From today I have decided to write my diary in English instead of Japanese, because my speaking ability had never improved after 2 weeks after coming to
Yesterday and today, I am completely free. Yesterday, after I completed my diary in Japanese, decided to go shopping to buy a cardigan, because it would be cold here, and when we went the hospital ward, we had to wear dress shirt and necktie under white coat in OHSU. I checked out whether there are supermarkets that sell apparels near my apartment. But there was nothing in neighbor, and the huge supermarkets are in the suburbs in general, and in down town everything is expensive as department stores. But as I checked out the guidebook about
Today, after lunch I went to some huge super markets with John’s family, John, Mayumi and Noah aged around three years old boy. First I went a huge super market called “Target”, then went to Fred Meyer that was much bigger than neighbor one and sold apparels. Though I could not find cardigans but I bought a pants, a T shirt, and a light. Then we went “Uwajimaya” that sells Asian foods, and I bought Yakisoba, Curry, Age, instant Mabodofu, and so on. It was fun to play with Noah. “Any time I can baby sitter” I said to John’s family, and came home. There are enough Japanese foods, I will not worry about cuisines any more.
今日はオレゴン州立大学(OSU)の本校のあるCorvalisという田舎町に行ってきた。7時半にムナ先生が僕のアパートに迎えに来てくれて、高速に乗って9時頃に着いたので、かなり距離がある。
Corvalisでは薬学部の1,2年生が学んでいるが、今日の実習内容は耳の検査、耳の中にライトを当ててレンズで覗く耳鏡という器械を用いて2人1組でお互いの耳の中を検査し、感染の有無、鼓膜の状態を検査する。コンピュータの画面にはさまざまな耳疾患の耳鏡で覗いた画像があるため、ある程度の診断が可能だ。そして2種類の周波数の異なる音叉を使って聴覚試験、血圧測定も行われていた。そしてそれらの結果をレポートにまとめて実習は終わり。これが2年生で行われているのである。さらに教授の部屋で秘密兵器を見た。上半身のマネキンの機械でメモリーを入れ替えるだけで心音や呼吸音を聞くことができる。たとえば正常の呼吸音と喘息患者の呼吸音の違いが聴診器で聞き分けることができるすばらしい機械である。
実習終了後6人の教官がランチを食べながら来週に行われる眼疾患のスライドをチェックしている。ウイルス性、細菌性結膜炎、化学物質による炎症などさまざまなスライドが用意されていて、どのように教えるかについて議論している。教官たちも新しいカリキュラムについては1人の教官に任せっきりではなく、本当に真剣に取り組んでいる。
OSUの学生の8~9割がオレゴン出身で彼らは他の州の人の1/2の学費で済むらしい。やはり州立大学だ。ただしアラスカやハワイにはや薬学部がないため、この2州出身者も学費は1/2になっている。入学してしばらくするとwhite coat ceremonyというのがあって、日本の看護学校の戴帽式と同じように始めて白衣を着る儀式を行うことで自覚を持たせているのだろう。同時期に薬剤師としての倫理ethicsについても早期に学ぶ。
薬学部に入ってくる学生の半分以上が4年制大学(多くは生化学などの化学、生物系)を卒業しているそうだ。仕事をやめて薬剤師を目指している人もいるため平均入学年齢は27歳だとのこと。これからPharm Dの資格を取るには最短でも6年はかかるのだ。入学者の多くが理学部の化学や生物などの学位を持って入学してくることは教官たちにとって、基礎的なことを理解しているため教えやすいと言っていた。あとからベトナム系のクラスメートでいまや親友になったHaiに聞くと、米国の高校の数学のレベルは低く、大学に入って日本やベトナムなみの数学を学ぶので、薬学に入るには大学を卒業していないと付いて生けないみたいだ。
