インタビューフォームで一番、薬剤師として重要な部分はなんといっても「薬物動態」だ。血中薬物濃度の時間的推移が分かるからね。プレガバリンの半減期は6時間程度だから、4~5倍すれば定常状態に達するので、効き始めるのは結構早いよね。300mg投与してピーク濃度が8µg/mLだから、吸収率が100%だとしたら、Vdは37.6L。ということは60kgの男性の体内水分量60%にほぼ等しい水っぽい薬だ、クリアランスも腎排泄性薬物として納得できる小ささ、などいろんなことが分かる。でもプレガバリンを高齢者に投与すると意識消失などの副作用がとても起こりやすい。なんで?
よ~く見てほしい。動態情報を得るための第1相試験の対象はほぼ健常成年男子だ。でも実際にプレガバリンが使われるのは高齢者がほとんどだ。つまり薬剤師は健常者で得られた動態データを実際に投与する患者用に翻訳しなくてはならない!尿中排泄率90%のプレガバリンは腎機能の低下した高齢者では当然、血中濃度は上がるだろうし、加齢とともに筋肉量が減って脂肪に置き換わるから、体内水分量は60%ではなく50%になるので、血中濃度の振れ幅は1.2倍になるはず(定常状態濃度はVdではなくCLによって決まる)。ほとんどが米国で行われた第3相臨床試験データをそのまま日本に持ってきて米国人と同じ用量に設定するのも乱暴すぎる。だって対象をみたら平均BMIが30を超えてることが普通にあるが、日本人高齢者は太れない。これを日本にそのまま持ってくるなんて・・・。

