NSAIDsによる腎障害 ~Triple whammyを防げ~
28日目 腎機能低下患者には
セレコキシブかアセトアミノフェンか?~UpToDateより~

 14日目にセレコキシブは他のNSAIDsに比し腎機能が悪化しにくい報告が5報、800mg/日の高用量服用でも腎機能は悪化しなかったという報告が1報あることはすでに解説しましたが、2021年10月5日の第6回「基礎から学ぶ薬剤師塾」で「セレコキシブはNSAIDsの中でも腎障害が少ないといわれていますが,RAS阻害薬+利尿薬と同時に併用した場合は,やはり中止またはアセトアミノフェンに変更するべきでしょうか?」という質問をいただきました。その時、平田は腎障害になりにくい報告が6報あり、心毒性が低いことからもセレコキシブは捨てがたいと思いました。ただし、漫然投与は避けたいと思っていますので、可能であれば頓服でと思っていたら、セレコキシブのTmaxは2時間と頓服で使うには長いことが薬剤師塾の質問で判明しました。セレコキシブは効果発現時間が長いのが欠点かもしれません。ロキソニンⓇの活性体trans-OH体のTmaxは0.79hr, カロナールⓇ(空腹時服用)も同じく0.79時間と速やかに吸収されます。セレコシブは頓服ではやや使いにくいので、少し残念!

 ということでUpToDateを調べ、非選択的NSAIDsおよびセレコキシブ、アセトアミノフェンの医薬品情報について調べてみました。 驚くことにセレコキシブの扱いはまたもや他の非選択的NSAIDsと全く同じでした。

以下はセレコキシブに関する記載です。

CCr≧60mL/min
用量調節の必要なし

CCr>30〜<60 mL/min
投与量調整は必要ないが、可能な限り短期間で最小用量を使用する。NSAID以外の鎮痛薬または局所NSAIDの使用が好ましい。腎機能悪化リスクが高い患者、すなわち、体積減少、低血圧、高齢者、または腎毒性薬物の併用での使用を避ける(Baker 2020;KDIGO 2013;専門家の意見)となっている。

CCr≤30 mL/min
急性腎障害のリスクの増加による使用を避ける。NSAIDではなく、他の鎮痛薬(平田注:おそらくアセトアミノフェン、トラマドール、デュロキセチンなど)または局所的なNSAIDの使用が好ましい。しかし代替薬が有効でない場合には患者の選択では、リスクと利益を慎重に評価した後、セレコキシブの使用が考慮される可能性がある。腎機能を頻回にモニタリングをして可能な限り最短期間で最小有効量を使用すること。

非常に慎重を期して使用すべき薬剤と理解しました。

ではアセトアミノフェンはどうなっているかというと

軽度から重度の障害: 投与量調整の必要なし。静注アセトアミノフェンの添付文書では、高度腎障害(CCr≤30 mL /min)の患者では投与間隔を延長すること、1日用量を減じることが記載されています。アセトアミノフェン濃度は上昇し半減期は延長しますが、正常な腎機能患者とほぼ同等である(Berg 1990;フォレスト1982;Martin 1991; Prescot 1989)。グルクロニドおよび硫酸抱合体は腎障害患者で蓄積するが、臨床的効果は不明 (Martin 1991)。

 ということでエビデンスを集約した米国の教科書的なUpToDateによると、腎機能低下時にはセレコキシブよりもやはりアセトアミノフェンを使えということでした。

 

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プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)