コルヒチンの添付文書には「 肝臓又は腎臓に障害のある患者で、肝代謝酵素CYP3A4を強く阻害する薬剤又はP糖蛋白を阻害する薬剤を服用中の患者には禁忌」とややこしいことが書かれている。わかりやすく説明しよう。
実際にあった香港での有害反応の報告によると1)、「CYP3A4阻害薬剤又はP糖蛋白阻害薬」の正体は、マクロライド系抗菌薬のクラリスロマイシンだ。クラリスロマイシンとコルヒチンの2薬物が同時投与された88名中9名(10.2%)が死亡し、2薬物が時間差投与された28名中1名(3.6%)も死亡した。コルヒチンの尿中排泄率は20%と言われており、腎不全患者で減量する必要はない。しかしコルヒチンはクラリスロマイシンと同様にCYP3A4、P糖蛋白の基質でもあり、阻害薬でもあるから、アトルバスタチンとの併用によって横紋筋融解症が起こったという報告もあるが2)、クラリスロマイシンに比べると非常に低用量なので、コルヒチンの代謝が阻害されて毒性の強いコルヒチン中毒が起こり、下痢や脱毛、そして致命的な汎血球減少によって死亡したと考えられる。コルヒチンには抗がん薬並みの怖い副作用があるので気を付けよう。おそらく腎機能が低下すると、相互作用により肝代謝がほぼ完全に阻害された場合には、わずか20%に過ぎない腎クリアランスがほぼゼロになることによって腎障害がコルヒチンの定常状態濃度の急上昇による致死性中毒の原因になったのではないかと平田は推測する。コルヒチンの尿中未変化体排泄率は実は40~65%という説もある。コルヒチンは痛風発作を予兆したときに効果的なので気軽に投与されるが、耳鼻科などでマクロライドが併用されてたら・・・・・。気を付けましょう!
1)Hung IF, et al: Clin Infec Dis 41: 291-300, 2005
2)Tufan A, et al: Ann Pharmacother 40;1466-1469, 2006


