加齢とともに腎機能は低下する。じゃあ、加齢とともにeGFRは低下するかといわれると、じつは加齢に伴って腎機能eGFR値が信頼できなくなるんだ。eGFRは血清クレアチニン値を基に以下の式で算出される。
eGFR: 194 × Age -0.287 × Cr -1.094 × 0.739(女性)
例えば寝たきりの高齢者は筋肉を使わないため、みんなサルコペニアだから、骨格筋由来の血清クレアチニンは0.2~0.4mg/dLの世界で、なんとeGFRが100を超える、200mL/min/1.73m2を超えるということが普通にあるが決して腎機能が素晴らしくいいのではなくて、筋肉量が少ないだけなのだ。活動度の低い要介護度の高い人も同じことだ。このような患者にバラシクロビル3000mg/日を投与したら、当たり前にアシクロビル腎症・脳症をきたし、2~3日の連続透析が必要となる。こんな時に頼りになるのが筋肉量に依らない腎機能マーカーのシスタチンCだ。腎機能は加齢とともに最も低下する生体機能だ(図1)。でも加齢とともに骨格筋量が減少し80歳代の男女ともに50%以上がサルコペニア。ということは80歳代の患者さんの血清クレアチニン値を基にしたeGFRは過大評価され、ほとんど信用できないってことだ(図2)、血清シスタチンCは上がって腎機能は確かに低下しているのに、血清クレアチニン値は上がってくれないのだ(図3)。僕たちの検討でも赤丸で示す寝たきり患者はみんな実測腎機能よりも腎機能が高く見積もられていた(図4)が、その他のリハビリに励んでいる高齢者のeGFRは実測腎機能との相関性は非常に高かった。




80歳代の高齢女性で体重40kg以下になっているような患者さんは日本にはとても多い。前述のように活動緯度の低い高齢者の腎機能は血清クレアチニン値を基にしたeGFRでは測っても意味がない。腎排泄性のハイリスク薬を投与しなきゃいけないときには血清シスタチンCを基にしたeGFRを用いてほしい。だけど薬剤師が測定依頼をしないから医師も「シスタチンCって何?」と言って測ってくれない。だからいつまでたっても3か月に1回しか測定できない、測定費用は1回1000円以上かかるという状態が続くんだ。測定回数が増えて、当たり前になれば、検査費も安くなり検査感覚も短くできるはずだ。「シスタチンCって何?」っていう医師をなくそうよ、薬剤師の力で。