イースター島上陸前

 これまでのところピースボートは太平洋を東に向かって1週間くらいずつ走ってハワイ、タヒチ、そして今回のチリ領のイースター島に行き、今日は1月10日、早朝6時に火山島のイースター島(現地語名ラパ・ヌイ)に着きました。ピースボートではハワイに着くまではハワイアン音楽とフラダンスを教える人を水先案内人として招待し、タヒチを訪問するまではタヒチやポリネシアの歴史や文化を学びます。決して観光情報だけではなく、学習するのです。ラパ・ヌイに着くまではオーバーツーリズムによる環境問題について学びました。そしてラパ・ヌイのダンサーでミュージシャンも水先案内人として招かれました。

 ラパ・ヌイには日本の与那国島のように大きな船が着岸できるような水深が深い港がないため、飛行機で行くこともできますが、ピースボートの場合、パシフィックワールド号の所有する小さなテンダーボートという船(写真1-4)、数隻を使って1回100人足らずが分散して2日間に分かれて上陸します。1800名の乗客のほとんどがイースター島を訪れるので、1人当たりが島で過ごすのは3時間足らずです。

 僕たちは2日目の朝、出発しましたが、1日目の観光が終わってから、ラパ・ヌイの島民たちがピースボートに乗り込み、夜、一番大きなシアターで素晴らしい音楽と踊りを見せてくれました。(写真5ギター2本と2つのパーカッション、そしておそらくアンデスの民族音楽「フォルクローレ」で用いるチャランゴ(もともとは表板以外はアルマジロが使われていましたが、今は木製)だろうと思いますが、マンドリンやウクレレのような高い音色の楽器2本が絶妙なリズムとハーモニーを生み出していました。(写真6)ダンスはポリネシアに位置するためか、女性はハワイのフラダンス、男性はニュージーランド原住民のマオリ族のような勇壮な踊り(ラグビーの国際試合前にニュージーランドのオールブラックスが見せるあの踊り)です。

 

いよいよイースター島上陸

 翌日はいよいよテンダーボートに乗ってイースター島に上陸ですが、オプショナルツアーには4種類あって、僕らのツアーはかつてイースター島の「長」を決めるための「鳥人儀礼」の伝説の場所、オロンゴ岬を訪問する特別なコースです。この儀礼は海鳥の生息する小島に泳いで渡りその鳥の卵を速く持ち帰った男が1年間、島を支配するというもので(写真7-9)、かつてイースター島は5万人の住人がいて、10の部族に分かれており、その部族の代表たちが「長」

になるために平和的に競ったらしいのです。でもこのオロンゴ岬を見るために、一番の興味である、モアイ像を見る時間がほとんどなってしまったため、僕たちのグループは合計8体のモアイ像しか見れませんでした(写真10)。他のグループは数十体のモアイ像を見れたそうで、僕たちのグループは少し物足りませんでした。10世紀以前から造られ始めたモアイ像は17世紀まで造られ続け、モアイを造って運び、建てるために大量の木材が伐採されたため、あるいは人口爆発によって木が伐採されたという説もあり、イースター島にはかつてあった森林が消滅し、今は岩がむき出しになっているところが多く、それによってこの島独自の文明が崩壊したそうです。この他にも西欧から持ち込まれた天然痘や結核が猛威を振るった結果(あるいは西欧による侵略の説もある)、最盛期には5万人いた人口がさらに激減し島民は絶滅寸前まで追い込まれ、この過程で文化伝承は断絶したと言われています。その後、チリ領になって現在に至っています。僕たちが上陸中にスコールのような雨が3回降り、来ている服がびしょびしょになりました。でもその雨の後、とってもきれいな虹を見れたのが不幸中の幸いでした(写真11)。

 

阻害薬ラパマイシンはこの島で発見された

 もう1つ、薬剤師として知っておきたいことはラパ・ヌイのモアイ像のある土壌から発見されたマクロライド系の抗菌薬です。しかしこの物質からは抗菌作用よりも、かの有名なmTOR(mammalian target of rapamycin)タンパク質に結合して、それを阻害して過剰な細胞増殖や血管新生に関わる遺伝子の働きを抑え、オートファジーを促進し、AMPプロテインキナーゼを活性化して長寿になれると言われているラパマイシン(別名シロリムス)が作られてました。がん細胞の増殖などに関わる特定の分子の情報伝達を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬として使われているほか、アルツハイマー病や心不全など加齢に伴う疾患の予防治療に役立っている薬物です。またmTOR阻害薬のラパマイシンは移植された組織や臓器に対する拒絶反応を引き起こすリンパ球(免疫系細胞の一種)の働きを抑える免疫抑制剤として腎移植後に広く用いられているほか、シロリムスは再狭窄の防止の目的で冠動脈ステントのコーティング剤としても使われています。

 なぜか赤道に近い南半球なのに朝夕は半袖では寒いくらい、涼しいです。そして日の出は午前7時すぎ、日の入りは午後9~10時となんか時間間隔がおかしくなりそうな今日この頃です。短い旅でしたが2日間停留したイースター島を終え、ピースボートはペルーの首都リマのカヤオ港に向かっています。ようやく太平洋の島ではなく南アメリカ大陸です。1月18~21日までとカヤオ滞在期間が長いのは、おもにインカ帝国の秘境のマチュピチュやウユニ塩湖など見どころ豊富な場所に行くためです。

