11月1日、2日(土日)に虎ノ門ヒルズフォーラムで開催される日本腎臓病薬物療法学会前日の10月31日(金)17:30から20:30までの3時間、前夜祭として恒例の「平田塾」を開催します。

 入場無料、登録する必要はありません。会場に来るだけで、日腎薬に参加しない人でも医療関係者であれば無料で参加できます。先着200名の方にテキストを進呈します。テーマは「薬物動態学を好きになれないあなたへ: 物性から薬物動態を理解してみよう。「動態=薬の顔・特徴」だと思えば動態を知ることが楽しくなるはずだ」です。金曜日なので早退して参加した方がいいかも。

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 大学での講義や教科書には難解な式が並んでいて、「薬物動態学」を好きになれた人はあまりいないんじゃないかな。でも薬の体内での動き、すなわち薬がどのように吸収され、どのような部位にどのような濃度でどのように分布し、どのように代謝され、代謝物の活性強度はどれくらいか、どのように排泄されるのかといった「薬の特徴そのもの」には薬剤師だったら興味があるはずだ。だってこれらを知っているからこそ薬物間相互作用を避けることができ、腎機能に応じた投与設計、高齢者、様々な病態への適正投与が可能になるからだ。その表向きの指標が薬物の血中濃度。この濃度は他の検査値と異なり、時間の推移とともに変化する。だから反応速度論kineticsという意味を持つ薬物動態Pharmacokineticsなんだよね。この知識を身に着けることによって「有効かつ安全な薬物療法の提供=適正使用」に貢献できるようになるはずだ。薬物動態について医師はほとんど学んでいないから、薬剤師こそが患者さんへの薬の有効性・安全性を担保するゲートキーパーになれるんだ。医師の理解できない薬物動態、つまり薬の体内での動きを予測する能力を駆使して、疑義紹介して医師から頼れる薬剤師になり、動態知識を生かして説得力のある服薬指導をすることによって、だれよりも信頼できる薬剤師になってほしい。

 単に薬に関する知識を身に着けた薬剤師が素晴らしいのではない。それだけでは「歩く医薬品集」に過ぎない。薬物動態パラメータをすべて記憶しようとすると、ますます動態を嫌いになってしまうが、「物性」から動態を理解しようとすると、水溶性薬物は一般的に腎排泄されやすく、吸収率は不良で、タンパク結合率は低く、分布容積もクリアランスも低いことに気づく。脂溶性薬物はこの逆なんだというように、系統立てて薬を理解しようとすると、よく分からなかった「薬の特徴」が分かるようになる。例えば向精神薬は血液脳関門を通って効果を示す薬だから脂っぽい構造のものが多いよね。向精神薬で腎排泄されるのはガバペンチノイドやリチウムなど8%しかないので、これらの例外を記憶するほうがずいぶん楽だ。殺菌性の抗菌薬はなぜか腎排泄のものが多い、分子標的薬は腎排泄のものは少ないなど、知らないうちに薬の特徴が分かり動態を好きになれるかもしれない。薬物動態学が大嫌いだった平田だったからこそ、分かりやすく解説できるんじゃないかと思ってる。皆さん、薬剤師は薬の専門家だよね。今回の平田塾では年齢や腎機能、疾患などによる薬物動態の変化や併用薬の影響など、日々の業務で役立つ知識、明日からの仕事に活かせるヒントを掴んでほしい。薬の特性を知っているからこそ、患者さんへの薬の影響を考える力が身につく、薬剤師としての成長につなげることのできる3時間にしたいと思う。ほんとは3時間じゃ足らないので、不足分は各自の自習は必須だよ

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

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