6日目です。前日のイントロでも触れましたように臨床上、Cockcroft-Gault(CG)式は最も優れたCCr推算式と言えます。ただし肥満患者では腎機能を過大評価するため、薬物投与設計にCG式を用いると過量投与の原因になるため、「肥満患者では理想体重または標準体重を入力する必要がある」というルールを認識していない医療従事者が多いので、これは要注意です。標準体型の方にCG式はそのまま用いて構いませんが、明らかな肥満患者ではCG式には理想体重または標準体重を代入しましょう。
【 鉄則4 】
肥満患者の推算CCr算出のための体重は理想体重または標準体重を用いる。
CG式は薬物投与設計に使えますが、計算式に必要なデータは血清Cr値、年齢、体重、性別だけです。身長が考慮されていないため、肥満患者で体重が2倍になれば腎機能も2倍に推算される欠点があります(図6)。そのため肥満患者では理想体重を用いる必要があります。体表面積未補正eGFR(mL/min)では身長体重が考慮されているため、そのまま使用しても構いませんが、CG法による推算CCrでは理想体重を使用します。
理想体重(男性)=50+{2.3×(身長−152.4)}/2.54
理想体重(女性)=45+{2.3×(身長−152.4)}/2.54
ややこしい式ですので、標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22でも構いません。
eGFR(mL/min/1.73m2)算出に必要なデータはCG式に比しさらに少なく、血清Cr値、年齢、性別だけです。体重も入っていないということは、体が大きい人でも小さい人でも同じ腎機能に推算されるため(図6)、薬物投与設計には使えないことが理解できます。このように体格補正されていないため、薬物投与設計ではeGFR(mL/min)を用いるべきなのです。この式は肥満の影響も受けないためCG式よりも正確度が高いですが、痩せた高齢者では高く推算されることが欠点です。
「今日はここまで、それではまた次回お楽しみに!」