2006年に熊本に来て、抄読会のメリットを伝えたかった。毎週火曜日の夜7時半には必ず抄読会か育薬セミナーがあるのが普通になりました。12年間でほぼ500の論文を読んだことになります。昨年までは月間薬事に毎月2つの論文の要約とコメントを連載していました。
抄読会の効用は
① 英語力(医学・薬学英語)が身に着く
② 飛び切り最新の情報(ガイドラインが作られる前の生の情報)が身に着く
③ 知りたい情報を検索して、自分で解決する能力が身に着く
④ 文献に対する評価・批判が身に着く
(この論文はここがすごい、この論文は方法をこうしたらもっとレベルの高い論文になるのに…などです)
などがあげられます。
③に関してはPubMed検索して、入手できる論文はPDFで入手し、カテゴリー別に分類保管し、学会発表や論文を書く時の引用文献になるかもしれませんし、新しい研究テーマにつながるかもしれません。この先々、プレゼンで使える図表をパワーポイントで作成したり、入手できないものは抄録だけでもコピペして訳す。これで速読術も身につき、白鷺病院時代には100本のPubMedの要約を60分間の通勤時間で訳せるようになりました。とにかく、薬剤師として1つの壁を乗り越え、確実に実力が身につきます。それと僕らの世代では習っていない⑤ 統計学が身につきます(僕はあまり得意ではありませんが、今でも少しずつ進歩していると思います)。
ただしこれらはすべて継続していればのことです。熊大でやっていた抄読会に参加した経験のある方は非常に多いです。すっごい意気込みを持って「参加したい」言ってくる先生方もいらっしゃいますが、ずっと続けて参加していただけた先生方はわずかです。自分からプレゼンしてくれる先生はやはり違います。その中に温石病院の森 直樹先生がいらっしゃいます。この先生は12年以上前からずっと参加してくれています。今や誰もが認める立派な薬剤師ですね。僕も気が付けば40年以上、途切れることなく抄読会に参加してきたことになります。まさに「継続は力なり」だと思います。
写真:おそらく500回目?熊大最後の抄読会