第26回 基礎から学ぶ薬剤師塾 2023年6月3日(土)13:30から15:30まで の申し込みを始めます。6月第2週は日本腎臓学会のため、6月はいつもの第2週ではなく第1週に開催いたします。
登録していただいた方は再放送を繰り返し視聴できますが、再放送は質疑応答はできかねます。今回のテーマは「CKD患者の血圧・血糖管理~クリニカルイナーシャに陥るな!~」です。イナーシャとは「惰性・怠惰 inertia」のことで、高血圧ガイドライン2019に記載されたことから注目されつつあり、高血圧も高血糖も自覚症状のない疾患のため、治療が十分行われていないことが問題になっています。わが国の高血圧患者は4,300万人で降圧目標を達成できているのは1,200万人のみ。これによって脳卒中・心筋梗塞・心不全・腎不全が発症しているので、高血圧を甘く見てはいけません。またわが国の糖尿病患者は1,000万人を超え、23.4%が未治療、予備軍の4割が未治療なのです。脂質異常症の分野でもイナーシャは問題視されています。
参加を希望される方は 申し込みフォーム に記入のうえ、送信してください。

薬剤師塾となっていますが、医師・看護師など医療従事者であれば参加可能です。ただし薬剤師塾への参加者は、ぜひ学会発表を目指している方に参加していただきたいと思います。そして活発なディスカッションに参加して薬剤師塾を大いに活性化いただける方に参加していただきたいと思っています。300名まで参加可能ですが、最近の登録者数は200名を超えていますので、早めに登録してください。
腎臓病教室 ~検査値と腎機能~
8日目 透析患者Aさんの検査値
~腎機能が低下すると起こる検査値異常や症状(4)~
副甲状腺ホルモン(intact PTH;10~65pg/mL)Aさんは200pg/mL; 透析患者では60~240pg/mL程度の人が多い。
保存期CKDで高リン血症、低カルシウム血症が持続すると、血清Ca濃度を上げるために副甲状腺から副甲状腺ホルモンPTHが分泌される。PTHは骨からCaを動員して血清Ca濃度を正常に戻そうとする(骨吸収: 骨を溶かしてCaを供給する)ので、PTHの過剰分泌が続くとCaが骨から溶出して骨が脆くなる線維性骨炎になる。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
腎臓病教室 ~検査値と腎機能~
7日目 透析患者Aさんの検査値
~腎機能が低下すると起こる検査値異常や症状(3)~
カルシウム(Ca;8.5~10.3mg/dL)Aさんは9.3mg/dL: 透析導入前CKDでは高リン血症の影響によって7.5~9.0mg/dLと低め、透析患者では9mg/dL台でCa剤や活性型ビタミンDを新規投与しない限りあまり変動しない。
血清中のCaの50%はアルブミンと結合し、非結合型のCa2+が生理機能と関係している。血清Ca濃度は血液pHと蛋白濃度、副甲状腺ホルモン、ビタミンD、カルシトニンなどによって影響を受け、腎尿細管におけるCa再吸収調節と骨での形成・吸収によるCaの調節により恒常性が保たれている。
アシドーシスではイオン型が増加し、アルカローシスでは結合型が増加する。また血清アルブミン濃度低下に伴い総Ca濃度が低下するため血清アルブミン濃度が4g/dL以下では この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
腎臓病教室 ~検査値と腎機能~
6日目 透析患者Aさんの検査値
~腎機能が低下すると起こる検査値異常や症状(2)~
ナトリウム(Na;136~145mEq/L)Aさんは136mEq/L:透析患者では135~140mEq/L程度であまり変化しないが、溢水によって135mEq/Lのやや低めの稀釈性低ナトリウム血症気味になることがよくあるが、この場合、体中総Na含量は増えていることが多いのでNa輸液はしない。
細胞外液中の陽イオンの約90%を占め、血漿浸透圧を主に構成する主要な陽イオンであるため、血清Na濃度異常は血漿浸透圧異常を伴う。そのため血漿浸透圧を簡単に予測する方法は2×血漿Na+(血中ブドウ糖/18)+BUN/2.8で計算され、正常値は285±5mOsm/Lとなる。Naは水の分布、酸塩基平衡の維持にも重要な役割を持つ。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