 石川県の地震のニュースが徐々に明らかになり、ピースボート内でも少し深刻に考え、義援金を募るなどの活動が始まっており、現在、この船だけで約200万円の募金が集まっているそうです。冬のこの時期の地震は深刻ですね。船はモアイ像で有名な南海の孤島イースター島に向かっていますが(写真1)、この辺りは雨期になるらしく、曇りや雨の日が多いです。南半球とはいえ赤道を超えたあたりですが、蒸し暑い日本に比べれば、ずいぶん過ごしやすいと思いますし、早朝はむしろ涼しいくらいです。ただし船内は冷房がきついのがつらいです。室温が高いと船酔いしやすいので下げているようですが、外は完全な夏なのに、船内では上着がないと風邪を引きそうなくらい寒いです。

 

時間を無駄にしたくない

 このクルーズ船旅行は地球一周106日間の旅です。この間に、今までにできなかったこと、やり残したことをやってみたいと、誰もが何らかの目標をもって乗船していると思いますが、僕もそうで、自分の得意分野ではない免疫やがんなどについて基礎から学び直そうと思ってたくさんの本を持ち込みましたが、船内でのギターと唄の練習、ランニングや英会話上級教室、水彩画教室、趣味の会や講演会への出席に忙殺されてあまり進んでいません。旅行に行ったために遊んで、やる気をなくすようにはしたくないのです。常に昨日よりも今日、今日よりも明日の自分の方が進歩していたいのです。船内のジムで走っている時や船内デッキを歩いているときでも時間を無駄にしたくないので、英会話を聞いているので、DUO 3.0/CD復習用(写真2;これが英会話を上達したい人には一番お勧めです)、ALCのキクタン英検準一級の2冊の本の例文をiPhoneを通して頭に叩き込んでいます。

 

変な楽器を持ってビートルズをやっている人

 日本を出発して3週間も過ぎると少しずつ、僕も顔を覚えられて「健康長寿について講演した人」、「タヒチのモーレア島で英語ガイドの通訳してくれた人」と呼ばれることがありますが、一番多いのが「変わった楽器を持ってビートルズをやっている人」なのです。「走っている人」とはあまり言われたことがありません。実は僕はギターが好きで、モーリスやヤマハ、K.ヤイリ(以前に持っていたマーチンHD28よりも音がいい!)など結構いいギターを持っているのですが、ピースボートに乗って、ライブに参加することや、自分でライブを企画するなんてことは全く考えていなかったので、今回はマーチンのバックパッカーというコンパクトなギターを持ってきました(写真3)。音は悪くはないけれど、大きなギターにはかないません。最初はなんでいいギターを持ってこなかったんだろうと後悔していましたが、「変わった楽器を持ってビートルズをやっている人」ということで知られるようになったのは、いいことかもしれません。ピースボートでは毎朝6時から9時まではバーを借りて「楽器演奏広場」がオープンします。ギター(クラシックギターもエレキギターも)だけでなく、ウクレレ、エレキベースやバイオリン、トランペット、フルート、トロンボーン、ハーモニカ、オカリナ、パーカッション、琴や民族楽器、指笛や声楽の方など多種多様、ありとあらゆる楽器が集まり、コンサートも定期的に開催されています。そして開催するのはピースボートではなく、我々乗客自身も自主企画をすることができるのです。コンサートも初心者レベルからプロまで、誰でも参加できるのです(写真4-6)。僕もギターと唄の師匠である塚本さんと一緒に50分間のコンサートの企画運営をしましたし、自主企画で講演を2回しました。講演の反響は意外と大きく、熊本のご夫婦に「もっとお話をお聞きしたいので、食事を一緒にしたい」、4人の見知らぬ方たちから、同様に「食事を一緒にしたい」、そしてシンガポール、マレーシアの日本語の堪能な方たちも講演を聞いてくれていて、「私たちがピースボートにお願いするので、英語通訳をつけてほしい」という要望がありました。お食事会はもう2回済ませましたが、メモを書きながら、健康長寿について様々な質問を受けました。反響が少しでもあったのはとてもうれしいことです。

 

若い人こそ、ピースボートに乗ってみたら?

 船では15日に開催される運動会の準備で若い人から高齢者までみんなで盛り上がっています。玉入れ(写真7)、綱引き、大縄跳び(写真8)、障害物競走などの競技を誕生月で赤組、青組、黄組、緑組に分かれて競うもので、妻は緑組なので「お父さん、何か緑のTシャツ持ってない?」と聞いてきたので、大阪マラソンの黄緑色の完走Tシャツを貸しました。僕は運動音痴なので応援だけにしようと思いましたが、運動神経は関係なさそうなので誕生月で分けられる黄色組に参加することになりました。若い人たちが中心となっている運動会の実行委員たちの準備(写真9)を見ていると高校、大学時代の学園祭の準備を思い出します。僕も大学生の時には学園祭の実行委員になって、朝から晩まで、時には実習までさぼって学園祭の仕事に没頭したものでした。それは今でも良い思い出になっており、自我、アイデンティティの形成に大いに役立ったと思っています。

