【7位】サピエンス全史 上下 文明の構造と人類の幸福

Yuval Noah Harari著 単行本 各巻¥2,090

 僕が一番よく読む本は歴史ものなんです。若いころは司馬遼太郎の歴史小説にはまって、夢中になってほとんどを読みつくし、特に幕末物が好きでした。今は日本史だけではなく、世界史も中国史もどれも面白いのですが、この本に関しては人類史のとらえ方が独創的なのことに惹かれました。

 イスラエルの歴史学者で哲学者ユヴァル・ノア・ハラリの、世界で1,200万部を超えるベストセラーです。なんとこの方、平田よりも22歳若い45歳です。ヒトは決して最強の動物ではないのに、ホモ属の中でなぜサピエンスだけ生き残り、世界を支配できるようになったのか?そして歴史で示される限り、ずっとずっと国家間の争いが絶えないのか?約7万年に起きた「認知革命」、約1万2000年前に起きた「農業革命」、そしてわずか500年前に始まった「科学革命」でヒトの歴史を理解します()。

 「○○のために団結する」ことができたのはホモ属の中でサピエンスだけだった。これが「認知革命」で、○○とは国家、宗教、法律、会社などが入りますが、これらはすべてヒトが作り上げたフィクション(虚構)なのです。お金も人間が発明したストーリーでヒトはそれを信じています。そして自ら作り上げたフィクションによって人類は協力しあうことができて最強になったというのです。そして様々な巨大な動物種をほとんどすべて絶滅に追いやったのはサピエンスの仕業だったのです。

 「農業革命」は人口を飛躍的に増大したが、果たして人を幸せにできたのでしょうか?ほとんどのヒトがその体型からは慣れない姿勢での長時間労働によってヘルニアや腰痛で苦しみ、階級や差別を生み、特権を持ったわずかな人のみの飽食や搾取が始まりました。狩猟採集生活の方がヒトの体型にあっていたし自由で刺激的だったのです。結局、小麦や米はヒトを豊かにしてくれたのではなく、サピエンスが小麦や米によって家畜化されたのです。

 「科学革命」では人類の科学技術は政治や産業界の求めに応じて飛躍的な発展を遂げ、医療や遺伝子工学や、コンピュータなどの電子機器の発達などに伴って人類を非死(事故やけがによって死ぬので不死ではない)の境地に導きつつあります。

 今やヒトは神の領域に入りつつあるわけですが、精神面での発達はほとんどなく、狩猟採集生活をしていた時期よりも後退している可能性があります。自分たちの欲望をコントロールすることもできていないのですから。今、「わたしたちは何を望みたいのか?」という疑問に直面しています。

 「人間って何?」という深い疑問に対して、これまでの固定観念が崩れ、新たな思考が広がり、人生観を変えるかもしれません。サピエンス全史が人類の過去について、そしてハラリ氏の新作ホモ・デウス(神のヒト)は飢饉、疾病、戦争という問題を解決した人類の未来について予言したもので、これも考えさせられます。また、ジャレド・ダイアモンド氏による「銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎」も併せて読んでみたい書です。

 

 

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)