腎臓病教室 ~検査値と腎機能~
5日目 透析患者Aさんの検査値
~腎機能が低下すると起こる検査値異常や症状(1)~
腎臓の機能が低下すると本来の機能である「体液の恒常性維持」ができなくなる。それによって高窒素血症、具体的には血清クレアチニン、尿素、尿酸濃度が上昇し、高カリウム血症、高リン血症とそれに伴う低カルシウム血症などの電解質異常が起こる。
腎臓には以下の機能もあるので、 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
腎臓病教室 ~検査値と腎機能~
4日目 CKDの問題点について知ろう
~日本と米国ではCKDの問題点が異なる~
GFRと並んで重要な検査指標がアルブミン尿・蛋白尿である。アルブミン尿は糖尿病患者のみ保険適応のある検査なので、非糖尿病CKD患者では蛋白尿を測定する。これらの蛋白質が尿中に多く出れば出るほど、腎機能は早く悪化するし、心血管病変リスクも高くなる。前述のGFRも低ければ低いほど、心血管病変リスクも高くなる(前回の図2)。腎臓病は心血管病変の最大のリスクという発見は21世紀になって、循環器医たちによって発見された。それまでは慢性腎不全chronic renal failureといっていた病名が2002年に幅広く、一般人でも理解できやすい名称の慢性腎臓病(CKD: chronic kidney disease)という概念が提唱されるようになった。図1を見るとeGFRが低下すればするほど、そしてアルブミン尿が高度であればあるほど、心血管死亡のハザード比が高くなり、eGFR<60mL/min/1.73m2でかつ、顕性アルブミン尿(図ではmacroalbuminemia)であれば心血管死亡リスクが腎機能正常でアルブミン尿(-)の人と比べて5.93倍になり、腎イベントはなんと22.2倍に急上昇する。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
腎臓病教室 ~検査値と腎機能~
3日目 CKDの基準となる検査値は何? 薬の投与量を決めるための腎機能は何?
1.eGFRはなんでわざわざ1.73m2で除した体表面積補正値で表すのか?
体表面積補正(標準化)糸球体濾過量GFR(mL/min/1.73m2)はCKDの進行度合いを表す指標になる。GFRは90mL/min/1.73m2以上が正常で、60mL/min/1.73m2未満が3か月持続すればCKDだ。これは60点以下だと再試になる日本の大学での試験と似ているのでわかりやすい。30mL/min/1.73m2未満は高度(または重度)腎機能低下で、ここまでくると放っておくと透析導入になるのは必至の慢性腎不全といってよいだろう。そして15mL/min/1.73m2を切ると透析導入か腎移植の必要な末期腎不全と呼ばれる。じゃあなんでGFRはわざわざ1.73m2で除した体表面積補正値で表すのだろうか? この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
腎臓病教室 ~検査値と腎機能~
2日目 腎臓がやっている仕事の限界を知ろう
1日目で腎臓はすごいことができるスーパースターだと思っていないかい?腎臓はとても努力家であって天才ではないのだ。だから何でもできるわけではない。つまり水をいくら飲んでも処理できるわけではないし、塩を無制限に摂取したら、対処できないのだ。腎臓のできる仕事はすごいけれども限界がある。今回はしょっぱなから「腎臓の限界」について知ってもらうためのクイズに答えてもらおう。今日はすべて腎臓に関するクイズだ。
Quiz: 1. 健常者が1L/hrの水を飲み続ければ低Na血症になるか?
育薬に活用できるデータベースの下記の2表を改訂しました。
育薬に活用できるデータベースは登録ユーザーのみ閲覧できます。
未登録の方はユーザー登録をお願いいたします。
1.腎不全・検査値
1.血清クレアチニン値が異常値になりやすい人 改定
26.偽性腎障害原因薬物2 改定
腎臓病教室 ~検査値と腎機能~
1日目 腎臓がやっている仕事
1.腎臓はどんな仕事をしているの?
