1月8日(木)開催の、「活性型ビタミンDは第4の脅威 Quadruple Whammy」について以下のような質問をいただきましたので回答させていただきます。
Q.①本日のご講演と少しずれるかもしれません。お許しください。透
A.透析患者さんですから透析時に除水すればよいと思います。十分な
Q.CKD-MBDガイドライン2025では、透析患者の補正Ca
A.その通りだと思います。我々の経験でも10以上、あるいは一般的
SGLT2阻害薬は非常に多面的な効果を持っていて(図1)、強力な腎保護作用・心保護作用のどれが主要なメカニズムなのかいまだにわかっていない。これらの中には貧血改善効果、尿酸低下作用などもあるけど同じ作用を持つ治療薬ではこれほどの臓器保護作用は認められないし、利尿作用もあるけど早期だけしか認められないので、これらは主作用じゃない。糸球体過剰濾過を改善することによってアルブミン尿を減らすことによって、腎機能の悪化、心血管合併症の発症を防止するのがメインの作用じゃないかなと思っていた。だけどCANVAS試験、EMPA-REG outcome試験ともに糖尿病関連腎臓病DKD患者のヘマトクリット値の上昇、尿酸値の低下が尿中アルブミン減少よりも腎アウトカムに影響を与えた潜在的媒介変数としてははるかに強力だったという2つの報告がある(図2、図3)。CANVAS試験サブ解析の考察では多変量モデルでは貧血改善と血清尿酸値低下の組み合わせがカナグリフロジン治療効果の103.0%を媒介することも示されている。初期変化は利尿作用による血液濃縮、長期的な変化は腎臓によるEPO分泌亢進を介した造血作用による。つまりDKD患者の慢性的な低酸素状態を改善する作用によると考えられるが、これらの報告ではヘマトクリット値の初期変化は主に尿中Naおよび水分喪失による血液濃縮を反映している可能性が高いが、長期的な変化、主に腎臓によるエリスロポエチン分泌亢進を介した造血作用を表している。通常は4週間くらいかな?それにしてもベースラインのヘマトクリット値が42%未満から増加するとか、尿酸値が5.7mg/dL以上から低下することくらいで腎保護効果に影響を与えるってのはどうも信じがたい(図4)。失礼だが統計上のお遊びのように見えてしまう。