 何度も言いますが、ピースボートは豪華客船ではありません。東南アジアの人たちをスタッフにし、ボランティアを増やし、食材も安価なものを選んでいるから、若い人たちでも100万円ちょっとあれば世界一周が可能ですし、最上級のベランダ付きのスイートの部屋でも500万円代です。お酒を飲まなければ衣食住は、基本価格に含まれますから、学生たちは4人部屋で2段ベッドに寝泊まりします。部屋の中で過ごすのは、基本的に寝るときだけです。本を読んだり、PCを使って仕事をするのはホテルのロビーにあるソファのような場所が船内にいくらでもありますし、最上階に行けばプールサイドの日光浴をするような長椅子がいくらでも空いているし(写真10)、7階のウッドデッキにも椅子があります。

 勉強をしようと思えば、どこでもいくらでもできますが、それは大学でもできること。ピースボートでは様々な催しがありますが、それを運営しているのは学生や20歳代の若者が中心なのです。PAの担当、撮影の担当、司会や、催し物の運営アシスタントなどは無償で若い人たちがやっているのが、ピースボートの安さの一因だと思うようになってきました。環境問題や人種差別、性差別、平和を考える講演も多いので、極右の人たちの一部はピースボートを嫌っている人がいますが、日本人だけでなく韓国、中国語圏の台湾、香港、中国、シンガポールやマレーシアなど多民族の人々とうまく共存共栄しています。日本では中国や韓国のことを毛嫌いしている人がいますが、どこの国の方も、話をしてみるとほんと素敵な人がいっぱいいますよ。ピースボート参加者のほとんどが夫婦か1人旅なのでレストランでは、必ず挨拶をして会話をします。日本の日常生活では社員食堂でもあまり話をしなくなりましたが、ピースボートは学校のようなもので時がたてばたつほど知り合いが多くなります。レストランで働く親しいタイ人のスタッフや部屋の掃除をしてくれるインドネシア人にはファーストネームで呼び合ったりしています。僕はこの雰囲気から楽しかった学生時代を思い出すのです。下船した後も、毎年、定期的に会合を持つ人たちや、船で知り合った人たちがリピーターになることもよくあることだそうです。僕はピースボートは初体験ですが、「何回目ですか?」というのがあいさつ代わりになるくらいリピーターが多いのです。まあ、それくらい、充実した生活を送れる場所なんだなと思います。

 学生時代が暗く、思い出があまりない若い人がいれば、一度、ピースボートに乗って、スタッフとしてボランティア活動をやれば、同世代の人たちと苦労を分かち合えることで、きっといい仲間が増えることだと思います。僕も何の思い出もない灰色の生活だった高校生時代と比べ、様々な体験ができて大人になれた大学時代が人生で一番、捨てがたい思い出でしたから。そしてその時の友達が今でも一番の親友ですから。

 

 大晦日は「スター誕生」という1人2~3分の一発芸大会、日中韓の3つの言語を持つ乗客が一緒に楽しむ企画が、紅白歌合戦以上に楽しかったです。最後は「カントリーロード」を全員の大合唱で盛り上がりました。そして元旦はおせち料理も楽しめましたが、石川県の地震の悲しいニュースも入ってきました。

 1月2日(火曜日)フランス領ポリネシアのタヒチ島の首都パペーテに到着予定でしたが、骨折患者が出たということで元旦の深夜に到着しました。高齢者の多いクルーズ船ではこういうとはありがちです。

 正月の2日なので、タヒチ島のほとんどの店は閉まっており、一番目当てのマーケットプレイスもクリスマスから10日間休みだそうです。物価はハワイに比べると安いけど、円安の影響で日本よりは全般的にちょっと高いように感じましたが、ステーキ用の肉は安かったです。タヒチの大自然を堪能したい人の多くは近くのモーレア島に30分程度かかるフェリーで渡り、島を周回したりシュノーケリングを楽しむようです。モーレア島には、色とりどりの熱帯魚、光線、サンゴがいっぱいの豪華な結晶のラグーン。ハワイよりももっときれいな海を堪能したいと期待していました。僕はピースボートのオプションツアーではなく、ネットでTripAdviserを介して、小さなヨットでセーリングを楽しんだり、ラグーンやおとなしいサメやエイ、熱帯魚などをシュノーケリングで見たりする「モーレア島発見半日セーリング」を予約していました(写真1)。このツアーはパペーテからモーレア島までフェリーかボートで30-60分で片道1500円くらいかけて自分で行き、午後から3時間なので、23時出港のピースボートには間に合いそうです。

 

アクシデント発生~ツアーに参加できず~

 集合場所は12時半にモーレア島のMoorea Marinaです。島の人たちに聞くとフェリーから降りて10分程度歩くと着くということで安心しましたが、誰も集合していないのです。ヨットもたくさん停泊しており、誰に聞いてもMoorea Marinaはここだと教えてくれました。でも12時になっても誰もやってこないので、不安になって電話をしてみても誰も出ません。さらに不安になって、本当にここがMoorea Marinaなのかを問いただしてみると、実はこの場所から30km先にもう1つのMoorea Marinaがあり、そこが本当の集合場所であることが分かりました。でも時すでに遅し。しかもモーレア島にはタクシーなんてありません。どうやってその集合場所に行けるのか?30kmは歩けないし、ヒッチハイクでもしろというの?電話のメッセージも届かない。残念な気持ちのまま、仕方なくフェリーターミナルに戻ることにしました。

