2月19日(木)開催の、「糖尿病関連腎臓病DKD/CKD、心不全に対するSGLT2阻害薬~SGLT2阻害薬を徹底的に深堀りしてみよう~」について以下のような質問をいただきましたので回答させていただきます。
Q.とても分かりやすく勉強になりました。慢性心不全に対して使用する場合、ジャディアンス10mgとフォシーガ10mgはほぼ差はないように思えますが、先生の中で使い分け基準がありましたらご教授ください。
また、ずっと飲み続けていくことを考えれば少しでも薬価が安い方でという考えもありなのでしょうか?
A.心・腎保護作用はクラスイフェクトだとはいえ、どれでも同じというとは言い切れません。
ジャディアンス10mgとフォシーガ10mgは各試験の対象患者によって結果に差が出た可能性はありますが、これらには個人的には差がないと思っています。薬価が安い方がいいという考えはありだと思います。
Q.尿量増加が尿糖・血糖が高いほど大きいのであれば、脱水リスクは糖尿病で高く、非糖尿病では低い(利尿剤併用なしであれば)と考えるのですが、学会の指導箋では3疾患で脱水の指導重要度は同じになっています。
どのように考えればよいでしょうか。溢水の是正効果などが関係するのでしょうか。
A.結論:脱水リスクは「糖尿病の方が高く、非糖尿病の方が低い傾向」は概ね妥当だと思いますが、腎機能や併用利尿薬、塩分/水分摂取で大きく変わります。
SGLT2阻害薬の利尿は初期は浸透圧利尿+軽度Na利尿で、尿糖が多い(高血糖)ほど尿量増加が大きくなりやすい一方、時間とともに腎が適応するため尿量は戻ります。
平田の示したスライドにはCKDの適応がなかったころのデータもありますので、糖尿病であっても数日以内に利尿作用は消失しています。
ということで、脱水リスクは「高血糖、尿糖多い、腎機能良好、ループ利尿薬併用」で高まり、「非糖尿病、尿糖少ない、腎機能低下」では相対的に低めにはなると思いますが、実際には大きな差はないと考えます。
Q.SGLT2阻害薬の腎保護作用には腎糖新生に関係してアンモニア毒性を減らすことも寄与しているのではないか?
A.腎糖新生やアンモニア毒性抑制は理論的には腎保護の可能性はありますが、SGLT2阻害薬の作用として考慮している報告はないと思います。
Q.SGLT2阻害薬はなるべく休薬しない方がいいと聞きましたが、具体的にはどのくらいの休薬から影響があるのでしょうか?
A.SGLT2阻害薬の効果発現は他の腎保護薬に比し早く表れ、開始後数週間以内から心不全・腎イベント抑制効果が現れるため、不要な中断は避け、やむを得ず中断してもできるだけ早期再開すべきです。
例えば心不全では統合解析で開始後約26日で有意差が出始めていますので(PMID: 37615988)、通常、4週間おきの診察であれば中断による不利益が患者さんに現れることになると思います。