日本の薬学部には多くの研究室のような実習室があるがここでは非常に少ない。このように臨床的なことが主要になってきたのはこの10年くらいで大きな変革がなされていたとのこと。彼らのカリキュラムを見ると最初から薬理学が重要視されており、まずはOTC薬について学んでいる。開局薬剤師にとって必要な服薬指導、コミュニケーションスキルについても1年生から学んでいる。これは将来、開局薬剤師になる人にとっては利点だと思う。開局薬剤師も近年は今日のような聴覚試験は薬局内に器機を置いて、簡易検査をし、疾患によってはどの耳鼻科に行けばよいかについてアドバイスしている。血圧測定なんて調剤薬局では当然である。アメリカでは薬剤師の信頼が高いのはこのようなところにあるのだろう。ただし最近はWalgreenのようなOTC薬やサプリメントだけでなくコンビニのようにタバコやコーラ、パンなどの商品から健康器具まで扱っている巨大なドラッグストアがいたるところにあるし、巨大なスーパーには必ず処方箋を扱う薬局が併設されている。患者は処方箋を渡して買い物を終えてから待つこともなく薬をもらえるので便利だ。そういえばアメリカに来るごとにstreet corner pharmacyという個人経営の薬局の数が減っていることに気づく。
今日はなぜ薬剤師のレベルが米国で日本に比べ著しく高いかについて考えてみた。オレゴンでは優秀な薬剤師であるJoeやAliであっても処方権は医師にあるため、最終的には医師のサインが必要となる。でも実際に処方内容を点検し改善しているのは病棟薬剤師だ。彼らはPKや薬物間相互作用、副作用だけでなく、最新のEvidence based medicineを知っているため、信頼されているだけでなく、Board of certification of pharmacotherapyから認定された薬物療法の専門薬剤師なのだ。この試験を受けるためには1年間レジデントの後、専門のドクターのもとでさらに1年間の研修が必須である。しかもJoeはBoard of certification of oncologyという腫瘍専門薬剤師でもある。これらの試験は極めて難しいそうだ。薬物療法の専門薬剤師は小児科や産婦人科、耳鼻科、眼科の薬物療法に精通していないといけないため大変な知識が必要となるため、この試験に合格することは非常に難しい(当然、国家試験よりもはるかに難しい)。でもこれらの資格があるから病棟薬剤師としての仕事が立派にできるのだろう。病棟薬剤師は病院の調剤室にいる薬剤師とは明らかに違うし、Community pharmacistとはさらに異なる。やはりこれからの医療に専門薬剤師は必要だろう。米国ではこれらのほかにNutrition support、infection control、genetic、精神病など10種類があるそうだ。
薬剤師試験は州によって異なるが、オレゴンでは10日間の通常の試験と2時間の口頭試問があるそうだ。さらに論文を提出して合格すれば薬剤師になれるというから日本と比べて格段に厳しい。そして8割は薬剤師として仕事をし、割合は開局薬剤師のほうが多く(とは言っても多くはスーパーに併設されている処方箋薬局が多いが)、病院薬剤師のほうが少ないそうだ。薬剤師になる人が多いから、基礎科学・実験的な実習よりも臨床医学・臨床的な実習に重きを置くのは当然だろう。
オレゴンの薬学部の学生は非常に真剣に勉強している。米国では大学に入学するのは簡単で、卒業するのが大変だと思っていたが、実際には留年するのはOSUでは90人中1人か2人だそうだ。日本では10%くらいが留年し、新設薬科大学では国家試験合格率を上げるためにさらに効率で留年すると言ったら、ムナ先生は驚いていた。
以下は米国の専門薬剤師についてインターネットより引用
BPS(Board of Pharmaceutical Specialties、薬学専門職委員会)BPSは1976年にAPhA(米国薬剤師会)によって設立され、薬剤師実務領域での専門職の認定証を交付している唯一の機関である。下記の5つの専門業務分野について、2000年1月現在で約3000名の薬剤師がBPS認定証を受けており、名前はWeb上で公開されている。
原子核薬学(Nuclear Pharmacy)・・・444名
栄養補助薬学(Nutrition Support Pharmacy)・・・451名
腫瘍薬学(Oncology Pharmacy)・・・184名
薬物療法(Pharmacotherapy)・・・1546名
精神疾患薬学(Psychiatric Pharmacy)・・・311名
この認定は7年毎に更新を受けなければならない。
2.CCGP(Commission for Certification in Geriatric Pharmacy、老年病専門薬剤師認定委員会)
CCGPは、高齢者向け薬剤師実務の認定を行なうために、1997年にASCP(米国顧問薬剤師協会)から分かれた独立の法人である。委員9名の構成は薬剤師5名、医師1名、支払・雇用者1名、一般消費者1名及びASCP理事から1名となっている。試験はアメリカ、カナダ、オーストラリアなどの多くの会場で年に2回実施されている。受験生用に刊行されているハンドブックに、この認定制度の説明、試験内容の概略、受験資格などが記載されている。2000年1月現在で約400名が老人病専門薬剤師の称号を得ているが、5年ごとに筆記試験に合格して更新を受ける必要がある。
3.NISPC(National Institute for Standards in Pharmacist Credentialing、薬剤師認定基準研究会)
NISCPは、1998年にNABP(連邦薬事委員会連合)を中心に、APhA、、NACDS(チェーンドラッグストア協会)及びNCPA(全国地域薬剤師会)の基金により設立された。その目的は、近年の薬剤師に求められる疾患管理(Disease State Management、DSM)サービスの能力を有する薬剤師を認定するためであり、NABPの行なう疾患専門試験の合格者にDSM認定証を発行する。
NABPは本来、アメリカ全土50州とDCのほか、グアム、プエルトリコ、バージン諸島、ニュージーランド、カナダ9州、オーストラリア4州の薬事委員会の連合体であり、薬剤師試験や免許交付の取りまとめを行なっている。
アメリカでは、薬剤師免許受験資格として、薬系大学の卒業資格のほかに、NAPLEX(学力試験)とMPJE(法規試験)に合格することが必要とされ、アメリカ全土50州の試験センターで年間を通じて試験が実施されているが、これらを開発し実施しているのがNABPである。免許受験資格等については後に項を改めて述べる。