 

結局は楽しめたタヒチのモーレア島

 フェリーターミナルに帰る途中でツアーバスのドライバーにモーレア島1周「ターティダラーでどうか?」と聞いてきました。ターティダラーはtwenty dollarsに聞こえたので、「You mean two for forty?(2人で40ドルだよね?)」と聞くと「No, sixty dollars for two.」と答えたので、彼のターティダラーはthirty dollarsを意味するのだと理解しました。そういえばオレゴンでもイラン人は「th」の発音が苦手でこのドライバーと同じ発音をしてたっけということを思い出しました。

 そしてバスに乗り込むと僕たち夫婦2人分の席を残してピースボートの日本人客で満員でした。客たちは「僕たちは1人20ドルにしてくれたので交渉して同じ額にしてもらったら?」というのです。仕方なく僕はドライバーの隣に座りましたが、ツアーバスのドライバーはもちろん日本語は話せないので、英語でのガイドでしたので、気を利かせて、彼のガイドを通訳することになりました。バンガローに泊まるタイプの高級ホテルなどを見て(写真2)、ツアーバスの会社に寄って、支払いをすることになりましたが、ここでトラブルが発生。日本人客のすべてがドライバーの発音を聞き間違いしていたのです。「彼は確かに20ドルと言ったぞ、30ドルなんて詐欺だ!」と怒りだす客も出る始末。

 でもよーく聞いてみると「ターティダラー」という彼の発音を日本人客はみんなtwenty dollarsだと勘違いしていたのが原因でした。運転手がだましたいたのではなく、彼の発音が悪いのを日本人が聞き違えたのが原因だったのです。2人の客は怒って、そのまま帰ってしまいましたが、他の乗客はしぶしぶ1人30ドルを支払いました。僕が通訳役をしたのは初めてでしたが、タヒチ人ドライバーの英語はNative speakerよりも聞き取りやすく、「小学校は3歳から10歳まで行くんだ」とか「タヒチで一番美しいのがこのモーレア島、2番はボラボラ島だ。ボラボラ島にはこの島から飛行機で行ける」「フランスからプロテスタントの牧師が初めてタヒチを訪問したので、タヒチでは60%がプロテスタントで、そのほかは順にカトリック、モルモンなどキリスト教でも10種類の教派に分かれている」とか、「フランスは収入の15%の税金、そのほか何にでも税金をかけてくるので島民は独立したがっている」など面白い話も聞けた。観光バスでの通訳初体験は結構楽しめたし、運転手とは仲良くなった(写真3)。天気は良くなかったものの、やはりタヒチの海、山の景色は素晴らしかった(写真4,5)。

 

 翌日1月3日は自主企画で塚本・平田コンビの初の50分間のコンサート。ビートルズ、サイモンとガーファンクル、エリック・クラプトン、そして日本のフォークなどをスタンドマイク1本ギター用のマイク1本で、ビートルズのポールとジョージが1本のマイクをシェアするスタイルにしてみました(写真6)。パーカッションのプロの小栗さんにも手伝っていただきました。結構受けました。観客の皆さん、関係者の皆様に感謝!感謝!

 

 

 船内は冷房が効いているため平田は風邪気味ですが、元気です。これから船はラパマイシン(シロリムス)の生まれた島、モアイ像で有名南海の孤島「イースター島」に向かいます。1月10日(水)の到着予定です。

再び太平洋~船内の日常を紹介します~

 12月26日の夜に船はホノルルを出港してタヒチに向けて南下し、27日は太平洋上で遅めのクリスマスを船内で祝い、12月30日には赤道を通過して僕は今、南半球にいます。そしてもちろん、クラブ活動が再開しましたので、洋上でもまったく退屈していません。ピースボートの1日はとても忙しいのです。朝一番の最上階でのラジオ体操が終わると(写真1)、ヨガ、太極拳、サルサ、社交ダンス、ズンバなどの様々なダンス教室があり、妻はダンスが好きなのでもっぱら身体を動かす方に参加しますが、僕は朝6時から8時半まで「楽器演奏広場」でさいたま市在住で船内で知り合ったギターの師匠の塚本さんとコンビを組んで結構難しい洋楽を練習、オカリナやフルートの伴奏をやったり、70年代のフォークソングをギター仲間と一緒に歌ったりして楽しんでいます。

 自主企画の「マラソン完走談議に集まろう」で70歳代、80歳代でマラソンを完走した猛者とお会いできました。そして午後はジムのトレッドミルで1時間疾走した後、1周約500mのウッドデッキを英会話を聞きながら5km程度速歩をしていますので、この12月は生涯最高の走行距離になり、いつでもフルマラソンを完走できる状態に仕上がっています。そして夕焼けを眺めながらデッキでギターを弾いたりで(写真2)、ストレスはないので、健康そのもの。そして夜はバンドのコンサートや洋上シネマ(最上階では洋上シネマといって、プールの横に寝そべりながら映画を見ることができます)。妻夫木聡、安藤サクラの「ある男」は結構よかったです。スピルバーグの「ウエストサイド物語」は良かったけどスピルバーグでもオリジナルを超えられなかったような気がします。などなど、毎日、結構新しい映画を無料で楽しめます。(写真3,4,5)。