「SGLT2阻害薬は利尿作用があるのに急性腎障害を増さなないどころか25%も減らしているのはなぜ?」の1つの回答はSGLTのフル稼働による腎虚血を腎性貧血改善作用によって防ぐ可能性はあって、それが投与初期の利尿作用による血液濃縮が関わっていた可能性はあるかもしれない。フロセミドの利尿は結構、強力で無理やりっぽいけど、SGLT2阻害薬による利尿は溢水を改善したら、抗利尿ホルモン分泌が増加して、過度な利尿を抑えることなどによってうまく調整されているのではないだろうか?
SGLT2阻害薬のアルブミン尿抑制作用は確かに重要だけど、アルブミン尿抑制作用だけだったらMRAのほうが同等かそれ以上強力なのに、腎保護作用は明らかにSGLT2阻害薬のほうが強力なのは、いまだよくわかっていないその他の多面的な作用によるのだろう。だからヘマトクリットや尿酸という結果は単なる統計上の結果に過ぎなくって、まだまだほかにもあると思うんだよね。
1月8日(木)開催の、「活性型ビタミンDは第4の脅威 Quadruple Whammy」について以下のようなアンケートの回答をいただきました。原文のまますべてのアンケート内容を紹介させていただきます。
いつも丁寧なお話をお聞かせいただき、ありがとうございます。大変勉強になります。勉強が足りないといつも感じます。
エルデカルシトール0.75μgは高齢女性によく見る処方ですが、安易に使用すべきでないことがよくわかった。VD製剤とCa製剤の併用にも意識を向けたいと思う。ありがとうございました。
外用薬の副作用の発生状況が分かったのでためになった。服薬指導にいかせそうです。
今回もとても勉強になりました。
骨粗鬆症チームに加入して、ビタミンD製剤の適正使用ができるよう努力していきたいです。
いつも勉強になるお話ありがとうございました。
ご講演ありがとうございました。。
当院整形外科がありますので、VD製剤はよく処方されます。ほぼ高齢者ですが、エルデカルシトール0.75μg/日、アルファカルシドール1.0μg/日も見かけます。今後、症状、検査値等注意して行きたいと思います。
平田先生が熊大ご就任の記念講演会で最初にお聞きしたのが、この「VD3製剤の腎に対する影響」で、整形外科門前薬局勤務だった私に衝撃を与えました。のちに透析病院門前の薬局勤務となり、定期的に処方されるVD3製剤(フルスタン!も含む)の意味を知ることに。その後、エルデカルシトールが登場し、危機感の無い整形や内科医へ、腎機能とCa値チェックをご依頼し続ける必要性を感じました。ありがとうございました
いつもすごく勉強になっていて、日々の仕事に役立っています。ありがとうございます。
腎臓のよわっている高齢のご婦人で骨も弱ってすぐこけてしまう方が ご家族にビタミンDを勧められて DRにアルファロール0.75を処方してもらってました。
骨をとるべきか 腎臓を取るべきか悩んでいたので参考になりました。
透析患者にて血管石灰化病変で血管が骨のようになっているとは知りませんでした。ニフェジピンCRとリズミックが処方されているのがようやく理解できました。VB?を処方される患者の背景や年齢、飲水を勧める、腎機能の数値、Caのサプリなど要注意事項が多く、これからの服薬指導に活かしたいと思います。本日も有難うございました。後ほど配信されるオンデマンド動画でもう一度、理解できるようにしたいです。
ありがとうございました
活性型VD製剤の知識が足りてなかったので大変勉強になりました
糖質入り飲料が健康に良くないことはよく知られるようになったが、特に高齢者の中には「100%果汁は健康にいい」という神話のようなものがあるようだ。果物は抗酸化作用のあるファイトケミカル、食物繊維、ビタミンやミネラルなどの有効な栄養成分も含んでいるので摂った方がいいけど、摂りすぎには要注意!というイメージを持っている方が多いんじゃないかな?確かにブドウの皮にはアントシアニンという抗酸化物質が入っているが、ブドウ糖がたくさん入っているとグルコーススパイク(血糖値の乱高下:下がりすぎるのもよくない)によって血管を損傷しやすいし、果糖は血糖値をあげないが、満腹感を得られず食べ過ぎてしまう。しかも果糖は中性脂肪に変わりやすく脂肪肝になりやすい。太りやすさでは果糖は砂糖やコメより危険と言われているのでこれもよくない。果物の中でブドウはブドウ糖と果糖の両方の含有量が特に高い。だからブドウジュースの一気飲みはグルコーススパイクの原因になって、動脈硬化を進行させるので良くない!デビット・シンクレア教授の名著「ライフスパン」でも教授が栄養士さんから「ブドウって本当に危ないの」と教えてもらった逸話が挿入されている。山梨県などのブドウ農家の方には申し訳ないが、ブドウはとってもおいしいのだけれど、ブドウ糖・果糖含量が高いので、食べ過ぎにはくれぐれも気を付けていただきたいのだ。このほかにもブドウ糖を多く含む果物にはいちじく、プルーン、柿があるそうだ。
果物を摂るにはイチゴ、モモがブドウ糖、果糖の含量が低く、ブルーベリーも食べる量が少ないのでよさそうだ。レモンやグレープフルーツはあまり甘くないから糖質が少ないのは分かりやすいよね。これらの情報は医療者でもあまり知らない人が多いみたい。


