第29回の「基礎から学ぶ薬剤師塾」は2023年9月15日(金)18時半から(20時半までの予定)です。今回より基本的に第3金曜日の18:30に録画ではなく2時間のライブとなります。登録していただいた方のみ視聴できますが、今回よりライブのみで再放送はありません。大変、申し訳ありませんが、ひと言でいうと「人手不足」のためです。テーマも変わります。
今回のテーマは「初心者向けシリーズ② 2型糖尿病とその治療薬」(これは翌月10月の予定です。)ではなく前回の続編、「CKDの薬物療法総まとめ~エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023を読み解く~その2」です。8月12日の薬剤師塾1回だけではCKD診療ガイドライン2023を語りつくせませんでした。今回はいよいよ第10章の薬物療法からです。クレメジン、重曹、SGLT2阻害薬の腎保護作用、そしてNSAIDsやPPIなどの薬剤性腎障害、シックデイ対策、RAS阻害薬は腎不全になると中止すべきか、非糖尿病患者へのSGLT2阻害薬の推奨度は?保存期CKD患者への活性型ビタミンD治療は推奨される?などのテーマ、そしてまとめとして理解度テストも用意しています。
参加を希望される方は 申し込みフォーム に記入のうえ、送信してください。

薬剤師塾となっていますが、医師・看護師など医療従事者であれば参加可能です。ただし薬剤師塾への参加者は、ぜひ学会発表を目指している方に参加していただきたいと思います。そして活発なディスカッションに参加して薬剤師塾を大いに活性化いただける方に参加していただきたいと思っています。300名まで参加可能ですが、最近の登録者数は200名を超えていますので、早めに登録してください。
腎の構造と機能から学ぶCKDの病態
3日目 腎臓の構造について学ぼう
~まずは糸球体の役割から~
腎の構造を知らないと「CKDはなぜ治らない病気なの?」とか、「糖尿病の症例って最初は腎機能がとびきりいいのに、そのまま無治療で放っておくと、なんで急激に悪化して透析導入になってしまうの?」とか、「なんで腎臓は高血圧で悪化するの?」などについて理解できないし、薬剤師なのにサイアザイド系利尿薬とループ利尿薬の違い、フォシーガⓇなどのsodium-glucose cotransporter-2(SGLT2)阻害薬、レニベースⓇやオルメテックⓇなどのrenin-angiotensin system(RAS)阻害薬、ケレンディアⓇなどのmineralocorticoid receptor antagonist (MRA)、ネスプⓇなどのerythropoiesis stimulating agent (ESA)、エベレンゾⓇなどのhypoxia-inducible factor prolyl hydroxylase(HIF-PH)阻害薬などの腎に作用する薬の作用機序がいまいち理解できないのだ! この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
腎の構造と機能から学ぶCKDの病態
2日目 ヒトは細胞内液に原始の海を細胞内液には太古の海を持っている
46億年前に生まれた原始地球には大陸はなく、1,000℃以上の高温のマグマで赤色をした海に覆われた殺伐としたものだった。地球にはじめて降り注いだ雨は、地殻の底に閉じ込められていたNa、Mg、K、Fe、Cu、Caなどのミネラルを溶かし出した。こうして多くの物質を含んだ海になったが、この時の大気中に酸素はほとんどなかった(図1)。

