腎排泄性薬物は全体の2~3割を占めるに過ぎないが、抗菌薬の多くは腎排泄性である。抗菌薬以外でもアシクロビルやガンシクロビルなどの抗ウイルス薬は腎排泄性で用量調節を間違えると容易に中毒性副作用をきたしてしまう。殺菌性の抗菌薬は免疫能の低下したCKD患者にはなくてはならないが、これらのほとんどが腎排泄性である。用量依存性の副作用がほとんどないβラクタム系やホスホマイシン、殺菌力の強いアミノグリコシド系、グラム陽性菌にはめっぽう強いグリコペプチド系、濃度依存性の殺菌作用を持つ抗MRSA薬のダプトマイシン、多剤耐性緑膿菌の切り札であるコリスチンなどはすべて水溶性で腎排泄性の殺菌性抗菌薬なのだ(表)。多くが経口薬で抗菌スペクトルが広く殺菌力の強いキノロン系はレボフロキサシンの尿中排泄率が90%と高いことから、腎排泄性のイメージが強いが、基本的には腎嚢胞感染症にも効果的で細胞内寄生菌にも有効な組織移行性の高い脂溶性薬物であり、ノルフロキサシンやレスピラトリーキノロンとして効果の高いモキシフロキサシンのように尿中に排泄されないものもある。一方、オキサゾリジノン系、マクロライド系、リンコマイシン系、テトラサイクリン系、チゲサイクリン、クロラムフェニコールなどの静菌性抗菌薬は脂溶性であり、腎排泄性で静菌性のものはST合剤中のトリメトプリムくらいしか思い当たらない。
詳しくは 第3回:殺菌性の抗菌薬はなぜか腎排泄 を参照してください。