 

船内の食事事情

 14階にあるビュッフェスタイルのレストランは6時から22時まで、いつでも好きなだけ食べられますし、ほかにも洋食、和食を楽しめるレストランが2つあり、どこでも食事は無料。ホテルのロビーのようにソファでくつろぎながら本を読んだりPCを使って仕事をして、お腹がすいてピザを頼んでも、無料だし、最上階のデッキにあるアイスクリームも無料です。オアフ島上陸時のランチ用に公園や海岸で食べるためのクロワッサンやマフィン、バナナやリンゴをランチボックスに入れて持って帰るのも無料ですから、食事に関してお金を使うことはまずありません。有料なのはお酒類と、居酒屋「波へい」で注文する酒の肴とすし屋くらいです。基本、ホテルと同じですから、ベッドや部屋の整頓、タオル、バスタオルやトイレットペーパなどの交換は船のスタッフがやってくれます。バーは2か所ありますが、もっぱら集会所やコンサート用に使われており、お酒を飲む場ではないというのが、他の豪華客船と異なるところでしょうか。それと食材は誰かが言ってましたが、「業務スーパー」などでかなり安く仕入れて、工夫しているという感じです。お昼にちらしずしやそばやうどんも食べられますが、一番安い乾麺を使っています。でも和食が全く食べられないよりは随分いいと思っています。ピースボートは「平和の尊さを知る」という目的も持っていますので、お金のない若い人たちでも100万円ちょっとで乗ることができるので決して豪華ではないのですが、食事内容には全く不満はありません。厨房、レストランのボーイや部屋の清掃などのスタッフ数は、インドネシア人が最多でそのほかに、タイ人、フィリピン人(バンドメンバーはやはり英語の堪能なフィリピン人です)、インド人、欧米人と多彩です。中国語、英語、韓国語、スペイン語の堪能な通訳スタッフも若いボランティアのような感じで20名以上います。

 

自主企画で講演をやってみた、そして結構受けた

 12月28日、29日には「平田の健康長寿塾~何を食べたらいいのか?~」という自主企画を開催し、得意の講演をしました(写真6)。医療者向けではない講演は腎臓病患者、透析患者の会で話したことは何度もありますが、一般人向けの講演はたぶん、初めてですので、難しくならないように気をつけました。地中海食、糖質制限食、そして糖尿病学会が推奨してきた低脂肪低カロリー食を比較すると、すべてにおいて低脂肪低カロリー食が勝ることがなかった(Shai I, et al: NEJM 359: 229-241, 2008)という話を中心に、高齢者、フレイルで痩せた高齢者の食事についても話しました。しかし1回目は50分の予定が55分話してしまい、次のプログラムの方に迷惑をかけました。「話が長い」という平田の癖はいつまでたっても直りません。でも2日目はうまくいき、いろんな質問を受けましたし、講演後はいろんな人から声をかけてくれるようになりました。評判はとても良かったようです。

 

コンサートも結構受けた

 僕のギターは一見、バラライカのような変な形をしているので、持っているだけでたくさんの人たちから「何の楽器?」とよく聞かれます。商品名はバックパッカーといってギターメーカでは一番有名な老舗のマーチンがギターを作った時に余る端材を利用して、薄く小さく軽いギターをメキシコで作ったものです。コンパクトギターと違って弦の長さは普通のギターと一緒なので、弾きやすいのが特徴、ストロークした時の音はフルサイズのギターにはかないませんが、指引きの好きな僕には合っています。でもこの変なギターのおかげで、「変なギターでビートルズを演奏する人」と船内では徐々に知られるようになりました。

 28日のLet’s Enjoy Musicコンサートは塚本さんとサイモンとガーファンクルの「4月になれば彼女は」とアニマルズの「朝日の当たる家」、翌日はビートルズの「And I love her」がかなり受けました(写真7)。さいたま市在住の僕のギターの師匠の塚本太一さんはギターとボーカルをyoutubeにアップしています。Youtubeではギター演奏に関してはうまい人が多いのですが、塚本さんはビートルズやクラプトン、サイモンとガーファンクルや日本語でも「なだそうそう」など、素晴らしいアレンジのギターでギターもボーカルもかなりうまいのです。1月3日には塚本さんとのギターデュオと打楽器のプロの小栗さんに入ってもらって、3人で50分のミニコンサートをやることになりました。乗船客の多くが高齢者なので、ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ボブディランなどの1970年前後の曲を中心にしようと思っています。塚本さんは何でも演奏できる人ですが、曲決めは「平田さんが決めていいよ」と寛大です。

 ピースボートでの旅は、講演会、次回寄港地情報、コンサート、映画、ダンス、ヨガ、趣味の自主企画など、すべてが充実しており、参加していると暇なんてありません。勉強するための本をいっぱい持ってきましたが、なかなか読む時間が見つけられなくなっています。とりあえず英語だけは、走りながらでも聞けるので、レベルアップしようと思っています。そして野菜、肉をいっぱい食べて、健康によいオリーブ油を摂って、いっぱい運動して、平田はすごく健康です。

