今日は朝6時に起きて朝食を食べるとJohnに場所を聞いておいたバス停にダッシュ。10月はまだサマータイムだから朝1011.pngは真っ暗。約束どおり7時半に腫瘍病棟のDr. Joe Bubaloのオフィスに行く。Aliのオフィスと違って部屋中、本や文献だらけで足の踏み場もないほど滅茶苦茶に散らかっている。即、病棟に行き7時から患者の処方チェック。癌についてはほとんど知識がないので、最初はOncology(腫瘍学)に行くのはすごくいやだったが、実際には抗がん剤の投与よりも癌による合併症対策の薬物療法が中心で、感染症、麻薬、嘔気などの治療薬が主だったので、少し安心。ザイロリック3錠の処方に「抗癌薬を使用して間もないんだからtumor lysis syndromeの心配もないな」と処方中止を検討していた。毎週火曜日の8時にはカンファレンスがあるので行こうと言われ一緒に行くが、Joeは話を聞かず処方チェックを続けていた。彼はOncologyの3病棟の患者のすべての処方をチェックし、検査値、病態をチェックしているのだからかなり忙しいみたい。ただしAliも一緒だけどいくら忙しくても日本人(白鷺病院の薬剤科)のように遅くまで残ることはなく、超スピードで仕事を済ませ、5時には帰る。

1011_2.png今日のカンファレンスのテーマは薬物相互作用。講師は3名の女性で、当然薬剤師と思いきや全員ドクターとのこと。内容は症例を提示しながら興味深かった。それにしても、日本の臨床医で、1人でもCYP3A4, 2D6の相互作用、遺伝子多形、P糖蛋白質を介したジゴキシンの相互作用について話のできるドクターが日本にいるだろうか?目新しい話としてはセロトニン症候群、抗菌薬による低血糖などが興味深かった。JoeによるとこのカンファレンスはOncologyだけでなく病院全体のものだ。

9時からの講義は虚血性心疾患と末梢血管障害、不整脈についてどちらもPharm Dの講義。少し眠い。1時間後に5分間のブレイクがあるため、ダイエットコークを買いに走る。今日の講義はテキストがあらかじめ配布されていない。こういうときは学生は講義をICレコーダーやPDAを使って録音しているが、香港から来たKevin Tzeだけは僕と同じようにMDウォークマンを使って録音しているが、KevinのはよくみるとSonyのHi MDで日本では4万円位するがアメリカではなぜか1万5千円で買えるらしい。でもアメリカのMDウォークマンにはリモコンが付いていないのだ。そういえば初日に僕がMDウォークマンで録音していたら、リモコンを指差して「これは何?」ってKevinに聞かれたことがあった。今はベトナム系のHai、メキシコ系のSully、中国系のKevinの3人が一番親しい。Man(Martin) Wongには今日、自己紹介され、握手した。なぜかPharm Dコースではアジア系の友達が多くできる。

午後はMichael JohnstonというスキンヘッドのPhDコースの学生と一緒に検査値と病態をチェックする。彼はOncologyに来て3週間目だがJoeも言っているようにまじめで優秀な学生だ。

きちんと全患者の処方、検査内容を把握している。そして身長・体重から理想体重、体表面積を計算し腎機能をCockcroftの式より算出して約50人の投薬内容をチェックし、必要のない薬物を削除し、必要な薬物を投与し、投与量の増減を最適にする。最終的にはドクターに電話し、了承を得てからカルテのドクターのサイン欄だけを残して、処方を適正に変更する。Joeはドクターからの信頼も厚く、了承を得られないことはまずない。オレゴン州ではNurse Practitionerが抗がん剤以外の抗菌薬や抗ウイルス薬、抗真菌薬の投与も可能であるが、薬剤師にはその処方権はない。Nurse Practitionerはほぼドクターと似たような仕事をしているが、Joeの前ではJoeの言いなりで、薬のことがわからなければ納得するまでJoeに質問している。これだけの実力のある薬剤師に処方権がなく、薬のことを知らないドクターやNurse Practitionerに処方権があること自体が不思議で仕方ない。

