モーラスⓇテープなどのいわゆるNSAIDsの貼付薬では副作用はどうなのか?これについてはよく質問を受けるので考察してみよう(図1)。胃障害についてはケトプロフェン経皮製剤大量使用(20 mg×8枚/日)による小腸出血が中止後に回復した報告があるし、NSAIDs小腸障害に関してはPPIなどの酸分泌抑制薬の併用は無効だ。2年にわたり治癒が遷延した胃潰瘍が,ケトプロフェン経皮製剤(40 mg×4~6枚/日)の使用中止により2か月後に治癒したという症例があった。モーラステープの経皮吸収率はインタビューフォームによると69.7 %という、経口投与以上ではと思わせる高さだ。テープを何枚も貼付すると内服薬カプセルの常用量である50mg連続投与時のAUCよりも高くなり、胃への直接刺激がないだけでもましではなく、胃潰瘍の原因になるということだ。ロコアⓇテープでも出血性胃潰瘍の学会報告はあった。

ではロコアⓇテープなどの経皮吸収型NSAIDsで腎障害は起こりうるのか?ロコアⓇテープによるAKIの報告は地方学会レベルの発表が1報、地域の医学雑誌に1報のみあった。またPubMed検索では「Esflurbiprofen patch×AKI」、「Ketoprofen patch AKI」では全くヒットしないが、「Loxoprofen patch×AKI」で76歳の女性でロルノキシカム投与によりネフローゼレベルの蛋白尿を伴う微小変化型の腎炎・間質性腎炎を発症した日本の報告がある。ロルノキシカムの投与によってネフローゼを発症したが、中止により改善傾向だったところ、ロキソプロフェンパッチを投与すると、アルブミン尿が再燃し腎機能が悪化したという報告だ。ただしステロイドなどの治療なしで投与中止のみによって回復している(図2)。さらに同じく日本でNSAIDの経皮パッチ製剤により、急性間質性腎炎および急性尿細管障害が生じたという報告があるが、活性型ビタミンD製剤と市販のCaサプリメントの服用を受けていたというのが気にはなるが、生研で証明された初の急性間質性腎炎の報告らしい(図3)。


ロキソニンⓇパップ2枚を反復投与した時の活性体AUCは内服の37.6%、Cmaxは約20ng/mLとロキソニン錠活性体trans-OH体のCmax850ng/mLのわずか、2.3%しかない。しかし特にアレルギー性の間質性腎炎、免疫系を介した蛋白尿など用量依存的ではないAKIは無視できないように感じた。
結論として高齢者にNSAIDsを使用するともっとも起こりやすい腎前性腎障害はほとんど起こっていない。腎障害が起こったとすればアレルギー性の間質性腎炎か、免疫系を介した糸球体障害だけみたいだ。濃度依存性の腎前性腎障害が起こらない理由はよくわかっていないが、最高血中濃度Cmaxが貼付薬では極めて低いことではないかと勝手に推測している(図4)。もしこれが正しいとすれば、パップ剤のCmaxはテープ剤の3.7%、錠剤の0.68%に過ぎないのだ。ただし貼付薬でもAUCが高くなるものは前述の症例のように消化管障害は起きている。テープ剤に比べパップ剤のほうが吸収率はより高いので、濃度依存性の副作用を起こさないようにするにはパップ剤のほうがより安全だろう。
