一受講者であっても講演会は演者との戦いの場と思え!
みなさん、勉強会、研究会、学会に参加する機会は多いですよね。刺激をもらうのはとてもいいことです。刺激されると勉強する意欲がわきますから。でも大学の講義と同じで、「一番後ろで目立たないようにしとこ!」と思っていませんか?自分で交通費や参加費を使ってせっかく来ているのに、後ろの方の席じゃもったいない。ライブでは前の方が一番見やすいし、エキサイティングでしょ?
でもなんでなんでしょう?薬剤師の学会では前の方のしかも中央の数列にはだれも座っていない。なんで?素晴らしいプレゼンをしていただいた講師に対して誰も質問や、感想を全く発言しない。仕方ないので座長がおざなりの質問をする。結局、全く盛り上がらない講演になってしまう。医師の学会ではマイクに列ができるのに、なんで薬剤師の学会ってこんなに静かなの?活気がないの?そのかわり、講演が終わると質問するために列を作る。なんで座長に促されたときに質問しないの?
僕は若い時にメンターから講演会を聞きに行ったときでも、受け身になっていてはいけない、質問をして講演会を盛り上げていかないといけない、講演会は演者と座長だけで成り立っているのではないのだから、若い奴が率先して質問しろと教わっていましたし、そのように思っていましたしやってました。
僕がかつて地域の腎と薬剤研究会を主宰していたころ、研究会開催前に若い委員会のメンバーたちに言い聞かせていたことは以下の通りです。例えば、医師が講演者で何も質問がなければ、おそらく演者は薬剤師を評価しないでしょう。「薬剤師ってこんなにレベルが低いんだ」と思うでしょうから。
学会や勉強会は演者と聴衆が一緒に創るもの
~若い人たちに言い聞かせていたこと~
・たとえ1受講者であっても受け身になるな!
・気の利いた質問が思いつけば手を挙げて質問しよう!
・よい内容なのに質問がないと講師に失礼!よい講演会がつまらない講演になってしまう。それは講師に対して失礼だ。
・若手なら最初に手をあげろ!
・参加者1人1人がこの講演会の構成メンバーだよ。この会を盛り上げるんだという気概を持て。
・医師に対して何も質問がなかったら「薬剤師ってこんなもんだ」と思われるか、「ひどい講演をしてしまった」と落ち込ませるかのどちらかだ。
勉強会のスタイルを変えたい
~質問がなくて当たり前?~
いかがでしょう?平田の薬剤師塾でも僕は時々、「熱いディスカッションをしましょう。質問をしてください」と言いますよね。
これからもたぶんずっと、僕は言い続けると思います。熱いディスカッションがあればオンラインであっても面白い講演になると信じていますので。そして質問していただいた方、1回だけでは記憶力の悪い僕は名前と顔を覚えられませんが、何度も気の利いた質問をしてくれると「この人はすごい!」と期待します。
人前で発表するチャンスがあるということ
学会発表では多くの人が発表者であるあなたを見ています。初めての発表は完璧じゃなくてもいい。人前に曝されるのだから、何度も失敗したくないでしょ。そのためにさまざまな工夫をするでしょ。見られる機会が多ければ多いほど、工夫を繰り返したあなたのパフォーマンスは日々、確実に向上するのです。
これは学会発表だけではなく、論文でも一緒です。先輩やメンターに見てもらい、修正・確認を繰り返して恥ずかしくないものを残したくなる。だって論文はあなたが書いたものが生涯にわたって残るのですから恥ずかしい内容のものは残したくないじゃないですか。こんな繰り返しが研究者としての成長を促すのです。
これってギターがうまくなるかどうか、ダンスがうまくなるかどうか、サッカーがうまくなるかどうかでも一緒じゃないかなと思います。1人だけで練習してもうまくならないけれど、人前で演奏したり試合やコンテストに出場する機会があると上手になれる。コツは月に1回だけ1日8時間練習するよりも、毎日10分ずつでも練習するとうまくなる。10分しかできなくても集中し、工夫をすれば必ずうまくなる。その10分は通勤時間でもいい。通勤時でも質問対策や発表の内容のチェックを繰り返す。「こんな質問をされたら、こう返す」、「あれ、この言い方じゃ初心者にはうまく伝わらないな」、「1枚のスライドで2分も説明したら聞いてる人は退屈しちゃうな」、「表は見にくい!分かりやすい図に代えてみよう」「こんな小さな文字ばかりのスライド、全然インパクトがない!」こんなことをいつも考えて工夫している人(夢中になっている人)は素晴らしいプレゼンテーションができるようになり、素晴らしい研究者になれるはずです!こうやって毎日夢中でやった人だけが本人も気づかないうちに「天才」と呼ばれるようになるんじゃないかな?だって天才は苦労しないものね(苦労してるところを見せないだけかもしれない)。楽しんでいるものね。
SGLT2阻害薬は腎臓の本来の仕事
「ホメオスタシスの維持=適正化」を回復してくれる薬
SGLT2阻害薬の尿糖排泄作用は続くのに、利尿作用は持続しません。これには。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
薬剤師塾ではこの表題のような質問をよく受けます。以前にも回答しましたが、SGLT2阻害薬による尿糖排泄作用はずっと持続するはずなのに、利尿作用は持続しません。今一度、SGLT2阻害薬の利尿作用についてまとめてみたいと思います。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
なんでラウンドアップ法ばかりに頼るの?