尿素は腎機能低下によって上昇するが、血清クレアチニン(Cr)値と異なり、脱水や発汗過多、心不全、ショックなどによる腎血流低下時には尿細管で水とともに再吸収されて上昇することがあるため、腎機能マーカーとしては尿細管で全く再吸収されない血清Cr値に劣る。BUNは筋肉の崩壊などの蛋白異化や高たんぱく食など様々な要因によっても上昇するからだ。また肝による尿素合成低下によって低下するなど様々な要因によっても変化する。BUN/Cr値は通常、10程度であるが、20を超えると脱水を疑うことのできる腎前性腎障害の簡便なマーカーにもなる。
脱水の時には腎臓が、水や塩を尿細管で再吸収して尿量を減らすことによって、脱水にならないようにしているが、この時尿素は尿細管から再吸収されてしまうが、Crは再吸収されないので正確な腎機能マーカーになるとともに、Crは上がらずにBUNだけが上がるからBUN/Cr値が上昇する。高齢者で利尿薬の投与、夏季の発汗量増加、など脱水でBUN/Crが20を超えることはよくあるが、僕が経験したBUN/Cr値の上昇は下記に示すものが多い。
①プロテインを摂取しているボディビルダー、②消化管出血(血液成分は多くのプロテインを含んでいる)、③重症感染症(多分、発熱による不感蒸泄の亢進と炎症による体蛋白の崩壊?輸液をするとBUNだけでなく血清Cr値も低下することが多い)、④ステロイド投与(たんぱく質を摂取しても糖質に変える異化亢進ホルモンだから)、⑤飢餓による体蛋白崩壊


2026年2月開催の平田の薬剤師塾のお知らせです。
第64回平田の薬剤師塾 初級編は「透析導入を防ぐための糖尿病関連腎臓病DKD治療の4本柱とクリニカルイナーシャの重要性」です。
健常者の年間進行速度は約0.7~0.9 mL/min/年と言われている。糖尿病性腎症による透析導入を
◆2026年2月12(木)開催「透析導入を防ぐための糖尿病関連腎臓病DKD治療の4本柱とクリニカルイナーシャの重要性」
お申し込みは こちら から
【申込期限:講演会開始直前まで】
【定員:300名】
お支払いが完了していれば、開始直前でもご視聴いただけます。また、受講者の方は講演終了後、数日後から1週間、オンデマンド配信にて繰り返しご聴講いただけます。あわせて、講演終了後に講演スライドをお送りいたします。
第65回平田の薬剤師塾 中級者編「糖尿病関連腎臓病DKD/CKD、心不全に対するSGLT2阻害薬~SGLT2阻害薬を徹底的に深堀りしてみよう~」です。
尿糖排泄を増やすことによって尿糖を増やし、糖利尿/Na利尿作
◆2026年2月19(木)開催「糖尿病関連腎臓病DKD/CKD、心不全に対するSGLT2阻害薬~SGLT2阻害薬を徹底的に深堀りしてみよう~」
お申し込みは こちら から
【申込期限:講演会開始直前まで】
【定員:300名】
お支払いが完了していれば、開始直前でもご視聴いただけます。また、受講者の方は講演終了後、数日後から1週間、オンデマンド配信にて繰り返しご聴講いただけます。あわせて、講演終了後に講演スライドをお送りいたします。
あけましておめでとうございます。
旧年中はひとかたならぬご厚誼を賜りまして、大変ありがとうございました。
昨年は3月末でスギ薬局を定年退職いたしました。でもまだまだ燃え尽きていない、いやまだまだ勉強不足なので勉強したいし、若い薬剤師の皆さんに伝え足りないことがまだまだ多すぎる平田ですから、昨年は目まぐるしい1年になりました。
2020年に熊本大学を定年退職し、日本腎臓病薬物療法学会の理事長も退任し、監事となったため、平田の名前も忘れ去られつつありましたので、1月から若い人にアピールするため、SNSのXとFacebookに薬学的内容をほぼ毎日アップロードしはじめました。3月には合同会社平田の薬剤師塾を設立しました。薬剤師塾を継続したいけれど、スタッフがいないので、師範代を募集し、5人の師範代に仲間に加わってもらい、9月から有料化したオンラインセミナーの平田の薬剤師塾を新たに開講できるようになりました。
今年も以下の師範代とともに新たな情報を得て、それを分かりやすく、薬剤師の皆様に伝えてゆきたいと思っております。新刊書も続々と発行される予定です。
本年もどうかよろしくお願いいたします。乞うご期待!
平田の薬剤師塾師範代(50音順)
・内海沙良(白十字病院 薬剤部)
・須賀秀行(いずみ会北星病院医療技術部薬剤科)
・那須裕之(大阪暁明館病院 薬剤科)
・森住 誠(大野記念病院 薬剤部)
・吉田依里(北海道医療センター薬剤部)
「スタッフ(師範代)紹介」詳細は こちら から
「平田の薬剤師塾」今後の開催予定、過去の開催は こちら から
平田の薬剤師塾塾長 平田純生

