僕が小学生のころの1960年代に喘息、アトピー、花粉症の子供を見たことも聞いたこともなかった。そして20年後、1980年代に恵まれた僕の2人の子供の同級生の子供たちの約半数がこのようなアレルギーマーチになっていた。このたった20年間に何が変わったのであろうか?
早めに登場した経口抗生剤のアモキシシリン、セファレキシン、セファクロルなどの吸収率は極めて高い。もともとβラクタム系抗菌薬は親水性が高いため、消化管の脂質二重層を通過できないはずだが、立体構造がジペプチド構造に似ていれば小腸上皮細胞に存在するペプチドトランスポータPEPT1の基質としてたまたま認識されて吸収されるからだ。
しかし第3世代セフェムはピボキシル基などをくっつけて脂溶性を高めて無理やり吸収率を上げさせたものばかりだ(図)。外来などの軽症例であればグラム陽性菌に効果のある第1世代抗菌薬が最も使う頻度が高いはずなのに、なぜこんなにたくさんの第3世代セフェムが必要なのかも理解できない。これらの第3世代セフェム系抗菌薬は吸収率が低いことが大問題で、腸内細菌叢が激変することによって今までは起こることのなかったアレルギー性疾患が増えてしまったのではないだろうか。これに関しては英国ブリストル大学の報告で2歳までに抗菌薬を投与されていた小児は7.5歳になるまでに喘息(OR1.75: 95%CI 1.40-2.17)を発症する率が有意に高く、2歳までに4回以上投与された場合には、喘息(OR2.82: 95%CI 2.19-3.63)だけでなく湿疹(OR1.41: 95%CI 1.14-1.74)、花粉症(1.60 95%CI 1.21-2.10)などのアレルギー性疾患を発症するオッズ比が有意に高かったことが明らかにされている(表)。
詳しくは ★◆連載◆吸収率の低い第3世代経口セフェムってこんなに必要? 第8回 を参照してください。

