各分野の薬剤師のスペシャリストが出てこなければ

医療において薬物療法は大きなウエイトを占めていることは言うまでもありません。特に本邦での医薬品使用量は全医療費の??%を占めており、先進諸国のトップクラスに位置しております。しかしこの医薬品が使用されている頻度に相関して臨床薬剤師が活躍しているとそうではありません。薬剤師は薬物療法のスペシャリストでありながら、臨床薬物療法における学会発表数・文献執筆数は医師と比べて非常に低いというのは明らかだと思います。

我々は透析患者への投薬ガイドラインの作製に着手して10数年になり、年々、その内容はグレードアップしており、インターネットでの使用者も続々と増えつつあります。薬物を使用した後の効果・副作用の評価に関しては薬剤師だけでなく、医師でも研究可能な分野でしょう。しかし、薬物動態となると、基礎で臨床薬理を専門とした経験のあるドクターは別として薬剤師の方が専門性は高いと思えます。いまだに安全に使用できない薬物は多くあります。病態に伴う薬物動態の変化についてまだまだ分かっていない分野も数多くあります。たとえば、癌患者におけるより安全で効果的な化学療法は薬物動態をよく理解した臨床薬剤師の参加によってもっともっと進歩する可能性があります。産科・婦人科での投薬ガイドラインができれば、どんなに多くの人が救われるでしょうか。肝硬変の患者、糖尿病の患者など、さまざまな分野で働くスペシャリストの薬剤師が活躍し、動態に関するスタディを行い積極的に専門性のある学会で報告していけば本当の意味で臨床薬剤師という言葉が一般的に認知されると考えます。

臨床薬剤師という言葉が聞かれるようになって20年以上が過ぎていますが、一般の人で臨床薬剤師という言葉を認識している方は、そう多くはないと思えます。いつまでも薬学系の学会に閉じこもって、臨床とは関係ない発表ばかりやっていては薬剤師の存在価値は上がるはずはありません。

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)