カルタンⓇは唯一のCa含有リン吸着薬。2007年にCa含有リン吸着薬群はセベラマー(レナジェル)群に比し、有意に死亡率が高いといわれ(図1)、同様な報告が続いた。カルタンⓇは一番使い方が難しい、一番怖いリン吸着薬と思われている。だけどカルタンⓇは高リン血症かつ低カルシウム血症になりがちな保存期には一番使いやすい薬で価格も安く、上手な使い方をマスターしなければならない薬だ。でも使い方の基本をマスターしていない医療者が多すぎる!
食事をしないときにカルタンⓇを飲むとリンを下げず、血清Ca値が上昇することによって起こる高カルシウム血症は透析患者の血管の中膜の石灰化(血管が骨に変わる!: 図2)を助長するためとても危険なので、「食事をしないときには飲んじゃダメ!」の服薬指導はとっても重要なのだ。リンが高くなく、低カルシウム血症を是正する時には血清Ca濃度を上げるために透析医は意図的に空腹時に投与することもあることも知っておいてほしい。
「カルタンⓇは異所性石灰化の原因になり、Ca非含有リン吸着薬に比べて予後が有意に不良」という常識は、唯一、セベラマーと比較して有意差がついただけで、2015年以降のメタアナリシスでは「これらの報告は異質性が高く、Ca含有剤が本当に有害で、セベラマーが有益という結論には至っていない。ましてや非Ca含有が優れているとは言えない」とされている。「カルタンⓇの死亡率が高い」という研究が行われたときに薬剤師が、「ご飯を食べないときには飲んじゃダメですよ」と服薬指導していたら、カルタンⓇによって予後が悪化する結果にはならなかったかもと思うんだけどね。以上、私論(ぼやきかな?)でした。