さて、DSMとしてNISPCは現在、糖尿病、喘息、血中脂質異常及び抗凝血療法という4つの疾患管理について認定を行なっている。これらの疾患状態にある患者に薬学的ケアを提供する薬剤師の能力と適性を証書として示すためであり、業務報酬を受ける上で有利になる取り扱いがなされている州がある。2000年5月現在で、1089名の薬剤師がNISCP認定を保持しており、Web上に名前が公開されているが、内訳は次のとおりである。
糖尿病・・・653名
喘息・・・227名
血中脂質異常症・・・110名
抗凝血療法・・・99名
試験はコンピュータ試験として全国的に実施されており、年間を通じて受験可能である。
ダメだ、全然英語が上達しない。これから英語で日記を書くことにしよう。
今日の午前中の講義は心房性不整脈とその薬物療法。心電図、発症メカニズムだけでなく最近のEBMに基づいた薬物の選択など実践的な講義。このような実践的な講義は非常勤のPhDが行うが、今日のような外部講師の講義の後は必ず学生は拍手する。これは外部講師の時には拍手するように教育されているからだろう。なぜならつまらない講義のときでも外部講師の時には拍手していたから。
今日の講義は1つだけだったので、Book shopによってDrug information handbookを買う。これは50ドルくらいだが「今日の治療薬」のように米国で使われている全ての薬物にUSP-DI並みの動態情報、副作用の発現率までも収載されている優れもの。レジデントや実習中の学生たちはPDA版を利用している。日本でも「今日の治療薬」のPDA版が出ているらしいが、これに白鷺の医薬品集の動態、副作用データが入ればすごく利用しやすいものになるだろう。一度、出版社に話しかけてもいいかもしれない。
その後、毎朝バス停で出会うアフリカンアメリカンのKalとカフェテリアであったので、一緒に食事する。彼はバスのなかででもいつもみんなに笑顔で話しかける積極的な人で、OHSUではFinancial Specialistという仕事をしており、保険の問題などで患者の相談係となり大体MSWの仕事に似ていると理解したが、米国ではMSWはもっと異なる仕事をしているらしい。Kalには帰りにバス停からアパートの近くまで車で送ってもらった。車があるのになぜバスに乗ってOHSUに通っているかというと、OHSUには駐車場が非常に少ないことが原因らしい。
時間が余ったので居眠りしていたらAliのところにいた中国の広東から来た学生のJanに見つかってしまったらしい。帰りにバス停で会ったら、「眠かったんだね」とからかわれた。Janは18歳のときに米国に来たらしく漢字も読めるし、native speakerではないが英語の問題は全くなくなまりもない。彼女はすごく頑張りやさんで、免許を持っているレジデントの白人よりも実力ははるかに上だ。
午後からはJoeのところに行き、Michaelと症例の処方、病態、検査値をチェックするが、いつものように1時に行くとほとんどの症例が終わっていた。月曜日からは軽食でも持って講義が終わったら食べながら症例検討に参加しようと心に誓う。
今日はMichaelによる症例報告があり、ほぼ白鷺病院の薬剤科でやっていたのと同じように議論をする。バンコマイシンでred neck syndromeが出たので点滴速度が速かったからでは?と思ったが18mg/kg/hrだった。Joeによると白鷺のように20mg/kg/hr以下で点滴しても起こることがあり、そういう場合には4時間くらいかけて点滴すれば大丈夫らしい。これも個人差があるのだろう。バンコマイシンは抗がん剤投与時のグラム陽性菌感染症の予防に非常に多用されているため、いくら僕が日本で経験があるといってもMRSAのみ、アメリカでの使用量ははんぱじゃないからJoeの経験には勝てない。
しばらくするとAliから電話があり、薬局で働いている日本人がいるので紹介するとのこと。彼女は西ノ宮出身で僕と同じ大薬卒で、今はテクニシャンとして働いているが、最近何回目からのチャレンジで英語の口頭試問に受かったので、1年間ここで働けば薬剤師の試験が受けられるとのこと。そのあとAliの家に招待を受けた。こんなときアメリカ人はワインを持っていくのだが、Aliはイラン人なので、イスラム教だとアルコールは飲まないはず。ムナ先生もAliが飲むかどうかは知らないので「あそこの家庭は子供が多いのでクッキーでも持っていったら?」といわれ、安心。アメリカ人は人種のるつぼだから、こんな難しい問題もたまにある。Aliからはこれから共同研究をしたり本を書いたり、一緒に仕事をしようと言われ、うれしかった。彼も多くの文献、本を書いており、最近はDr.Bennetに代わって編集もやっているらしい。毎日、ランチを食べる時間もないのに、いったいいつ著作の仕事ができるのだろう?
今日習ったこと:10/13
PRN: pro re nataでas you needed: 頭痛、嘔気、便秘などに使う頓服
バンコマイシンによるred neck syndromeは20mg/kg/hrで点滴しても起こることがあり、そういう場合には4時間くらいかけて点滴すれば大丈夫。
偏頭痛に使う薬はセロトニンアゴニスト
Total bilirubinが上昇し、direct bilirubinが上昇しないときには輸血の影響によるものであり、肝障害によるものではない。
Chemotherapyではlactate, Caは必要ない。高Ca血症になりやすく、SIADHになり、低Na血症になりやすいため、生食を使うことが多い。乳酸リンゲルは外科では使うが、Chemotherapyではあまり使わない。
CisplatinはMg, Pを消費するため、低Mg血症、低P血症が起こりやすいが、それによる症状は起こりにくい。
ゾフランはカイトリルに比し頭痛が多い。
トロポニンやBNPは症状がなくても(疑いでも)保険でカバーできる。