しかしほとんどの薬剤師がeGFRや推算CCrでうまくいかないとき、つまり血清クレアチニン値が低すぎる痩せた後期高齢者の腎機能が、健常者の1.5~3倍に推算されてしまうときに、血清クレアチニン値に0.6を代入する「ラウンドアップ法」をやっています。ラウンドアップ法はどういう方法かご存知ですか?「血清Cr値に0.6を用いると推算値と実測値がよく相関する」という方法ではありません。ラウンドアップ法は血清Cr値が0.1mg/dLでも0.5mg/dLでも一律に0.6mg/dLを代入する方法なので、測定値を一定に低めに見積もるという手法なので、全く科学的ではありません。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
~シスタチンCの測定が普及しない~
腎機能評価の指標として、糸球体濾過速度(GFR:Glomerular Filtration Rate)が使用されます。実測のGFR(イヌリンクリアランス)はそのゴールドスタンダードで、実測のクレアチニンクリアランスもきわめて正確で、機能している残存ネフロン(intact nephron)数や腎血流量の変化を予測でき、CKD患者ではこれらの変化によって腎予後、透析導入までの期間も予測できる非常に優れた腎機能マーカーですが、測定に時間も手間暇もかかります。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
透析患者のPEW(protein-energy wasting)と栄養指導 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
透析患者の血清クレアチニン値、血清リン値、BUNは高いほうが感染症にかかりにくい この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
透析患者で最大の予後悪化要因はPEW(protein-energy wasting)だ!
前編・中編・後編の3回を予定しています。
透析患者は病的肥満のほうが予後がよい この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
例えば、スピロノラクトンって僕はどう発音するかわからなかったのですが、英語版の医療用Youtubeを聞いていると分かりました!スピロノラクトンの発音記号はspʌɪ.ɹən.ə(ʊ)ˈlæk.təʊnとなっていましたが、スパ‘イロノラクトゥンという感じです。ではアルドステロンはælˌdo‘ʊstəroʊnでアルド’ウステロンです。う~ん、勉強になる!国際学会の講演やディスカッションでもこれで聞き取れそうです。おすすめの医学系Youtube英語版はNinja NERDなどがあります(図1)。
輸入細動脈と輸出細動脈は英語では混同しそう
そこで気付いたことですが、腎臓オタクでごめんなさい。輸入細動脈は英語でafferent arterioleで輸出細動脈はefferent arterioleですよね(図2)。でも日本人にとってこの2つの発音の仕分けが極めてむつかしい。発音記号で書くとǽfərənt ɑrtíriòul とéfərənt ɑrtíriòul だからネイティブの米国人どうしの会話でも聞き間違えそうな気がします。聞き間違えないようにするためでしょうか、ある医療系米国人Youtuberは輸入細動脈のafferent の発音はどちらかというとéifərəntとわざと強調し、輸出細動脈の発音は弱めに発音していました。
医学英語・薬学英語の語句・発音を知るには?
弱った英会話能力を復活させる方法 -前編- 弱った英会話能力を復活させる方法 -後編-でも紹介しましたが、「キクタンメディカルの薬剤編」、「トシ、聴くだけであなたの医療英単語が100倍になるCDブックよ。」を聞き流すだけでも医学用語には強くなれると思います(図3)。うまく使いこなして活用すればischemic colitisは虚血性腸炎、acute pancreatitisは急性膵炎ってわかりますね。その前に病院や大学の医局でやっている抄読会に参加させてもらえばこれらの専門用語が英語で飛び交いますので、自然に医学英語が身に着きます。