何度かやめようとしたが、むかつき、何とも言いようのない胃部不快感でやめられず。もう15年以上、欠かさず飲んできたPPI。平田は健康には気を使っており、結構食物繊維もビオスリーも摂っているので、腸内細菌叢に関しては自信を持っていた。でも5月に行った腸内細菌検査の結結果は図のごとく、「判定C」!なんとビタミンを作る力は5点満点の最低点1(ナイアシン、B12欠乏症?)、有害菌の少なさ2点と惨憺たるものだった。この理由はPPIの長期連用のためと分かってる。熊大教授に赴任したとき、新たな教授職に加え、学会理事を複数務め、論文や講演の依頼はすべて「チャンスなんだ」と前向きにとらえ、断らなかった。好きな仕事なのでストレスにはならなかったけど、論文数が1年50本以上になった時には土日も大学に出てきて仕事していたけど、締め切り地獄で寝る時間がない!結局、コーヒーの飲み過ぎによる胃障害でのたうち回り、胃カメラで「胃潰瘍」と分かりPPIを常用するようになった。PPIの長期使用は良くないことは知っているので、何度もやめようとしたけど、胃症状や口臭(これってホントいやだね)が再燃するためPPIをやめられない身体になってしまった。そして主治医と相談し、PPIをやめることを決意。作戦は「①胃症状がきつくなったら、効果発現の速いタケキャブを頓服で飲む。そして②効力の弱いH2ブロッカーのガスターにレベルを下げる。③H2ブロッカーも効果発現は早いので、基本的には常用せずに、調子の悪い時だけのむ。④胃に良くないカフェイン含有飲料のコーヒー、お茶はすべてやめる。」というもの。そうすれば胃酸分泌が再開し、有害菌を殺菌してくれて、腸内細菌叢が改善するだろうということ。昨日まで20日くらいやめていたけど、この2~3日、むかつき、胃部不快感が再発。幸い、口臭はないみたいだけど、今朝、初めての頓服でタケキャブを飲んだ。素晴らしいもので2時間後には、曇天の空が快晴になるような爽快な気分になった。
PPIってホントいい薬なんだよね。短期的には安全だし、極めてよく効くし。でも長期にわたって胃酸が全く分泌されなくなると、①胃酸分泌の抑制による腸内細菌叢の変化によってクロストリジオイデス・ディフィシル(CD)腸炎などの多剤耐性菌のコロニー形成のリスクになる(図1)、②Mgの吸収障害による重度の低マグネシウム血症により、QT延長、心停止を起こす可能性がある。TdP (Torsades de pointes)発症患者の半数以上が低マグネシウム血症でTdP発症群の血清Mg濃度は低く、PPI服用中にTdP発症群の血清Mg濃度はさらに低いことが報告されている(図2)③胃酸分泌抑制によって吸収されにくくなる薬物がある(アゾール系抗真菌薬のイトラコナゾール、HIV抗レトロウイルス薬のリルビビビン、アザタナビル、チロシンキナーゼ阻害薬のダサチニブなど)④PPI長期投与によってビタミンB12の吸収障害(PPIを常用している平田も欠乏レベルに近かった)。


そのほかにも様々な報告がある。Ca吸収障害による骨折のリスク増加、種々のがんリスク上昇、肺炎のリスク上昇、認知症悪化リスク上昇など様々だが、これらは矛盾するデータも多く、交絡因子の影響を受けているものが多いので確立されていない。本当にPPIの必要な患者さんに対して、再生回数を増やすために、明確になっていない副作用、薬の怖さだけ強調して患者さんの不安を煽る医療系SNSはほんと、何とかしてほしい。

