アシクロビル、バラシクロビルによって呂律が回らなくなって会話が通じなくなる「アシクロビル脳症」を経験したことのある病院薬剤師は結構多いはず。発汗の多い夏には脱水によって腎血流が低下して遠位尿細管や集合管にアシクロビル結晶が析出して腎後性腎障害を発症しやすい。2019年の報告でバラシクロビル・アシクロビル表1赤字)は薬剤性腎障害の原因薬物でNSAIDsのロキソニン・ジクロフェナク(黄色字)を抑え圧倒的な第1位になるほど急増しており(、腎機能が読み取れない痩せた高齢者では腎排泄ではないアメナメビルへの処方変更の提案を考慮した方がよいだろう。
腎機能正常者の糸球体ろ過量は約150L/日だが、尿細管で水や塩、必要な栄養物・ミネラルは再吸収されて約1.5L /日程度の尿量になる。つまり100倍に濃縮されるのだ。アシクロビルは水溶性で腎排泄だが、プリン体骨格を持っているので尿酸と同様、溶解度が低いため、遠位尿細管や集合管でアシクロビルは脱水時には100倍以上に濃縮されて、結晶を析出して尿路を塞ぐ(図1赤丸)。各ネフロンで作られた尿は腎盂に集められ、尿管を通って膀胱に送られ尿道から排泄されるが、これらの結晶によって通り道が塞がれて、尿が流れなくなると腎盂に尿が貯まり、腎臓や尿管が腫れてくる水腎症になって腎機能が低下する(図1左)。薬剤師の皆さん、夏季の飲水励行の服薬指導、しっかりやってる?これについては明日説明しよう。