 第33回の「基礎から学ぶ薬剤師塾」は2024年2月16日(金)18時半から(20時半までの予定)です。今回も事情があり録画を見ていただき、Q&Aはございません。登録していただいた方のみ視聴できますが、再放送もございません。申し訳ありません。

 今回のテーマも初心者向けシリーズ5回目で、「初心者向けシリーズ⑤ 感染症と抗菌薬の使い方」です。大学で学んだ薬物治療学ではわかりにくかった感染症の基礎と抗菌薬について殺菌性抗菌薬はほぼ腎排泄であり、グラム陽性桿菌、陰性球菌は知らなくていいなど、我流ではありますができるだけ分かりやすく解説したいと思っています。

 参加を希望される方は 申し込みフォーム に記入のうえ、2月11日までに送信してください。

 薬剤師塾となっていますが、医師・看護師など医療従事者であれば参加可能です。300名まで参加可能ですが、登録者数はいつも200名を超えていますので、早めに登録してください。

 

ハワイ島からオアフ島へ10日ぶりの上陸

 前回も言ったようにピースボートのWifiは弱くて高い。たぶん1000分で2万円です。でもWifiがないと困ることは山ほどあるので、Pocket Wifiを使って自由に使える寄港地に着くのが楽しみです。23日には初寄港地のハワイ島のヒロに着きました(写真1)。でも全乗客1800人(2/3が日本人で、残りの1/3が中国人でシンガポール、中国本土、台湾、香港と多彩で、あとは韓国人と欧米人がわずか)で4~5時間かかる入国手続きを済ませるための寄港だったみたいで、僕たち夫婦は健脚なので、ダウンタウンまで3kmの道を歩いて往復しましたが、十分な観光時間があれば、活火山のキラウエア火山に登ったり、ダイビングを楽しむことができたと思います。でも19時には出港するので、自然を満喫するツアーは時間がかかるので行けず、お土産屋さんや小さなスーパーマーケットを回って、円安の影響でハワイの高い物価を確認するくらいで終わってしまいました。でもこの島に来たことによって船内のビュッフェスタイルのレストランで、久々にバナナやマンゴー、西瓜を食べられるようになりました(写真2)。

 翌日のクリスマスイブはホノルルのあるオアフ島に午後に到着、初日はお決まりのワイキキビーチ、ダイアモンドヘッドを見て、お土産屋さんを散策。ホノルルは40年前にホノルルマラソンを白鷺病院の友人と一緒に走って以来です。当時のワイキキビーチ付近は完全な観光地で、すべてのお店の店員が日本語を話す、「まるで熱海のよう」なところなので、ホノルルマラソンは楽しめたけど、外国に来た感じがしないので、オアフ島をあまり好きにはなれませんでした。でもそのあとに訪れたマウイ島は自然満喫で天国のような場所でした。

 ホノルルでの観光客の移動手段はバスですが、バスの運賃は3ドルで、1人だと1ドル札3枚必要ですが、両替機なんてバスには装備されてないし、SUICAカードのような便利なシステムもないので、ホノルルに着いてまず1番にやるべきことは100ドル札を両替すること。ATMでは20ドル単位でしか下せません。ABCマートのようなコンビニで一番安い水でも3ドル(420円くらい)と高いのですが、店員が優しければ、何も買わなくても両替してくれます。日本のコンビニでは「両替禁止」となっていますが、ハワイのバス事情のことを考えると、コンビニで20ドル札を5ドル札と1ドル札に両替してもらうのが一番いい方法でした。

 

トラブルだらけのホノルル2日目

 2日目のホノルルは電動自転車(といってもほぼ電動の原付のスピードが出ます)に乗って8時間のサイクリングを前もって予約しました(写真3)。ダイアモンドヘッドは25日は入山禁止なので、ふもとの丘まで上がり、山の裏側を見学、その後、カハラホテルという5つ星ホテルに行ってイルカを見て、マノアの滝に向かおうとしましたが、帰り道で妻の自転車がパンク。「どうしよう!」と思いましたが、レンタサイクルの店に電話すると1時間足らずで、車で新しい自転車を運んできてくれました。その後はマノアの滝に行く予定だったのですが、Pocket Wifiの調子が悪く、Google Mapのナビ機能がうまく使えないという緊急事態が発生。あらかじめダウンロードしておいた地図のナビを使うしかなく、これは自転車や歩行者のナビではなく、車のナビしか使えないことが発覚。そのナビに従って行くと高速道路のような自動車専用道路に入ってしまったり、慣れない右側通行のため、かなり危険な目に遭ってしまい、妻が精神的にギブアップ。Wifiの調子さえよければ滝を見に行ったり、海岸を走ったりで1日中、楽しめたはずのですが……。25日はターゲットやウォルマートといった米国で有名な安売りスーパーもクリスマスで休み。米国のクリスマスは年に1回家族が集まる日本の正月・元旦と同じで主要なところはやっていないのです。ということで2日目はとても残念な1日でした。

 