透析導入が必要な患者さんはこれから透析が必要と聞くとかなり落ち込む。ある患者さんから聞いたんだけど、医師Aから「週3回1回4時間、実質的には週3回何もできなくなる、穿刺、透析中の低血圧、不均衡症候群、貧血、シャント感染、骨がもろくなる、心不全、カリウム制限、リン制限、水分制限」と言われて死にたくなったそうだ。でもB先生からは「現在ある尿毒症症状、つまり全身倦怠感や食欲不振がなくなって、食事制限・水分制限も楽になるんだ。果物だって食べ過ぎは良くないけど少量ずつなら食べていいんだよ。しかも透析をやっている同じ境遇の友人がたくさんできる。透析って悪くないぞ!」と言われて随分気持ちが楽になったそうだ。確かに導入前と比べて透析すると尿毒素が抜けて、尿毒症症状が軽減し、食欲不振、全身倦怠感もなくなり、食事制限も水分制限も導入前と比べると随分楽になるのは本当のことだ。ただし実感としては腎炎や高血圧の方は透析をすると元気になるけど、その当時は糖尿病の方はすでに合併症が多くてなかなか思い通りにならないことも多かった。だけど僕もB先生の話し方を服薬指導に生かしていた。そうすると本当に透析導入後、「平田さん、あんたの言うように透析して本当に活気が出てきたよ」という患者さんがいるんだ。すべてじゃないけどね。患者さんを落ち込ませるだけの暗い服薬指導はやめよう!
2019年の日本の高血圧ガイドラインは高血圧の定義は140/90mmHg未満(診察室血圧で収縮期140mmHg未満かつ拡張期90mmHg未満で、それよりも重要な家庭血圧は135/85mmHg未満)だが、実質上ほとんどの降圧目標血圧は130/80未満になったのだ。この中で例外的に140/90でよかったのが脳血管障害患者(両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞あり、または未評価)、CKD患者(蛋白尿陰性)、後期高齢者だけに過ぎなかった。しかしこれらは今回の高血圧管理・治療ガイドライン2025では診断の基準値は140/90mmHgでこれまでと変わっていないが、治療の降圧目標がすべての患者で130/80と厳しくなった(図1)。すべての高血圧患者(75歳以上であっても)に対し一律の降圧目標「130/80mmHg未満」としたが、高血圧の基準値は「診察室血圧140/90mmHg以上、家庭血圧135/85mmHg以上」で据え置きとなった。基準値と降圧目標が違うので、ややこしいが、基準値は高血圧と診断される値(140/90mmHg以上)のことで、降圧目標は血圧値をどこまで下げるかという目指すべき値(今回のガイドラインでは患者背景を問わず一律130/80mmHg未満になった)のことだ。降圧目標が一律130/80mmHg未満になったのはわかりやすくするためかもしれない。

また新ガイドラインでは新たに降圧薬が、使い方や特徴によってG1~3の3つに分類された(表1)。G1は降圧治療開始時から使用する主要降圧薬で、長時間作用型ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬、RAS阻害薬、少量のサイアザイド系利尿薬、β遮断薬の4種。JSH2014からβ遮断薬は心血管イベント発症抑制効果が他の第1選択に比べると弱かった、低血糖症状を隠蔽するなどのため外されたが(図2)、2025では特に心不全での有用性が期待できる病態で、あまり使用されていない実態があるので復活したらしい。そして降圧利用の3ステップの2ステップ目、つまりG2降圧薬にARNIとMRAが加わった。


要約すると診断基準は140/90で変わらないが、
(1)患者背景を問わず、降圧目標は一律「130/80mmHg未満」
(2)薬物療法の早期開始、早期ステップアップを推奨(今回新たにSTEP 1から2、2から3へは「できるだけ早期にステップアップ」するよう示された(図3)。)