その後、38億年前に安定した海の中で蛋白質や核酸が合成されて単細胞の生命体が誕生した(図2)。単細胞生物は海水中の栄養分を細胞内に取り込み、 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
腎の構造と機能から学ぶCKDの病態
1日目 体内水分量と電解質の調節
~細胞外液の主役はNa、細胞内液の主役はKである~
腎臓の主な役割は何度も言ってきたが、下記の4つだ。
①老廃物・薬物を排泄する
②体内水分量を一定に保つ
③体液電解質濃度を正常に保つ
④血液のpHを4に保つ(酸塩基平衡の調節)
上記の②③④について深掘りしてみよう。では皆さんは以下のクイズに答えられるだろうか?
水の組織内分布についてのクイズ(解答は最後)
1.体内水分量は体重の何%?
2.細胞外液量は体重の何%?
3.細胞外液量は体重の何%?
4.細胞間液(間質液)量は体重の何%?
5.循環血漿量は体重の何%?
6.循環血液量は体重の何%?
細胞内液と細胞外液の組成の違いについてのクイズ(解答は最後)
7.細胞外液のカチオンの主役は何?
8.細胞内液のカチオンの主役は何?
9.細胞外液のアニオンの主役は何と何?
10.細胞内液のアニオンの主役は何と何?
11.Mg濃度は細胞内液、細胞外液のどちらが高い?
12.Ca濃度は細胞内液、細胞外液のどちらが高い?
13.細胞間液(間質液)と血漿の組成の最大の違いは何?
体内水分分布の意義
体内水分量は健常成年男性では体重の60%だが、胎児は90%、新生児は80%、体内脂肪量がやや多い成人女性や筋肉量が減少し脂肪に置き換わる高齢者は55%、肥満成人では40%になる(図1)。高齢者、特に日本人で小柄な高齢女性(体内水分量が少ない)でバラシクロビル、シベンゾリンなどの様々な腎排泄性薬物(≒水溶性薬物)などの副作用発症率が高いのはもともと体内水分量が減少していることと、高齢者は脱水になりやすいためにこれらの血中薬物濃度が上昇しやすいことが関係しているのだと思う。

血清電解質の意義
電解質とは体液中に含まれる無機イオンのうちNa,K,Cl,Ca,P, Mgなどを総称する言葉であり、細胞内液と細胞外液とでは組成が大きく異なっている(図2)。これらの電解質は腎臓の尿細管に存在する様々なトランスポータやアルドステロンなどによって精密に制御され、バランス良く一定の濃度・比率で存在する。しかし電解質の体内分布、調節機序の異常などをきたす病態によって、これらのバランスが乱れると致命的な濃度変化を引き起こすことがある。電解質の体内濃度の観察は通常、血清(血漿)濃度によって表す。血清量は体重の5%を占めるに過ぎないが、血清電解質は生命維持のため重要な役割を果たしている。たとえばNaは細胞外液の浸透圧の維持、Kは神経伝達や心筋の活動に重要な働きを持っているが、高カリウム血症は不整脈によって突然死するくらい怖い。MgはNa, Kほど注目されないが最近になって様々な酵素の働きを助け、神経伝達と関係して腎不全患者の心血管合併症を防ぎ、リン毒性を中和する作用などが注目されている。血清は血管内にあって全身を循環しながら組織間液との間で物質交換をしており、血清と細胞間液とで細胞外液を構成している。このことから血清電解質の濃度変化を観察することにより全身の電解質代謝異常の有無を知ることができる。

水の組織内分布についての解答(図3)
1.60%だが、女性・高齢者は脂肪の割合が多いので、50-55%
2.40%で体内水分量の2/3
3.20%で体内水分量の1/3
4.15%で細胞外液量の3/4だが浮腫の時に増えるのはこれ
5.5%で細胞外液量の1/4
6.7%(体重の1/13と覚える。心拍出量に近似するのは偶然?)
細胞内液と細胞外液の組成の違いについての解答(図3)
7.Na+で水と一緒に移動する
8.K+で溶血、細胞崩壊による高カリウム血症は危険
9.Cl–とHCO3–で細胞外液の緩衝系の主役は重炭酸緩衝系
10.リン酸と蛋白質で細胞内のリン酸はATPや核酸産生に必須
11.細胞内液
12.細胞外液が1万倍高い(細胞内へのCa流入は情報伝達に重要)
13.血漿は蛋白質濃度が高い。物質移送や膠質浸透圧維持のために蛋白質は必須

