SGLT2阻害薬はもともと尿糖排泄を促すことによる血糖降下薬であった。血糖降下作用はそれほど強力ではないし、脱水(4.5%)、性器感染(高齢女性で多く3.8%)、糖尿病性ケトアシドーシス(糖尿病患者のみで起こり0.22%)も起こしやすい(図1)のでDPP4阻害薬などと比べて決して、使いやすい薬ではない。

しかし様々な大規模研究によって透析導入をほぼ40%回避でき、心不全入院・心血管合併症発症をほぼ30%低下させ、全死亡も有意に改善した、今まで予後を改善する治療薬のなかったHFpEF(左室肥大による拡張不全が原因の患者が多いと言われている)も有意に改善した。駆出率に関らず効果を示す薬物がこれまでにあったであろうか?しかも投与初期には利尿作用が認められ、脱水から急性腎障害が増えるという従来薬の常識を覆し、逆に急性腎障害を25%も発症を抑制してくれ(図1)、RAS阻害薬やMRAとの併用による高カリウム血症も防いでくれる。ただし日本の高齢者は痩せがちであるため、投与したくてもできない患者が一定数いることは確かだ(図2)。

でもそれら以外の投与可能な患者さんには投与してほしい。ようやく糖尿病での処方率が上がってきたと聞くが、CKD/DKD、心不全の適応がありながら投与を躊躇している医療者が多いのは残念、というよりこれだけエビデンスのそろった薬を投与しないのはイナーシャ(怠惰)というべきではないだろうか(図2)。日本腎臓病薬物療法学会ではSGLT2阻害薬の効果、副作用とその防止法、シックデイ対策などを若手薬剤師によるワーキンググループが作成した(図3、図4)。これらの内容は秀逸で極めて使いやすいので患者さんの理解度だけでなく、医療者の理解度もアップするはず。学会会員でなくても無料でダウンロード可能だ。平田もアドバイザーとして参加さえていただき、日本腎臓学会の先生方にも査読していただいたのでぜひ活用してほしい。
SGLT2阻害薬患者指導箋(JSNP版) | 一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会

