① 2004年4月~2017年1月までのthe Japanese Adverse Drug Event Report (JADER) databaseによると薬剤性腎障害の原因薬物として最多は?
A.ロキソプロフェン
B.バラシクロビル
C.シスプラチン

正解:B
バラシクロビルとアシクロビルを加えると1000件以上で断トツの1位。ロキソプロフェン+ジクロフェナクで約500件で2つ併せるとNSAIDsは2位(表1

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② グレープフルーツを食べても問題ないとされている薬は?
A.イブルチニブ
B.アムロジピン
C.シンバスタチン

正解:B
アムロジピンは論文でグレープフルーツジュース(GFJ)によってわずかに血中濃度が上昇したという報告はあるが、一般的にグレープフルーツの相互作用を防ぐための選択肢としてアムロジピンを推奨されている。イブルチニブのFは絶食時2.9%、食前7.6%と非常に低いのでGFJの併用によって2.1倍になる。シンバスタチンもFが5%のみなので、阻害力の強いイトラコナゾールの併用で活性体のAUCが19倍になり(図1)GFJでも血中シンバスタチン濃度は10倍になる。

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③ 「イトラコナゾールは投与量を増やすとすごく効く」と言われるが、AUC依存的な抗真菌作用を示す以外で考えられる理由は?
A.フェニトイン型の非線形の薬物動態を示すから
B.バルプロ酸型の非線形薬物動態を示すから
C.カルバマゼピン型の非線形薬物動態を示すから

正解:A
図2)、投与量を増やすと確かによく効くが、血中濃度が非線形的に上昇するため、よく効くが、当然副作用も起こりやすくなる。

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④ 腎機能低下患者では特に重篤な低血糖を起こしうる薬はどれか?
A.アマリール
B.グリミクロン
C.グルファスト

正解:A
アマリール(グリメピリド)だけでなくグリベンクラミド、グリメピリド、クロルプロパミド、アセトヘキ サミド、ナテグリニドには低血糖作用を示す活性代謝物があるため(表2)、腎機能が低下するほど蓄積しやすくなる。グリミクロン(グリクラジド)には活性代謝物がない。

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⑤ 心移植患者があるサプリメント摂取開始3週間後に重篤な拒絶反応。原因のサプリは何か?
A.うつ症状に効くサプリ
B.認知機能を悪化させないサプリ
C.血液をサラサラにするサプ

正解:A
うつ症状に効くサプリのセントジョンズワート(西洋オトギリソウ)。これらはドイツ語圏では医療用医薬品に指定されており、日本ではファンケルやDHCなどからコンビニでも売られている。図3は心移植後に3週間セントジョンズワートを摂取したため、血中シクロスポリン濃度が低下し重篤な拒絶反応が起こった2症例である。リファンピシン、フェニトインなどのように代謝酵素を誘導するため、併用される薬を効かなくさせることがあり、ピルを飲み、セントジョンズワートを摂取していた女性が妊娠し堕胎した症例報告もある。

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⑥ ステロイド抵抗性膜性腎症患者にシクロスポリンを投与すると筋肉痛が起こった。禁忌になっている薬は薬剤師がすべてチェック済み。何が投与されていた患者?
A.リピトール
B.ベザトールSR
C.ローコール

正解:A
スタチンを取り込むトランスポータ有機アニオントランスポータをシクロスポリンが阻害するため、スタチンが肝に取り込まれなくなって血中濃度が上昇する。ストロングスタチンのクレストール、リバロはシクロスポリンと併用禁忌になっているが、この相互作用が分かる以前に発売されたリピトールは禁忌になっていないが、シクロスポリンによってCYP3A4も阻害されるため、CYP3A4基質のリピトールの相互作用はクレストール、リバロよりも強力である。ローコールはこのトランスポータの基質にならない(表3)。

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⑦ 日本のガイドラインで推奨されている75歳以上のCKDステージG4患者に最適な降圧薬は?
A.Ca拮抗薬
B.ACE阻害薬
C.ARB

