2025年10月11日 X投稿
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 SGLT2阻害薬は非常に多面的な効果を持っていて(図1)、強力な腎保護作用・心保護作用のどれが主要なメカニズムなのかいまだにわかっていない。これらの中には貧血改善効果、尿酸低下作用などもあるけど同じ作用を持つ治療薬ではこれほどの臓器保護作用は認められないし、利尿作用もあるけど早期だけしか認められないので、これらは主作用じゃない。糸球体過剰濾過を改善することによってアルブミン尿を減らすことによって、腎機能の悪化、心血管合併症の発症を防止するのがメインの作用じゃないかなと思っていた。だけどCANVAS試験、EMPA-REG outcome試験ともに糖尿病関連腎臓病DKD患者のヘマトクリット値の上昇、尿酸値の低下が尿中アルブミン減少よりも腎アウトカムに影響を与えた潜在的媒介変数としてははるかに強力だったという2つの報告がある(図2、図3)。CANVAS試験サブ解析の考察では多変量モデルでは貧血改善と血清尿酸値低下の組み合わせがカナグリフロジン治療効果の103.0%を媒介することも示されている。初期変化は利尿作用による血液濃縮、長期的な変化は腎臓によるEPO分泌亢進を介した造血作用による。つまりDKD患者の慢性的な低酸素状態を改善する作用によると考えられるが、これらの報告ではヘマトクリット値の初期変化は主に尿中Naおよび水分喪失による血液濃縮を反映している可能性が高いが、長期的な変化、主に腎臓によるエリスロポエチン分泌亢進を介した造血作用を表している。通常は4週間くらいかな?それにしてもベースラインのヘマトクリット値が42%未満から増加するとか、尿酸値が5.7mg/dL以上から低下することくらいで腎保護効果に影響を与えるってのはどうも信じがたい(図4)。失礼だが統計上のお遊びのように見えてしまう。

 

 

 

 

 

 「SGLT2阻害薬は利尿作用があるのに急性腎障害を増さなないどころか25%も減らしているのはなぜ?」の1つの回答はSGLTのフル稼働による腎虚血を腎性貧血改善作用によって防ぐ可能性はあって、それが投与初期の利尿作用による血液濃縮が関わっていた可能性はあるかもしれない。フロセミドの利尿は結構、強力で無理やりっぽいけど、SGLT2阻害薬による利尿は溢水を改善したら、抗利尿ホルモン分泌が増加して、過度な利尿を抑えることなどによってうまく調整されているのではないだろうか?

 SGLT2阻害薬のアルブミン尿抑制作用は確かに重要だけど、アルブミン尿抑制作用だけだったらMRAのほうが同等かそれ以上強力なのに、腎保護作用は明らかにSGLT2阻害薬のほうが強力なのは、いまだよくわかっていないその他の多面的な作用によるのだろう。だからヘマトクリットや尿酸という結果は単なる統計上の結果に過ぎなくって、まだまだほかにもあると思うんだよね。

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

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