腰痛診療ガイドライン2019 改訂2版ではノイロトロピンⓇについては1977~1987年に行われた日本人の書いた5本の論文が収載されていますが、5報中、急性・慢性腰痛の疼痛を有意に改善したのは1977年の1報のみ。しかも5報で100%のうち5.4%しか寄与していないノイロトロピンⓇ使用者31名のみの論文です(図6)

図6では、有効であったという論文はTsuyama1977とありますが、引用文献を見ると日本語で、しかも基礎と臨床(検索期間外)となっております。ちなみに「基礎と臨床」という雑誌はメーカーと医師が共同して「○○の使用経験、臨床効果」など主観的判断で薬効を評価するようなレベルの低い雑誌で、毎月発行され、その1冊が400ページもあるメーカーのお抱え雑誌で、複数査読性雑誌ではないのではないでしょうか。だって「○○の使用経験」という論文ってタイトル名だけで、まずタイトルだけでまともな査読者はリジェクトするでしょ?同じ刊には「腰痛症におけるポンタールⓇの使用経験」という論文がありました。ポンタールⓇはロキソニンⓇが販売される前の同じメーカーの主力NSAIDでしたが、この論文は当然ですが腰痛診療ガイドライン2019のシステマティックレビュー(SR)論文の対象にはなっていません。ノイロトロピンⓇのエビデンスを示した図6のその他の論文もすべて和文でClinical Question2「腰痛に薬物治療は有用か」という章の中で和文論文は奇異なことに、このノイロトロピンⓇに関する非常に古い論文5報のみで、その他はすべて英語論文でした。これらのタイトルはすべて二重盲検比較試験とされていますが、今だったら二重盲検比較試験を和文で書く研究者はいないと思います。なんで「複数査読制の英文誌に投稿しなかったの?」と思ってしまいます。このようなレベルの低い論文でシステマティックレビューをしたガイドラインって信頼できるのでしょうか?1980年前後って論文執筆者のCOIなんか調べていないのに、こんな和文論文を採用できるのでしょうか?ノイロトロピンⓇは副作用の少ない薬であることは認めますが、トラマドールと同等でアセトアミノフェンよりもエビデンスレベルが高いことが不思議でなりません。ちなみに2018年に刊行された慢性疼痛治療ガイドラインではアセトアミノフェンは1A(使用を強く推奨する)なのですから。「このガイドラインの問題点」は山ほどありますので、まとめてみました。このガイドライン作成委員の先生方、反論をいただければ幸いです。納得できるデータを見せていただければこの意見を撤回し謝罪させていただきます。