今日も7時半からMichaelと一緒に処方内容のチェック、このデータを下に午後から検査データ、患者の臨床症状を見ながら薬物の投与量を体表面積から電卓を使用して計算し、薬物投与の是非について3人でディスカッションし、問題ある処方は投薬内容変更の旨をドクターに電話で伝え、カルテに新処方を記入するのがJoeのやり方。Oncologyは略語が多い。ステッドマン医学辞書の入ったセイコーの電子辞書が大いに役立つ。8時から血液内科医と骨髄移植症例のミーティング。ここでもJoeは積極的に発言し、ドクターも投薬についてはアドバイスをしてくれるJoeを大変ありがたがっているようだ。やはりスペシャリストの薬剤師は必要である。薬剤師も含めた症例ミーティングは以前にも白鷺病院であったが、金院長退職とともになくなってしまったが、これは非常におろかな決定だったと今でも思う。9時からPharm Dによる急性心筋梗塞とSandyの「薬物動態蛋白結合と分布」。これは得意だから問題なし。でも蛋白置換の相互作用を教えていた。起こりえないわけではないが臨床的意義は非常に低いから日本でも最近は教えなくなりつつあるのに。そういえばSandyの部屋と僕の部屋は隣で僕がポートランドに来たときにgreeting cardとチョコレートと花を机に置いていてくれた。ポートランドには本当に優しい人が多い。
午後からJoeのところに行き、いつものように症例検討。なぜか今日はJoeは生の人参をかじりながらMichaelに助言する。TDM対象薬はほとんどTDMを実施している。日本の大学ようにTDMのスペシャリストがいるわけではなく、病棟薬剤師自身がスペシャリストなのだ。日本と異なり解析ソフトを使わないが、動態パラメータから計算するので、こちらのほうが動態理論が身に付きやすい。日本の薬剤師には「TDMをやるにはどの解析ソフトを使えばいいんですか?」とよく聞かれる。解析ソフトがないとシミュレーションによる血中濃度曲線は書けないが、それに頼りきって動態の解っていない薬剤師が多すぎる。
末期がんの症例が今日退院するという。Joeは僕に「スミオ、日本ではがん患者は病院で亡くなることが多いのか?」と聞いてきたので、「そうです。でも患者自身はそれを望んでいるとは思いません」と答えたら、「アメリカでは10年前くらいから家に帰って最後を迎える患者が増えつつある」と言われた。
Oncologyでは輸液にほとんど生食を用いhydration目的にたまに5%ブドウ糖が使われる。「乳酸リンゲルや1号輸液や4号輸液などは使わないのか?」と聞いたら、「癌では高Ca血症やSIADHになることが多いからカルシウムが入っていないほうがいいし、アシドーシスを伴わない場合が多いので乳酸は必要ない。」といわれ、納得。そういえば昨日の症例ではSIADHによってNaが105mEq/Lにまで低下している症例があった。中枢障害を起こしており、この症例はアルコール大量摂取者なので、Joeは「ビールは水分が多いのでNa濃度がよけい低くなるので、のむならウイスキーやブランデーを飲むように」と言っていた。
3時からムナ先生と糖尿病の内科クリックのDr.Bultmeiyerと面会。来年から午後、糖尿病の患者指導に参加してもらうようにお願いしに行く。いろいろな話をしたが、アメリカではインスリンの持続注入機が汎用されつつあるそうだ。ランタスが日本では話題になっているがNPHインスリンと臨床的差異はまだ不明だそうだ。ここでは患者にPDAを持たせ何を食べたかを入力してもらい、インスリン投与量を決めるようなプログラムがあるらしい。
このような研修内容になったのは僕が前もって書面で出した希望が臨床ないろいろな現場で薬剤師が活躍できる部分、そしてPh.Dコースで学生と一緒に学びたいという希望からだ。おかでで僕の指導係りのムナ先生は非常に忙しくなり、申し訳なく思う。
帰りにBook shopでDrug Information Handbookを買う。動態に関してもUSPDIより詳しく書いてあり、かなり分厚いが一応ポケット版で安い。これで明日からさっぱりわからなかった薬も理解できるようになるだろう。
今日習ったこと:10/12
AAGには4種の遺伝子多形があり薬物との親和性はアルブミンよりも高い。置換はアルブミンによってbufferされる。
リポ蛋白は塩基性から中性の薬物と結合し、プロブコール、シクロスポリン、ジギ、TCN(テトラサイクリン)と結合する。そのため腎高脂血症は移植後のシクロスポリン投与のときの拒絶の原因になる。
新生児のアルブミン、AAGとの結合性率は低下する。
高齢者ではアルブミンとの結合性は弱いが、AAGとの結合率は上昇する。
妊娠の3期にはアルブミン、AAGとの結合性率は低下する。
AAGは喫煙、肥満、手術でも上昇する。
DMではアルブミンとの結合性は低下するが利尿期にはアルブミン、AAGとの結合性率は上昇する。
甲状腺機能亢進症ではアルブミン、AAGとの結合性率は低下する。
Golden standardは間違いでgold standardが正しい。蛋白結合率のgold standardは平衡透析法であり、限外濾過法ではない。限外濾過法は温度や限外濾過時間の影響を受けやすい。
蛋白結合率をin vivoで調べる方法として唾液中濃度/血清濃度でも算出できる。
メトトレキサートには炭酸水素ナトリウムを併用する。
イホスファミドの膀胱からの出血(血尿)の副作用を防ぐためにはメスナを併用する。
BIDは1日2回のことだが、必ずしも12時間おきではない。この場合、5oomg/12hrと具体的に12時間おきに投与することを明記する。
高用量のchemotherapyによる肝障害を防ぐためにはウルソUrsodiolを用いる。
Consolidation: 硬化(特に膀胱でみられる)
Parainfluenza: 春から夏にかけて多い。子供でアウトブレイクするとも多い。リバビリンがこれに有効という報告もある。
Cockcroftの式で高齢女性の場合、血清クレアチニンが0.4mg/dLと異常に低いことがある。この場合0.8を代入する。このようにCockcroftの式は女性と「やせ」が最も重要な問題となるがMDRD法ではこれらが解決されている(http://nephron.com/mdrd/default.htmlを参照)。
血小板輸血は10単位輸血する場合10人分だとアレルギーの発症率が高いが1人で成分輸血したものだとアレルギーの発症率が1/10に低減できる。
