11月13日(木)開催の、シリーズ③「慢性心不全治療のFantastic Four ってどんなもの?」について以下のような質問をいただきましたので回答させていただきます。


Q.サルコペニアフレイルには避けるということでしたが、腎機能が中等度に低下している非DMの高齢者では、尿糖がそもそもそんなに出ていないと考えると、SGLT2阻害薬はアリなのかとも思えますがいかがでしょうか。CKD患者は心不全ステージAに該当するため、SGLT2阻害薬の推奨対象者というお話があったかと思いますが。

A.SGLT2阻害薬は非糖尿病ではブドウ糖200kcal分が尿中に喪失するだけですが、糖尿病では血糖値に依存してもっと尿糖排泄量が増加しますし、それによってケトン体産生が増えるということは体脂肪・筋肉が消費され、尿中にケトン体が喪失するのでエネルギー喪失はもっと強力だと思います。今回紹介した論文のほとんどが米国のもので、高齢者なのに平均BMIが30前後なので「痩せると楽になる患者さんたち」だと思いますが、日本人高齢者は加齢とともに痩せが顕著になってきますので、やはりSGLT2阻害薬は投与しにくいです。

SGLT2阻害薬は瘦せるからサルコペニアやフレイルには投与しない方がよいだけではなく、この方たちは活動度が低く、要介護度の高い患者さんだということですね。ということは女性では性器感染のリスクも高くなりますし、食欲も低いと思いますので、糖尿病患者ではケトアシドーシスを発症するリスクも高くなると思われます。非糖尿病CKD患者であっても心不全ステージAですから、ガイドライン上では投与できると思いますが、サルコペニアやフレイルを合併した患者ではやはり投与しにくいですが、最終的には主治医の判断になると思います。サルコペニアやフレイルが悪化するリスクよりも腎機能悪化を防ぐベネフィットが高いと判断すれば投与してもよいと思いますが、その後のケア(体重、活動度、性器感染、尿路感染など)は大変になると思います。


Q.SGLT2阻害薬が腎臓の負担を減らすということは、透析患者にも効果(貧血改善効果など)が期待できるのでしょうか? 

A.SGLT2阻害薬がどうやって効いているかについてはさまざまな説があります。僕はケトン体産生による恩恵を受けているという説が、一番説明しやすいので、この説をメインに解説しましたが、貧血改善、長寿遺伝子SIRT1の活性化、尿酸低下作用など様々な説も唱えられていますし、動物を使った基礎研究ではもっともっと様々な説があります。長期透析患者では尿細管が線維化していてほぼ機能していないので、SGLT2阻害薬は無効だと思いますし、貧血改善作用はSGLT2阻害薬よりもESAやHIF-PH阻害薬のほうが強力です。透析患者で使える可能性があるとすれば、透析導入して1~2年、あるいは残腎機能のあるCAPD患者さんだけではないでしょうか。

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

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