悪液質、つまりがんなどによる栄養不良状態をカヘキシアと言いますが、これはギリシャ語の「kakos(悪い)」と「hexis(状態)」からきており、英語ではありません。英語でCachexiaの発音はkəkéksiəカケクスィアなので、カヘキシアでは通じません。でもこれはつづりをそのまま読めば、kəkéksiəになるって分かりますよね。
また痛風発作の予防、欧米人に多い家族性地中海熱に使うコルヒチンcolchicineは1820年に生まれた非常に古い薬です。高校生の時に種なし西瓜を作るときに使う薬物だと生物で習いました。この発音はkɑ’ltʃəsìːn カァルチャシィーンで、英国語圏では全く通じません。古い薬だからドイツ語なのかなと思いましたが、ドイツ語ではKolchizinです。由来は調べても分かりませんでしたが、これもつづりをそのまま読めば、kɑ’ltʃəsìːnになりますね。
まだ未解明な情報を捜すのにWebでは様々な文献を閲覧できますが、日本語Youtubeとなると情報量が極めて少なく、内容が偏ったものもあります。医学英語の発音を学ぶために僕が活用しているのは英語版Youtubeです。例えばSGLT2阻害薬の投与によって産生されるケトン体が身体によいのか、悪いのかについてはPubMed検索と同様に「SGLT2 inhibitorと ketone body」でかなり絞れます。「英語のYoutubeが100%理解できる?」って言われるとちょっと厳しいです。90%以上の単語を知らないと全体のことを把握するのはむつかしいのですが、僕は英検準1級を持っていますが、得意な分野でも80%程度しかわからないので、やはり完璧に理解するのは難しいのです。でもYoutubeの翻訳機能を利用すれば、だいたい分かるようになりますし、気楽に聞けます。だから医療英会話が上達するため、というよりも医療英語をどう発音するかが分かるのが、英語版の医療系Youtubeのいいところです。
後編に続く