図2はmEqで示しているため「細胞内液のほうが細胞外液よりも浸透圧が高い?」と誤解されがちだが、細胞内液には2価のMg2+や3価のHPO43-など他価イオンが多く含まれるため、多く見えるが、浸透圧はモル濃度と相関するので細胞内液と細胞外液では浸透圧は同じである。では最後に、なぜ細胞内液組成と細胞外液組成がこんなに違うのかについて考えてみよう。それは地球の長い歴史と生命の誕生と進化が大きく関与しているからだ。この続きは次回に解説しよう。
ブログ内容に関しての質問・ご意見(コメント)がありましたら、連絡先メールアドレス hirata_s@i-h-inc.co.jp まで、よろしくお願いいたします。
第 27回 基礎から学ぶ薬剤師塾 Q&A
初心者向けシリーズ①循環器系の基礎と心不全治療薬
アンケートによる質問
京都府立医科大学 上田和正先生
Q1.夏場には脱水の状況に陥る方が多いと思いますが、心不全患者における脱水は、どのように影響がありますでしょうか?(前負荷の減少、あるいは過剰な減少) この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
第28回 基礎から学ぶ薬剤師塾 2023年8月12日(土)13:30から15:30まで の申し込みを始めます。
登録していただいた方は再放送を繰り返し視聴できますが、再放送は質疑応答はできかねます。今回のテーマは「CKDの薬物療法総まとめ~エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023を読み解く~」です。待望のテーマです。いや~、長かったです。昨年の12月に日本腎臓学会がホームページ上でパブリックコメントを募集して以来、通常は2~3か月で出版となるのですが、ようやく6月9日の腎臓学会総会でお披露目となりました。薬物投与設計に用いる腎機能推算式、シックデイ対策、CKD患者への鎮痛薬選択、RAS阻害薬は腎不全になると中止すべきか、非糖尿病患者へのSGLT2阻害薬の推奨度は?保存期CKD患者への活性型ビタミンD治療は推奨される?などのテーマについて独自の視点から読み解いてゆきたいと思います。
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薬剤師塾となっていますが、医師・看護師など医療従事者であれば参加可能です。ただし薬剤師塾への参加者は、ぜひ学会発表を目指している方に参加していただきたいと思います。そして活発なディスカッションに参加して薬剤師塾を大いに活性化いただける方に参加していただきたいと思っています。300名まで参加可能ですが、最近の登録者数は200名を超えていますので、早めに登録してください。
ブログ内容に関する質問ではありませんが、私へのメールでの質問は薬剤師塾としての質問とさせていただき、その回答を共有させていただきます。最近では以下の2つの質問をいただきました。今後もメールでの質問やご意見をいただくと、その回答を共有させていただくことによって薬剤師塾を双方向性にして活性化させていくことができればと思います。
6月20日 姫野病院 薬剤科 照崎真帆先生より
先生に是非ご教授頂きたくメールにてご質問させて頂きます。
日本腎臓病薬物投与学会では、エルネオパNFやビーフリードを高度腎機能患者では禁忌とされております。
もちろん窒素滞留の恐れなどを懸念しているということは理解できます。
しかしながら、高度腎機能患者で褥瘡患者は逆に蛋白質を多く服用した方がいいとの内容もあり、どこまでアプローチすればいいか悩んでおります。
是非先生の助言を頂けると幸いです。宜しくお願い致します。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
『腎臓病教室 ~検査値と腎機能~』のテキスト(PDF)ダウンロードができます。
『腎臓病教室 ~検査値と腎機能~』の目次です。
3日目:CKDの基準となる検査値は何? 薬の投与量を決めるための腎機能は何?
4日目:CKDの問題点について知ろう 日本と米国ではCKDの問題点が異なる
5日目:透析患者Aさんの検査値
腎機能が低下すると起こる検査値異常や症状(1)
12日目:国立大学病院の検査データ13項目を薬物療法にどう生かすか
16日目:クレアチニン測定法がJaffe法からIDMS法に準じた方法になるとともに
eGFR推算式も変化していった米国
17日目:米国では薬剤投与量・腎機能の推算にCG式を使うなと指示
腎臓病教室 ~検査値と腎機能~
20日目 腎機能検査指標を整理してみよう
2023年6月に改訂された「エビデンスに基づいたCKD診療ガイドライン2023」ではeGFRと言っても日本腎臓学会(JSN)の作成した日本人向けのeGFRなのか米国のCKD-EPI式によって算出されたeGFRか迷うことがあるため、血清Crに基づいた日本人向けeFGRは今後、JSN eGFRcrとし、血清シスタチンCに基づいた日本人向けeGFRは今後、JSN eGFRcysと称することになった。
腎機能評価の指標
イヌリンクリアランス(糸球体濾過量GFR) 男90~120mL/min, 女80~110mL/min
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