ゴールを設定することができなかった僕の若いころ20200622_1.png
 皆さんはどんな薬剤師になりたいですか?目標はできるだけ高く持った方が高いゴールに近づけると思います。僕の場合、30歳まではつまらない調剤ばかり、服薬指導もできず悶々として薬剤師を本気でやめようと思ったこともありました。あまり夢中になることはできなかったけれど、仕事が終わってからの「血漿中の中分子尿毒素の測定、透析患者の血漿カテコラミン濃度の測定、透析患者の血漿セレンや亜鉛などの微量元素の測定」などの臨床研究で何とかプライドを保っていました。薬剤師としては調剤しかできないフラストレーションがたまっていた状況から解放され、100床以下の小病院でも薬剤管理指導業務が算定できるようになったのが39歳の時ですから、僕は40歳という遅咲きの病棟デビューから薬剤師としての臨床の本当の面白さを知りました。でもその当時の僕には将来の人生を俯瞰できるような高い能力はありませんでした。ただいい薬剤師、高い能力を持った薬剤師になりたかっただけです。だから本を書けたり、博士号を取ったり、教授になったり、学会の理事長や副理事長を務めるなんて目標は全く持っていなかったのです。人生を俯瞰する能力、そしてゴールを設定することができれば、これまでの道のりはもっと楽になっていたかもしれません。でも無我夢中でも前進することができれば、能力がアップすることは確かだし、途中で道に迷ったことも人を成長させてくれるかもしれません。

チャンスは誰にでもある
 薬剤師として全くと言っていいほど活躍できていなかった若いころの僕の前にもいろんなチャンスがありました。それはたまたま僕がラッキーだったからではなく、誰にもあるはずだと思います。院内勉強会やメーカーの方がやってくれる新薬説明会や適応拡大の説明会などもチャンスの1つだと思っています。そういった勉強会で他人が気付かないような意見を言う、説明会でメーカーの人に鋭い質問をする、自分を高めるために気の利いた質問をすることだけでも自分の能力を上げるチャンスだと思っています。そして気の利いた質問であれば院長だけでなく、他のドクターたちも自分の能力を認めてくれるチャンスに変わります。そういった積み重ねがいつか職場でプレゼンをさせてもらうチャンスになるかもしれません。
 11190496_s.jpg今僕はI&H株式会社で毎朝、朝礼に参加していますが、朝礼の担当者は毎日変わります。声が通って、はきはきと話せる人、テキストに書いてあるありきたりのこと以外の自分の感じた一言を聞くと「この人、優れているな」と名前と顔を覚えようと思います。ほんの短いプレゼンでも「できる人」「できない人」の評価(この評価が絶対的とは思いませんが、すぐれていると思われた方が得ですよね)が分かれてしまうのです。だから人前で話をする機会をもらったら、それは大きなチャンスをもらったと思い、どうしたらわかりやすく話させるか、うまく伝わるか、他人と違った独自の自分らしさをアピールするかを準備する必要があります。主体性があるかないかはこんな短いプレゼンだけでも感じ取ることができます。

交友関係も大切
 いつか職場で学会発表などの機会を与えてもらえるかもしれません。そして各地の腎と薬剤研究会や薬剤師会、病院薬剤師会などの講演会で気の利いた質問をしたりすると注目され、いずれ10分程度のプレゼンをさせてもらうチャンスもあると思います。そして院内の勉強会でも外部の勉強会でもなんらかの交友関係が生まれます。自分にとって指導者がいなければ、こんな交友関係からメンターを見つけるのもよい方法かもしれません(僕はドラッグフォーラムオーサカというコアな勉強会に参加することで、上野和行先生というメンターを見つけました。これについてはドラッグフォーラムオーサカの思い出を参照)。でもすべてをメンターにゆだねるのは大学の学生まで。卒業してからは1人の大人としてアイデンティティをもって自分らしさを発揮してもらいたい。これらの勉強会を通じて生まれた知識だけでなく、勉強会後の飲み会での優れた薬剤師と討論したシナジー効果によって、自分1人では解明できなかった部分が交友関係で聞くことのできた一言で一気に解明されることってよくありました。ジグソーパズルの端っこが埋まれば一気に作品完成に近づくのによく似ています。だから勉強会後の飲み会に参加してあこがれの薬剤師と同席してディスカッションできることは自分を高める良いチャンスと思っています。


プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)