結構楽しめたホノルル3日目

 26日はホノルル最終日、ワイキキでアオウミガメと泳ぐタートル・シュノーケリング・アドベンチャーに参加。アオウミガメのほかにも、水族館にいるみたいにカラフルな魚の群れや海のギャング・うつぼや優雅な泳ぎ方をする太刀魚を見ることができました。生涯のシュノーケリング経験では①西表島、②ワイキキ、③ケアンズのグレートバリアリーフ(ただし雨天空けでした)の順に楽しめました。帰りの船はダイアモンドヘッドの近くまで行ってくれて(写真4)、サービス満点。最終日がよかったから、「ハワイは結構楽しかった」としておきましょう。帰りにターゲットによって500錠入りのアセトアミノフェン500mgを購入。ターゲットブランドだと驚くほど安い!2005年にオレゴンにいたころは鎮痛薬は棚に並んでいたけど、今は鍵付きのケースには入っている(写真5)。

 電動自転車やシュノーケリングなどのツアーを楽しむコツは出発前にベルトラ、TripAdvisorやトリバゴなどのサイトでおもしろそうでコスパの良いもの、そして評価が5つ星に近いものを選んで、あらかじめ自分で予約すると安くつきます。博物館やパールハーバーなどの文化的な施設は勉強にはなるかもしれませんが、評価は4つ星程度でエキサイティングではありません。

 場合によってはツアーだけでなくホテルや飛行機の予約も自分でします。ピースボートのツアーの1/3程度の価格になりますが、英語のガイドなので、自転車のパンクの時のように、緊急時に英語で電話できる語学力は必要です。僕は英字新聞は読めないし小説も読めない、映画も字幕なしでは半分も分からないのですが、医学論文は辞書なしで読めますし、英検準1級を持っているので、旅行英語くらいは問題ないと思います。明日からまた約1週間の船旅でフランス領ポリネシアのタヒチ島にある首都パペーテに向かいます(写真6)。

 12月13日に神戸港を出発してから1週間を過ぎ、船は太平洋を南東に向かって走っています。これからの人生を楽しむためにピースボートという世界一周のクルーズ船旅行に来ています。

 ピースボートでは暇を持て余すことはありません。朝からラジオ体操、ヨガ、サルサ、太極拳、ズンバや社交ダンスなどの運動系や、水彩画教室、講演、映画、そのほか、ありとあらゆる種類の趣味の集まり、地域の集まり(僕は広島県人会に参加)などの会合が開催されています。何を選んだらいいのか毎日迷いますが、前日に配布される船内新聞を見ながら妻と一緒に毎日のスケジュールや食事場所(和食、洋食レストランとビュッフェスタイルの3件)を決めています。妻はもっぱらヨガ、サルサ、ズンバ、ジムなどの運動系、僕は楽器演奏広場、ランニング、水彩画教室などに参加しています。

 

まるで大学入学時みたい

 僕のいつものライフスタイルは芦屋のI&H本社に出勤し、デスクワークがほとんどで、夢中になるといろんな論文を読んで、新しい本や新しい講演のためのスライドを作りたくなるので、家に帰るのは午後9時過ぎがほとんどですが、ピースボートではネットがつながらないので(Wifi使用料が高くてつながりにくい)、新しい論文を見れません。だから授業ではなく自然とクラブ活動ばかりやっていた学生時代と同じような自由な生活になっています。

 

僕の趣味はギターとランニング

 マーチンのバックパッカーというスリムなギターを持参したので、僕の日課はもっぱら「楽器練習ひろば」に集まる音楽好きの人たちと一緒にビートルズやE.クラプトン、サイモン&ガーファンクル、フォークやポップスを一緒にセッションして楽しんでいます。埼玉の歌もギターもうまいギタリストのTさんに弟子入りして、一緒にHere comes the sun、Scarborough Fair、April comes she will、Tears in Heaven, Hey heyなどをレパートリーにしてステージに出ています。この中にトランペット、フルート、打楽器や

オカリナの人たちも入ってセッションすることもあって、これは毎日の楽しみでもあります。20日はペアでビートルズのHere comes the sunをステージで披露。結構、受けました。明日からはE. ClaptonのUnpluggedをやってみようと思っています。そのために20歳代の時以来、久しぶりに左指が痛むくらい一生懸命、ギターの練習をしています。

 ランニングは12階にあるトレーニングジムにトレッドミルが10台以上ありますが、通常の時間帯だと混んでいて、使えないときは7階のウッドデッキで、船の周り1周500mを競歩のように速く歩いています。マラソンランナーはガーミンというGPSウォッチ(走行速度や心拍数などが測定できる優れもの)を身に着けていますが、船の上では、僕の走る速度と関係なしに船の速度が影響するので、1kmを2分足らず、10kmを20分足らず、ハーフマラソン(実は5kmちょっとしか走っていない)をほぼ40分で走り、ガーミンウォッチが「新記録!(実はすべて世界記録だ)」を連発してくれる。ちょっと困ったものです。船は東に向かっているので、ほぼ毎日のように1時間、時計を早める必要があります。電波時計を持ってきた人も使い物にならないと嘆いています。僕は持参したカシオの安い時計(でもカシオの性能はすごくいいんだよね)を代わりに使っています。

 