5HT4antagonistは痛み止めになる。
Mantol cell lymphoma(外套細胞リンパ腫)ではメトトレキサート200mg/m2+NaHCO3250mLをローディングし、その後800mg/m2/1000mL生食/24hr+シタラビン3g/m2+500m2生食×2時間を12時間おきに4回投与する。ハイドレーションとして5%ブドウ糖液+75mEq NaHCO3 250mL×4時間その後150mLを持続する。
抗がん剤投与での検査値は腎機能のチェックが一番大切なこと。
抗ウイルス薬を投与するときにはHSV, CMVに状態を調べておくこと。
骨髄移植の後には血小板が低下し、白血球数が上昇する。G-CSF投与後は好中球が90%以上になることもある。
バンコマイシンによる腎障害は低く5%以下。トラフ値は敗血病には10μg/mL以下でいいが、臓器の感染の時には15~20、肺炎の場合は20以上に設定する。
今日は朝6時に起きて朝食を食べるとJohnに場所を聞いておいたバス停にダッシュ。10月はまだサマータイムだから朝は真っ暗。約束どおり7時半に腫瘍病棟のDr. Joe Bubaloのオフィスに行く。Aliのオフィスと違って部屋中、本や文献だらけで足の踏み場もないほど滅茶苦茶に散らかっている。即、病棟に行き7時から患者の処方チェック。癌についてはほとんど知識がないので、最初はOncology(腫瘍学)に行くのはすごくいやだったが、実際には抗がん剤の投与よりも癌による合併症対策の薬物療法が中心で、感染症、麻薬、嘔気などの治療薬が主だったので、少し安心。ザイロリック3錠の処方に「抗癌薬を使用して間もないんだからtumor lysis syndromeの心配もないな」と処方中止を検討していた。毎週火曜日の8時にはカンファレンスがあるので行こうと言われ一緒に行くが、Joeは話を聞かず処方チェックを続けていた。彼はOncologyの3病棟の患者のすべての処方をチェックし、検査値、病態をチェックしているのだからかなり忙しいみたい。ただしAliも一緒だけどいくら忙しくても日本人(白鷺病院の薬剤科)のように遅くまで残ることはなく、超スピードで仕事を済ませ、5時には帰る。
今日のカンファレンスのテーマは薬物相互作用。講師は3名の女性で、当然薬剤師と思いきや全員ドクターとのこと。内容は症例を提示しながら興味深かった。それにしても、日本の臨床医で、1人でもCYP3A4, 2D6の相互作用、遺伝子多形、P糖蛋白質を介したジゴキシンの相互作用について話のできるドクターが日本にいるだろうか?目新しい話としてはセロトニン症候群、抗菌薬による低血糖などが興味深かった。JoeによるとこのカンファレンスはOncologyだけでなく病院全体のものだ。
9時からの講義は虚血性心疾患と末梢血管障害、不整脈についてどちらもPharm Dの講義。少し眠い。1時間後に5分間のブレイクがあるため、ダイエットコークを買いに走る。今日の講義はテキストがあらかじめ配布されていない。こういうときは学生は講義をICレコーダーやPDAを使って録音しているが、香港から来たKevin Tzeだけは僕と同じようにMDウォークマンを使って録音しているが、KevinのはよくみるとSonyのHi MDで日本では4万円位するがアメリカではなぜか1万5千円で買えるらしい。でもアメリカのMDウォークマンにはリモコンが付いていないのだ。そういえば初日に僕がMDウォークマンで録音していたら、リモコンを指差して「これは何?」ってKevinに聞かれたことがあった。今はベトナム系のHai、メキシコ系のSully、中国系のKevinの3人が一番親しい。Man(Martin) Wongには今日、自己紹介され、握手した。なぜかPharm Dコースではアジア系の友達が多くできる。
午後はMichael JohnstonというスキンヘッドのPhDコースの学生と一緒に検査値と病態をチェックする。彼はOncologyに来て3週間目だがJoeも言っているようにまじめで優秀な学生だ。
きちんと全患者の処方、検査内容を把握している。そして身長・体重から理想体重、体表面積を計算し腎機能をCockcroftの式より算出して約50人の投薬内容をチェックし、必要のない薬物を削除し、必要な薬物を投与し、投与量の増減を最適にする。最終的にはドクターに電話し、了承を得てからカルテのドクターのサイン欄だけを残して、処方を適正に変更する。Joeはドクターからの信頼も厚く、了承を得られないことはまずない。オレゴン州ではNurse Practitionerが抗がん剤以外の抗菌薬や抗ウイルス薬、抗真菌薬の投与も可能であるが、薬剤師にはその処方権はない。Nurse Practitionerはほぼドクターと似たような仕事をしているが、Joeの前ではJoeの言いなりで、薬のことがわからなければ納得するまでJoeに質問している。これだけの実力のある薬剤師に処方権がなく、薬のことを知らないドクターやNurse Practitionerに処方権があること自体が不思議で仕方ない。
Aliと違ってJoeは服薬指導にはあまり行かない。行くとすれば処方変更することによって不安を感じる患者だけだ。免疫能が弱っている患者が多いため、ドア越しに服薬指導する。今日みた症例は高齢女性だが、抗がん剤の副作用で髪の毛がまったくなく、不安感が強い。やはり癌病棟の服薬指導は難しい。Oncologyの病棟での薬剤師の役割は服薬指導よりも投与設計と薬物の適正使用が最も重要だと感じた。
アパートに帰る。もったいないくらい広くてきれい。リビングは15畳くらいでキッチンもカウンター式でかなり広いし、巨大な皿洗い機とグリルが付いている。これらは1度も使わないかもしれないな。それにしても部屋が暗い。部屋が暗いのでレンタル家具で照明をつけることを勧められて借りたが、大理石でできた巨大のつぼに裸電球がついて傘が付いたもの。豪華であるがちっとも明るくない。日本の洋式ホテルは何でこんなに暗いんだろうと思っていたが、アメリカの普通の家と同じなんだと思った。ただしリビングやベッドルームが暗い分、台所やバスルームは必要以上に明るい。これから台所で勉強しようかな?