(3)生活習慣改善の重要性をより強調
ということで2019年までは2019年までは「75歳以上の人は少し緩めに」「たんぱく尿(-)のCKD患者の降圧目標は140/90mmHgで過降圧は腎機能を悪化させる可能性がある」と言われていたが、今回の改訂では75歳以上も「蛋白尿(-)のCKD患者も「130/80mmHg未満」の目標値を一律に当てはめたのはなぜなんだろう。この間にエビデンスレベルの高い論文が出てきたわけではない。逆になんで2019年に分かっていた75歳以上のSPRINT試験におけるフレイル患者のCVDアウトカム(JAMA. 2016; 315: 2673-2682:図4)を2019年には採用せずに、今回になって重要視したんだろう?蛋白尿なしの新ガイドラインの解説を読んでみると(原則個別対応)と書いてあり、蛋白尿なしのCKD患者では低血圧やめまいなどの過降圧の兆候に注意して・・・・、など、その解説の言い訳が長いのなんの。多分、疾患によって降圧目標を変えるとわかりにくいし、「140/90でいいや」と積極的な治療をやめてしまう医師・患者がいることから統一されたのかも。


モーラスⓇテープなどのいわゆるNSAIDsの貼付薬では副作用はどうなのか?これについてはよく質問を受けるので考察してみよう(図1)。胃障害についてはケトプロフェン経皮製剤大量使用(20 mg×8枚/日)による小腸出血が中止後に回復した報告があるし、NSAIDs小腸障害に関してはPPIなどの酸分泌抑制薬の併用は無効だ。2年にわたり治癒が遷延した胃潰瘍が,ケトプロフェン経皮製剤(40 mg×4~6枚/日)の使用中止により2か月後に治癒したという症例があった。モーラステープの経皮吸収率はインタビューフォームによると69.7 %という、経口投与以上ではと思わせる高さだ。テープを何枚も貼付すると内服薬カプセルの常用量である50mg連続投与時のAUCよりも高くなり、胃への直接刺激がないだけでもましではなく、胃潰瘍の原因になるということだ。ロコアⓇテープでも出血性胃潰瘍の学会報告はあった。

ではロコアⓇテープなどの経皮吸収型NSAIDsで腎障害は起こりうるのか?ロコアⓇテープによるAKIの報告は地方学会レベルの発表が1報、地域の医学雑誌に1報のみあった。またPubMed検索では「Esflurbiprofen patch×AKI」、「Ketoprofen patch AKI」では全くヒットしないが、「Loxoprofen patch×AKI」で76歳の女性でロルノキシカム投与によりネフローゼレベルの蛋白尿を伴う微小変化型の腎炎・間質性腎炎を発症した日本の報告がある。ロルノキシカムの投与によってネフローゼを発症したが、中止により改善傾向だったところ、ロキソプロフェンパッチを投与すると、アルブミン尿が再燃し腎機能が悪化したという報告だ。ただしステロイドなどの治療なしで投与中止のみによって回復している(図2)。さらに同じく日本でNSAIDの経皮パッチ製剤により、急性間質性腎炎および急性尿細管障害が生じたという報告があるが、活性型ビタミンD製剤と市販のCaサプリメントの服用を受けていたというのが気にはなるが、生研で証明された初の急性間質性腎炎の報告らしい(図3)。


ロキソニンⓇパップ2枚を反復投与した時の活性体AUCは内服の37.6%、Cmaxは約20ng/mLとロキソニン錠活性体trans-OH体のCmax850ng/mLのわずか、2.3%しかない。しかし特にアレルギー性の間質性腎炎、免疫系を介した蛋白尿など用量依存的ではないAKIは無視できないように感じた。
結論として高齢者にNSAIDsを使用するともっとも起こりやすい腎前性腎障害はほとんど起こっていない。腎障害が起こったとすればアレルギー性の間質性腎炎か、免疫系を介した糸球体障害だけみたいだ。濃度依存性の腎前性腎障害が起こらない理由はよくわかっていないが、最高血中濃度Cmaxが貼付薬では極めて低いことではないかと勝手に推測している(図4)。もしこれが正しいとすれば、パップ剤のCmaxはテープ剤の3.7%、錠剤の0.68%に過ぎないのだ。ただし貼付薬でもAUCが高くなるものは前述の症例のように消化管障害は起きている。テープ剤に比べパップ剤のほうが吸収率はより高いので、濃度依存性の副作用を起こさないようにするにはパップ剤のほうがより安全だろう。