まったく暇ではない

 こんな風に毎日、いろんなプログラムに参加し、新しい趣味の仲間や友人ができる。食事は、たいてい妻と行くが、相席になるとほぼ必ず初めて会った人たちと、自己紹介をはじめ、いろんな話をする。午前中は楽器練習広場で午後の発表会で披露する曲の練習、暇があればサルサやヨガ、午後は水彩画教室、英会話上級コースなど。そしてその間を縫ってランニング、ウォーキングがあるので、決して暇ではありません。それと自主企画プログラムが増えてきたので、僕も「健康長寿講座」のような講演をしようかなと思っています。

 

今後の予定

 23日にハワイ島のヒロで入国手続きを済ませて散歩、24-26日はオアフ島のホノルル、そして、正月にはタヒチのパペーテに行き、イースター島、ペルーのマチュピチュ遺跡などを回り、南アメリカ、アフリカの各地を回る予定です。船内の日本語ツアーは高いので、自分で英語ツアーを予約していく予定です。

 平田は今日も1日平均、15,000歩歩くとても健康的な生活を送っており、元気です。まずは近況まで。

『腎の構造と機能から学ぶCKDの病態』のテキスト(PDF)ダウンロードができます。

この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます


『腎の構造と機能から学ぶCKDの病態』の目次です。

1日目体内水分量と電解質の調節:

2日目ヒトは細胞内液に原始の海を細胞内液には太古の海を持っている:

3日目:腎臓の構造について学ぼう

4日目:なんで腎臓病は良くならない?

5日目:最終的にアルブミンを漏らさない糸球体の濾過障壁は何?

6日目:糸球体の仕事をまとめ、糖尿病性腎症の進展について考えてみよう

7日目:腎臓のできることと限界

8日目:輸液療法

9日目:CKDの降圧療法はどうあるべきか?

10日目:蛋白尿(-)のCKD患者の血圧の下げすぎには要注意

11日目:薬剤師の皆さん、イナーシャになってない?

12日目:尿細管の名称と機能を知ろう

13日目:近位尿細管の機能

14日目:傍糸球体細胞による糸球体内圧の維持とレニンの役割

15日目:レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系阻害薬の使い方

16日目:かなりあくどいアルドステロン

17日目:non-steroidal MRAフィネレノンの快進撃

18日目:集合管は尿量を最終的に決める~主役は水を保つADH~

19日目:水利尿薬としてのサムスカⓇ(トルバプタン)の作用機序と使い方

20日目:ナトリウム利尿ペプチド

21日目:サクビトリル/バルサルタンってどんな薬?

22日目:Fantastic Fourの効果と使い方

23日目:利尿薬について誤解していない?

24日目:サイアザイド系利尿薬再び

25日目:フロセミドは浮腫改善作用を持つ利尿薬であり、サイアザイドは利尿降圧薬

26日目:アルドステロン分泌異常疾患、ADHの分泌異常疾患による血清Na値異常

27日目:発汗によって脱水になったら、どうやって水分の喪失を防ぐ?

28日目:最終回『まとめの理解度テスト』

腎の構造と機能から学ぶCKDの病態

28日目(最終回):まとめの理解度テスト



  問  題  

問1.Naを保持して体液減少を防ぐのはなに?1つだけ選べ
①アルドステロン ②抗利尿ホルモン ③Na利尿ペプチド

問2.水を保持して体液減少を防ぐのはなに?1つだけ選べ
①アルドステロン ②抗利尿ホルモン ③Na利尿ペプチド

問3.体液量減少を感知して血圧を上げるために分泌されるものは?1つだけ選べ
①レニン ②アンジオテンシンⅡ ③アルドステロン

問4.Naを保持して体液減少を防ぐホルモンを抑制して利尿作用を示す薬はなに?

問5.水を保持して体液減少を防ぐホルモンが作用する受容体に拮抗して尿量を防ぐ薬はなに?

問6.高カルシウム血症による脱水には以下のうち何を摂取すべき?1つだけ選べ
①水を飲む ②OS-1を飲む

問7.フルマラソンに参加し完走した市民ランナーによる脱水には以下のうち何を摂取すべき?1つだけ選べ
①水を飲む ②OS-1を飲む

問8.ネフローゼ症候群によって血清Na濃度が132mEq/Lに低下した。この時の治療法は?

問9.ARNIとACE阻害薬の併用はあり?

問10.①血漿、②間質液(細胞間液)、③細胞内液、④体内水分量、⑤細胞外液量はそれぞれ体重の何%?

問11.以下の血清電解質濃度の正常値を言え
①血清Na濃度、②血清K濃度、③血清Ca濃度、④血清P濃度、⑤血清Mg濃度、
⑥血漿HCO3濃度

問12.以下の正常値を言え
①心拍出量/分、②腎血流量/分、③糸球体濾過量/日

問13.糸球体細動脈をボウマン嚢の中で束ねているのは何細胞と何組織?

問14.下記の()内に適切な数値を入れよ。
ヒトは最も薄くて(①)mOsm/Lから最も濃くて(②)mOsm/Lの尿を作ることができる。

問15.ヒトの ①尿中正常Na濃度、②尿中正常水素濃度、③尿中正常Ca濃度、④尿中正常リン濃度 をいえ


  解  答   この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

月別アーカイブ