今日習ったこと:10/11
NSU: neurosurgical unit(脳外科)
OBS: observation
MED: Medical(内科)
ONC: oncology
ENT: ears, nose, and throat
Tramadolはμアゴニストで、非麻薬性鎮痛薬、中等度から重篤な痛みに使用。
脳腫瘍にはデキサメタゾンを使用する。
Air hungerとは末期がんの呼吸不全。末期なので、死亡前にモルヒネを使用することが原因。
Neutropenic;好中球減少
シクロスポリンの至適トラフ濃度は通常は200~300で、重症の場合は400~500ng/mL。
Serotonin syndromeとはphenerzineというMAO阻害薬の抗うつ薬投与によって起こる。ハロペリドールによって抑制した患者が4時間後、呼吸停止になる。Serotonin syndromeの症状は倦怠感、傾眠傾向、Air hunger(アシドーシスなどで、著しく深い換気により細胞換気を増加する。CaCo3をより多く呼出する)
カルバマゼピンにジルチアゼムを投与することによって痙攣が起こる。
ニフェジピンにイトラコナゾールを併用することによってankle edemaが発症する。そのときの血清ニフェジピン濃度は12.7ng/mLから54.7ng/mLに上昇していた。
メトプロロールにフルオキセチン併用で徐脈、血圧低下などのメトプロロールの作用が強く現れる。
黒人のCYP2D6のPMはアジア人と同じ1%以下だが、白人は8~10%。
SSRIのフルオキセチン、パロキセチンと2D6基質のメトプロロールの作用が強く現れ、コデインは痛み止めとしての効果が現れない。
ジゴキシンとワルファリンの相互作用はERで多い。
ベンゾジアゼピンのことをBenzoと略す。
ベラパミル、キニジン、シクロスポリン、クラリスロマイシンは強いP-gp阻害薬。オメプラゾールは弱いP-gp阻害薬。アトルバスタチン、トリメトプリム、アミオダロン、プロパフェノン、スピロノラクトンも血清ジゴキシン濃度を上昇させる。
添付文書のことをpackage insertという。
QT延長の起こる薬物は全ての抗不整脈薬、ハロペリドール、チオリダジン、リスペリドン、マクロライド、メサドン、ドロペリドール、ドンペリドン、クロルプロマジン、三環系抗うつ薬、SSRI、キノロン、ペンタミジン、オンダンセトロン(www.Torsades.org)
キノロンにより低血糖が起こることがある。レボフロキサシン投与6時間後血糖値が6mg/dLに低下(Friedrich and Doughety, 2004: The exact mechanism of this effect is unknown but is postulated to be a result of blockage of adenosine 5′-triphosphate-sensitive potassium channels in pancreatic beta-cell membranes.)。
8時半までにチェックアウトをすませ、エージェントのJohnのジープに荷物を積む。これでT先生ともお別れし、新居に向かう。最初は大学までバスで10分と聞いていたのに、よく調べたら40分かかると聞いてがっくり。アメリカ人はこういうところは少しルーズ。でもJohnの人柄は信用できるし、頼みは何でも聞いてくれるので助かる。Johnはヒロミさんという奥さんを紹介してくれ、1人息子のノアと一緒に遊びに来てくれた。ノア君は3歳前かな?子供と友達になるのは得意なので、最初は人見知りしていたノア君ともプラレールやヨーヨー、紙飛行機などですぐに打ち解ける。John一家とは同じアパートなどでこれからは友達として付き合いたい。引越しの書類作り、荷物の整理、レンタル家具の搬入、テレビ・インターネットの設置などで大学に行くのは12時半の予定が2時になる。今日は12時半からコンピュータのトレーニングと聞いていたが、遅れて3時に着くと実は地獄のようなプログラムが待っていた。患者に対する守秘義務、患者個人の尊重、差別・ハラスメントの撤廃に関するコンピュータのプロ不ラムにアクセスし、一通りの説明後、クイズが出され、70点以上取らないと合格できないと怖い顔で事務員のAngieが脅かす。合格できなかったら、大学のコンピュータを使って文献検索などもできないのだ。問題自体は難しくないが全て英語なので、1時間以上、英文のみを聞いていたら集中力が途切れる。3時間くらいかかってようやく2つのプログラムを終了。何とかどちらも合格証書をもらえた。客員教授が不合格じゃ格好悪すぎる。一安心。終わって帰ろうとしたら大学の事務員はAngieも含めてみんな帰っていた。
