2025年9月20日 X投稿
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 2019年の日本の高血圧ガイドラインは高血圧の定義は140/90mmHg未満(診察室血圧で収縮期140mmHg未満かつ拡張期90mmHg未満で、それよりも重要な家庭血圧は135/85mmHg未満)だが、実質上ほとんどの降圧目標血圧は130/80未満になったのだ。この中で例外的に140/90でよかったのが脳血管障害患者(両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞あり、または未評価)、CKD患者(蛋白尿陰性)、後期高齢者だけに過ぎなかった。しかしこれらは今回の高血圧管理・治療ガイドライン2025では診断の基準値は140/90mmHgでこれまでと変わっていないが、治療の降圧目標がすべての患者で130/80と厳しくなった(図1)。すべての高血圧患者(75歳以上であっても)に対し一律の降圧目標「130/80mmHg未満」としたが、高血圧の基準値は「診察室血圧140/90mmHg以上、家庭血圧135/85mmHg以上」で据え置きとなった。基準値と降圧目標が違うので、ややこしいが、基準値は高血圧と診断される値(140/90mmHg以上)のことで、降圧目標は血圧値をどこまで下げるかという目指すべき値(今回のガイドラインでは患者背景を問わず一律130/80mmHg未満になった)のことだ。降圧目標が一律130/80mmHg未満になったのはわかりやすくするためかもしれない

 

 

 また新ガイドラインでは新たに降圧薬が、使い方や特徴によってG1~3の3つに分類された(表1)。G1は降圧治療開始時から使用する主要降圧薬で、長時間作用型ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬、RAS阻害薬、少量のサイアザイド系利尿薬、β遮断薬の4種。JSH2014からβ遮断薬は心血管イベント発症抑制効果が他の第1選択に比べると弱かった、低血糖症状を隠蔽するなどのため外されたが(図2)、2025では特に心不全での有用性が期待できる病態で、あまり使用されていない実態があるので復活したらしい。そして降圧利用の3ステップの2ステップ目、つまりG2降圧薬にARNIとMRAが加わった。

 

 

 

要約すると診断基準は140/90で変わらないが、

(1)患者背景を問わず、降圧目標は一律「130/80mmHg未満」

(2)薬物療法の早期開始、早期ステップアップを推奨(今回新たにSTEP 1から2、2から3へは「できるだけ早期にステップアップ」するよう示された(図3)。)

 

 

(3)生活習慣改善の重要性をより強調

 ということで2019年までは2019年までは「75歳以上の人は少し緩めに」「たんぱく尿(-)のCKD患者の降圧目標は140/90mmHgで過降圧は腎機能を悪化させる可能性がある」と言われていたが、今回の改訂では75歳以上も「蛋白尿(-)のCKD患者も「130/80mmHg未満」の目標値を一律に当てはめたのはなぜなんだろう。この間にエビデンスレベルの高い論文が出てきたわけではない。逆になんで2019年に分かっていた75歳以上のSPRINT試験におけるフレイル患者のCVDアウトカム(JAMA. 2016; 315: 2673-2682:図4)を2019年には採用せずに、今回になって重要視したんだろう?蛋白尿なしの新ガイドラインの解説を読んでみると(原則個別対応)と書いてあり、蛋白尿なしのCKD患者では低血圧やめまいなどの過降圧の兆候に注意して・・・・、など、その解説の言い訳が長いのなんの。多分、疾患によって降圧目標を変えるとわかりにくいし、「140/90でいいや」と積極的な治療をやめてしまう医師・患者がいることから統一されたのかも。

 

 

 

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

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