与し続けていいの?ということに関しては報告がある。まずは観察研究だが、「RAS阻害薬中止で死亡率、CVDは増えるが透析は減る」ということで、わかりやすく言うとRAS阻害薬を続けると死亡率は下がって〇、心血管合併症も下がって〇だけど、透析導入患者は増えちゃったって、つまり×ってことだ。でも観察研究だとエビデンスレベルとしては弱い(図2)。そこで行われたのがSTOP-ACEi TrialというRCTだ。結果は図ではわかりにくいけど腎機能悪化に関してはeGFRは続けたほうがよいように見えるが有意差なし、透析導入にも続けたほうが透析導入が少ないように見えるので両方、続けたほうが〇だが、統計的には有意差なし。N数が少ないため検出力が弱かったのかもしれない(図3)。ということで、CKD診療ガイドライン2023では「高度腎障害・末期腎不全になってもRAS阻害薬を一律には中止しないことを提案する」という結論に至った。ただしRAS阻害薬を投与している患者で血清Cr値が上昇するほど透析導入、死亡リスクが高くなるということは複数の大規模コホート研究で一致しているので(図4、図5)RAS阻害薬はトリプルワーミーの1つであるということを意識し、急性腎障害が起これば速やかに一時中止すべきだ。