正解:A
エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018では「75歳以上の高齢者のCKDステージG4,5では,脱水や虚血に対する脆弱性を考慮し,Ca拮抗薬を推奨する」と記載されている。腎血漿流量を低下させる利尿薬、糸球体内圧を下げるRAS阻害薬はうまく使えば腎保護作用を発揮できるが、容易に腎虚血になりやすい高齢者には、使いにくい「両刃の剣」となる。

⑧ コルヒチンを飲んでいる人がある種の抗菌薬を併用すると10%以上の人が死亡した。この原因抗菌薬は?
A.クロラムフェニコール
B.ST合剤
C.クラリスロマイシン

正解:C
コルヒチンはCYP3A4基質であるとともに排泄トランスポータのP糖タンパク質の基質であり、クラリスロマイシンはCYP3A4、P糖タンパク質の阻害薬である。コルヒチンの中毒作用は下痢、脱毛、顆粒球減少症であり、コルヒチン服用者にクラリスロマイシンが併用されると汎血球減少症によって10%以上の人が死亡したという報告がある(表4)。

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⑨ フェニトイン300mg/日を飲んでいる人にバルプロ酸1200mg/日を併用したらフェニトインの蛋白結合率が通常90%だったのが75%に低下した。臨床症状として何が起こるか?
A.フェニトインの効果が増大する
B.フェニトインの副作用が起こる
C.何も起こらない

正解:C
フェニトイン血中総濃度は低下し、フェニトイン遊離型分率は上昇するが遊離型濃度は不変のため、臨床症状は変化しない(図4,5

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⑩ バンコマイシン散を投与時に併用して効果があるプロバイオティクスは?
A.ビオフェルミンR
B.ラックビーR
C.ミヤBM

正解:C
ミヤBM(活性酪酸菌: Clostridium butyricum)は芽胞を形成するため、胃酸にも消毒薬にも抗菌薬にも死滅せず、空腸に達してから発芽する。いわゆる耐性乳酸菌はキノロン系抗菌薬やバンコマイシンに殺菌される。

⑪ ハルシオン錠2.5mgを1錠服用患者がリファンピシンが併用されてから不眠になった。ハルシオン錠2.5mgを何錠のませれば以前と同じように効くようになる?
A.2錠
B.8錠
C.20錠

正解:C
図6.に示すようにプラセボ群に比しリファンピシン併用群ではAUCが5%に低下するため、20錠に増量すれば同じ効果が得られるが、こんなことはしない。

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⑫ サインバルタが高度腎障害患者に禁忌である理由は?
A.腎排泄性薬物だから
B.腎排泄ではないが血中濃度が2倍になるから
C.活性代謝物が蓄積するから

正解:B
サインバルタの尿中未変化体排泄率は0%だが、なぜか高度腎障害患者では血中濃度が2倍になる。おそらく尿毒素が蓄積して薬物代謝酵素あるいは、排泄トランスポータの翻訳後修飾などによる発現量低下、昨日の低下などが原因と予測される。(図7

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⑬ エディロールを服用して急性腎障害になった。その主原因は?
A.多尿による脱水から腎前性腎障害
B.尿細管の石灰化
C.リン酸Caの結晶形成による腎後性腎障害

正解:A
BCも考えられうるが、主原因は高カルシウム血症による尿濃縮障害から多尿、脱水から腎前性腎障害を起こすことによる。

⑭ メロペネムの感受性は高いのに1.0gを1日2回30分点滴投与しているのに効きにくい。どうすれば効くようになる?
A.1回0.5gを1日4回1時間点滴で投与する
B.1回2.0gを1日2回30分点滴投与に増量する
C.1回3.0gを1日1回30分点滴投与する

正解:A
セフェム系、カルバペネム系などのβラクタム系抗菌薬の殺菌作用はtime above MICと相関する(図8)。つまり殺菌力を上げようとすればMIC以上の濃度をできるだけ長時間持続させることが重要。一時的に濃度を高くしても(図9左)、投与量を多くしてもあまり効果は上がらない(図9右)。

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プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)