アパートに帰って早速ご飯を炊こうとするが日本から持ってきた炊飯器が壊れていて、仕方なく鍋で炊く。キャンプの経験から「始めちょろちょろ、中パッパ、赤子泣いてもふた取るな」を守っておいしいご飯が炊ける。それと平行してカレー作り、カレールーはジャワカレー。牛肉・野菜は近くの安い巨大スーパー「フレッドマイヤー」でJohnと一緒に昼に調達したもの。自分が作っても、やっぱり日本食はうまい。明日の朝はご飯を電子レンジで温めてインスタント味噌汁と漬物だ。明日の朝食が楽しみ。寝る前にテレビを見るがアメリカは70チャンネルもあるのにどれもこれもつまらないものばかり、安っぽい喜劇、通信販売だらけでやたらとコマーシャルが多い。
今日はT先生の運転で買い物とオレゴンの海岸キャノンビーチを散策。リンカーンシティとウッドバーンのアウトレットストア、安売りのスーパーのウォルマート、日本食のそろうスーパー「宇和島屋」で電子レンジ、プリンター、蛍光灯、鍋・フライパン・ナイフ・フォーク・お玉などのセット、お皿・コップ・コーヒーカップのセット、布団、電気毛布、米、漬物、味噌、ブリタ(浄水器)、包丁、下着のTシャツ、バスタオル、タオル、雑巾などを購入。
帰りにダウンタウンで一番評判の日本食レストラン「コージ大阪屋」で、今までに外食では注文したことのない「焼きさば定食」を注文。食欲はなかったが、食べた後、ずっと続いていた胃のもたれが、完全に治った。今夜、初めてポートランドの月を見た。夏は毎日見えて星もきれいだそうだ。
明日は引越し。夜遅くまでT先生とのどが痛くなるほど話をする。おかげでホームシックは吹きとんだ。
今日は久しぶりの休み。英作文、英会話の勉強をするつもりだったが、全然、頭にはいらない。あせるばかりでホームシックで鬱になりそうだ。仕方なく日本から持ってきたNHK教育テレビの英会話、英文法のDVDを見ながらうとうとする。知らないうちに眠気が襲ってきて眠りにつく。10時間は眠っただろうか?やっぱり初めての週で知らないうちに疲れてたんだろう。
ようやく頭がはっきりした頃に市大からシアトルに来て2年半で、今月の13日に帰国予定のT先生(白鷺病院でのテニス仲間)が訪ねてくる。久しぶりに日本人と日本語を思い切り話して、冗談を言い合ってホームシックは吹き飛ぶ。どんなテレビが面白いか、小切手の書き方など、買い物はいつどこでどんなものを買ったら安いかなど、米国情報について教えてもらう。
明日は日本食を買うために「宇和島屋」に行く予定。T先生は早めに眠ったが、僕は昼間にずっと寝ていたので、眠気が起こらないので、この日記を書く。T先生は2年半いるが「米国生活には慣れたものの英会話は全然うまくならなかった」と言っている。1週間で、決めるのは早計だが大学や病院でも日本語に翻訳してから聞き、日本語で考えて英語に翻訳している自分に気がつく。しかも日本語で日記を書いていたらよけい日本語で考えてしまう。これからは英語で考えるようにならなければ・・・・。ということでオレゴン日記も日本語の急性血液浄化法(CHDF)の薬物療法に関する依頼文献を済ませ、いつか落ち着いてから英語で書くことを心に誓う。今日と明日はT先生とダブルベッドで一緒に寝る。
今日習ったこと:
T先生は最初の1年は腎不全マウスモデルを作っていた。最初に片腎を電気メスで焼き、1週間後にもう一方の腎臓を摘出するもの。
今日は午前中の講義はなし、Aliも忙しいため、病棟には行かず。事務のAnjiに頼んでエプソンのレーザープリンターを用意してもらう。悪戦苦闘の末、僕のオフィスのコンピュータからプリンタードライバーをダウンロードしてもらうことに成功。Anjiいわく「I’m genius!」。このコンピュータで図書館の多くの図書の原著がダウンロード可能になるそうだが、使い方はAnjiよりもMyrnaに聞いたほうがいいだろう。ただし日本語ソフトがないため、ダウンロードを自分で試みる。ExcelとPowerpointは立ち上がって印刷可能だがWordはなぜか開かない。
来週からはOncologyである。帰ってから抗がん剤について勉強するが、苦手な分野なのでなかなか頭に入らない。疲れのためか口唇ヘルペスも出てきた。バルトレックスをのむ。でもなぜか眠れない。
最初の講義は昨日と同じで、Dr.Dreilingという医師による心疾患検査について。僕にはあまり理解できなかったがエコーや画像診断についても習った。彼はなぜか僕に興味を持っているらしくて、「君の英語はすばらしい。どこで習った?」と聞くから「まだまだだめです」と答えると「私の日本語よりずっとうまい」だって。これってほめ言葉?