1011_3.pngAliと違ってJoeは服薬指導にはあまり行かない。行くとすれば処方変更することによって不安を感じる患者だけだ。免疫能が弱っている患者が多いため、ドア越しに服薬指導する。今日みた症例は高齢女性だが、抗がん剤の副作用で髪の毛がまったくなく、不安感が強い。やはり癌病棟の服薬指導は難しい。Oncologyの病棟での薬剤師の役割は服薬指導よりも投与設計と薬物の適正使用が最も重要だと感じた。

アパートに帰る。もったいないくらい広くてきれい。リビングは15畳くらいでキッチンもカウンター式でかなり広いし、巨大な皿洗い機とグリルが付いている。これらは1度も使わないかもしれないな。それにしても部屋が暗い。部屋が暗いのでレンタル家具で照明をつけることを勧められて借りたが、大理石でできた巨大のつぼに裸電球がついて傘が付いたもの。豪華であるがちっとも明るくない。日本の洋式ホテルは何でこんなに暗いんだろうと思っていたが、アメリカの普通の家と同じなんだと思った。ただしリビングやベッドルームが暗い分、台所やバスルームは必要以上に明るい。これから台所で勉強しようかな?

 

今日習ったこと:10/11

NSU: neurosurgical unit(脳外科)

OBS: observation

MED: Medical(内科)

ONC: oncology

ENT: ears, nose, and throat

Tramadolはμアゴニストで、非麻薬性鎮痛薬、中等度から重篤な痛みに使用。

脳腫瘍にはデキサメタゾンを使用する。

Air hungerとは末期がんの呼吸不全。末期なので、死亡前にモルヒネを使用することが原因。

Neutropenic;好中球減少

シクロスポリンの至適トラフ濃度は通常は200~300で、重症の場合は400~500ng/mL。

Serotonin syndromeとはphenerzineというMAO阻害薬の抗うつ薬投与によって起こる。ハロペリドールによって抑制した患者が4時間後、呼吸停止になる。Serotonin syndromeの症状は倦怠感、傾眠傾向、Air hunger(アシドーシスなどで、著しく深い換気により細胞換気を増加する。CaCo3をより多く呼出する)

カルバマゼピンにジルチアゼムを投与することによって痙攣が起こる。

ニフェジピンにイトラコナゾールを併用することによってankle edemaが発症する。そのときの血清ニフェジピン濃度は12.7ng/mLから54.7ng/mLに上昇していた。

メトプロロールにフルオキセチン併用で徐脈、血圧低下などのメトプロロールの作用が強く現れる。

黒人のCYP2D6のPMはアジア人と同じ1%以下だが、白人は8~10%。

SSRIのフルオキセチン、パロキセチンと2D6基質のメトプロロールの作用が強く現れ、コデインは痛み止めとしての効果が現れない。

ジゴキシンとワルファリンの相互作用はERで多い。

ベンゾジアゼピンのことをBenzoと略す。

ベラパミル、キニジン、シクロスポリン、クラリスロマイシンは強いP-gp阻害薬。オメプラゾールは弱いP-gp阻害薬。アトルバスタチン、トリメトプリム、アミオダロン、プロパフェノン、スピロノラクトンも血清ジゴキシン濃度を上昇させる。

添付文書のことをpackage insertという。

QT延長の起こる薬物は全ての抗不整脈薬、ハロペリドール、チオリダジン、リスペリドン、マクロライド、メサドン、ドロペリドール、ドンペリドン、クロルプロマジン、三環系抗うつ薬、SSRI、キノロン、ペンタミジン、オンダンセトロン(www.Torsades.org

キノロンにより低血糖が起こることがある。レボフロキサシン投与6時間後血糖値が6mg/dLに低下(Friedrich and Doughety, 2004: The exact mechanism of this effect is unknown but is postulated to be a result of blockage of adenosine 5′-triphosphate-sensitive potassium channels in pancreatic beta-cell membranes.)。

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)