時々、ラーメンが無性に食べたくなることがある。ほぼ毎日ラーメンを食べる人もいるかもしれないが、健康な人であれば、こんなにたくさんの塩の入ったスープを全部飲んでも高ナトリウム血症になったり、むくんだりしない。日本人のほぼ半分はお酒を飲むと赤くなり、血中アセトアルデヒド濃度が高くなって頭痛や吐き気がしてあまりたくさんのお酒を飲めない。平田もビールは大好きだが顔が赤くなる弱いタイプなので、たくさんは飲めないのだ。これはALDH2の働きが弱い、またはその酵素がないので、採血時のアルコール消毒でも皮膚が赤くなる人などはビールを小さなグラス1杯でも飲めない。小柄な女性でもALDH2の働きが十分あれば、大ジョッキのビール3倍飲んでも平気な人がいる。こんなに飲んでも健康であれば浮腫になることはない。また夏暑いときに大きな西瓜を半分食べたとしても、健康であれば高カリウム血症になることはない。塩の全く摂れない山中で遭難しても、水さえ飲むことができれば通常体型の健常成人は1~2か月は死ぬことはない。
ここで何度も「健康な人であれば」と念を押したのは腎機能が廃絶した人であれば、ラーメンスープを全部飲めば溢水、高ナトリウム血症になるし血圧も上がる。ビールをたくさん飲めば浮腫になり低ナトリウム血症になる。西瓜をたくさん食べれば高カリウム血症によって不整脈を起こして突然死してしまうであろうし、山中で遭難すれば、いくら水があっても尿毒症で死亡してしまう。では腎臓は具体的にどんな仕事をしているのだろう?

2.腎臓は“体液の恒常性(Homeostasis)維持”を司る臓器
水・塩分・電解質などの摂取量(in)は毎日、大きく変動しうるが、腎臓が尿の組成を変化させることによって(out)、体液量,体液の組成をほぼ一定で、狭い正常範囲に調節されている。
① 老廃物・薬物の排泄
② 体内水分を一定に保つ
③ 体液電解質濃度を正常に保つ
④ 血液のpHを7.4に保
これらに加えて以下の3つのホルモン作用も腎臓が関わっているので、覚えておこう。
⑤ 尿細管間質における造血ホルモン(エリスロポエチン)の産生
⑥ ビタミンDの活性化
⑦レニン分泌
ではどうやって①~④の「体液の恒常性を保つ」仕事をし、何のために一見、腎臓とは無関係な⑤~⑦の仕事をしているのであろうか?深掘りしてみよう!
3.糸球体のやっている仕事~腎機能は糸球体濾過量で表す~
左心室内腔から拍出される血液は1回に80mLで、心拍数は60回/分だとすると、80mL×60回で心拍出量はほぼ5L/minと考えられる。その心拍出量のなんと20%もの大量の血液である1.0L/分(60分で60Lだから24時間でほぼ1500L/日)が1個120~130g程度で2個併せても体重の0.5%に過ぎない「小さな腎臓」に流れている。いうまでもなく腎臓は、大量の血液をろ過する必要があるためなのだ。
腎動脈から分かれてきた輸入細動脈から入った血液1,500L/日は糸球体を通る間に50~60mmHgの高い糸球体内圧によって150L/日の原尿を産生し、ボウマン嚢から尿細管に原尿が流れてゆく。原尿産生速度は言い換えれば正常値が100mL/minの糸球体濾過速度(GFR: Glomerular Filtration Rate、つまり腎機能)を表す。イヌリンは100%糸球体濾過され、濾過された量が尿中排泄された量と等しい(つまり尿細管で再吸収も分泌されない)ため、GFRのゴールドスタンダードとされる。
そして薬剤師や医師は腎機能GFRが分からないと、腎排泄性薬物をどの程度減量すべきかが分からない、つまり腎機能低下患者や高齢者で容易に中毒性副作用が起こってしまうので、非常に重要で頼りになる検査値になる。
でも1.5Lの尿を作るのに150Lの原尿を濾過してからまた再吸収なんて無駄な仕事って思っていない?

「腎は尿を作る臓器」だろうか?間違ってはいないが不正確だ。「腎は老廃物や薬物などの不要なものを排泄し、身体にとって必要な栄養素はできる限り再吸収して、体液の恒常性を保つ臓器」が正解としたいと思う。「不要なもの、余剰なもののみの含まれた尿を作るという手段」によって「体液の恒常性を厳密に保つ」目的のために働いている臓器が腎臓といえる。150Lの原尿から1.5Lの尿を作るため、通常の水・Naの再吸収率は99%だけど濾過・再吸収という2段階の仕事をしているため再吸収率を1%から2%にするだけで1.5Lの尿を3Lにすることができるし、0.5%にすることで750mLにすることができる。だから腎機能の良い人はビールを大ジョッキ2杯(1.5L)飲んでも浮腫にならないし、水がなくても脱水で即死することはないが、これは健康な腎臓を持っているおかげなのだ。これは最初の原尿産生量が150Lという大量だから、余裕にできる芸当なのだ。もしも健康な人の原尿産生量、つまりGFRが150L/日から