興味を持ってくれたのは、昨日ドクターが「尿酸は心疾患のリスクファクターである」って言ったから、「透析患者では尿酸値が上がるけどそれによって心疾患が悪化することはない」と質問したからかもしれない。「腎不全患者は別の話で、尿酸値は心血管病変のリスクファクターにはならない」と答えてくれた。
オレゴンでの講義スタイルは教授によって個性がまったく異なる。今日のドクターはジーンズをはいていたし、講義中に実践的なクイズを出すことも多い。中には正解者にキャンディを配る先生もいる。みんな身振り手振りを交えながら話し、広い階段教室を歩き回ったり、ジョークで笑わせるなどエンターテイナーみたいだ。学生の心をつかむのは大変なんだと思う。学生は帽子をかぶったままでもOKだし、授業中にバナナやリンゴをかじっている子もいる。でも日本と最も違うのは居眠りしている学生が1人もいないということ。
今日は授業が終わって講義内容についてのアンケートが回ってきた。講義はわかりやすかったか?配布資料はうまくまとめられているか?配布資料やスライドが見やすかったか?を5段階評価しそして自由に建設的なコメントをという欄が広いスペースであった。このようなアンケートを行っているからか、教授は後ろからは見えづらい黒板を使うことは全くなく、授業前にはパワ-ポイントの6分割のスライドをファイルで渡しておいて、まったく同じスライドを使って講義したりOHPを使ったりの形式が多かった。だからみんな予習できるし鋭い質問をする。スライドに写ったものがテキストになかったら「それを後からコピーして配ってくれ」と学生側から文句が出ることもある。
午後はAliについて病棟に行く。例の腎移植後、薬剤性糖尿病になった1歳の女の子が下痢をしている。これは矯味剤にソルビトールを多く使ったためだ。シロップ剤の種類の少ないアメリカでは錠剤をつぶしてイチゴシロップ、オレンジシロップ、単シロップなどに溶解して作るのだが、ソルビトールは溶解性が高いためと、DMだから血糖値が急上昇しないようにという配慮から多く使われたみたいで、シロップを作り直してもらった。
フェリチン値が2500ng/mLと異常高値のため腎障害を起こした患者にはデスフェラールの内服が使われた。これはPhase Ⅲで発売前だが注射薬に比べて皮膚炎が起こりにくいのだそうだ。
PharmD4年目のJanに「これは高アルミニウム血症にも使われるんだよ。高アルミニウム血症は透析痴呆症といわれる脳症と骨軟化症の原因になるんだ」とデスフェラールの構造を書きながら教えてあげた。Janの医薬品集にはちゃんと高Al血症の適応があった。
今日は退院処方が多いので、Aliは大忙しだ。ちなみに退院処方は30日分だ。ドクターが処方を作成してくれるようにAliのオフィスをよく訪ねてくるが「今は忙しいので、1時間待ってくれないか?」と丁寧に追い返す。その後ドクターとディスカッションするが、Aliの言われたとおりの新規処方をし、言われたとおりに不要な薬剤を中止した。ここではドクターとAliの立場まったく逆転している。カルテには付箋が張ってあるページがあって「これはナースか薬剤師が書いているのですか?」と聞くと「アメリカではCase managerという保険についてチェックする職種の人がいて、ドクターの医療行為に介入することがあるんだ」と説明を聞き、アメリカの医療制度の問題点を感じた。
Aliは講義もする暇がないから廊下を歩きながら「一番優れているβブロッカーは何だと思う?そしてその根拠は?」などと聞きながら、各々エビデンスを説明しながらカルベジロールの有用性について説明した。
処方変更すると続いて服薬指導だ。Aliは普通は早口だが服薬指導は非常にゆっくりわかりやすくちゃんと相手の目をみて説明する。日本のように目線をあわせるために座ったりはしない。「透明のインスリンは1日3回ブン、ブン、ブンとすばやく効くんだよ。だけどにごったインスリンは(両手を伸ばしながら)すごーく長く利くんだ。」こんな説明だとだと誰でも理解できる。
薬剤起因性の昏迷があるかないかをチェックするときには「大統領の名前は?」「Bush」「じゃ今日は何曜だったっけ?」「木曜日」と聞いて「パーフェクト」といって確認していた。
Janは中国から来た子で、レジデントのBryanよりもはるかに優れている。彼女に聞くとundergraduateを2~4年行って、PharmDを4年行く。さらに薬剤師免許を取得したら、調剤薬局(オレゴンではスーパーの中にあったり、巨大チェーン店が多い)に勤められるけど、病院薬剤師になるにはさらに Residentを1年、専門薬剤師になりたかったらさらにその専門の病院に1年間、さらにFellowshipで1年研究する人もいるそうだ。一人前の薬剤師になるには10年近くかかる。Janは薬剤師の卵のPharmD最後の年だが、臨床のことも薬理学も、薬物の構造についても動態についても実によく知っている。白鷺病院にいた頃、ある薬科大学の教授が白鷺病院に訪問したとき、「ピラマイド」を見て、「この病院では古い薬を使ってるんですね」と言ってたが、この教授は臨床を教えているにもかかわらず10年も前に結核治療のガイドラインが変わったことすら知らなかったのだ。こんなことはアメリカでは起こりえないことだと思う。
これから医師や医学生に臨床薬理学の重要性を教えれば、難しい症例は優秀な薬剤師に処方をまかせようということになるかもしれない。そのためには「臨床をよく知った優秀な薬剤師」を育てる必要があるなと感じた。一方、薬剤師は医療薬学会や薬学会などの薬学系の学会にとどまることなく、自分の行っている病棟の専門性を生かした臨床系の学会に参加しなければ最新の情報は得られない。最新の情報を知らない薬剤師は医師から信頼されることはないと思う。
今日は初めて迷子にならずにすんだ。オレゴンは霧雨が多いし、この時期からよく雨が降るそうだが「インディアン、嘘つかない」「オレゴン人、傘ささない」。
今日習ったこと:10/6
カルベジロールの利点はインスリン感受性を挙げて体重を減少できる。コレステロールを下げるが、アテノロール、メトプロロールはコレステロールを上昇させる。ロプレソール、カルベジロールは中枢神経系の副作用が少ないが、アテノロールは半減期が長いので、中枢神経系の副作用が起こりやすい。
Crを上げずにBUNだけが上がることのある薬物はシメチジン、プロベネシド、ペニシリンなど。
ソルビトールは単シロップに比べ溶解性が高いために矯味剤として用いやすい。
屯服のことはAs neededという