2025年12月17日 X投稿 閲覧者11,531人

 宮崎県の帯状疱疹の調査は、1997年から続く、現在も進行中の世界で最大規模の帯状疱疹の疫学調査であり、帯状疱疹についての基本的情報のほとんどが宮崎スタディによるものだろう。この研究は宮崎県日南市で「医療法人 外山皮膚科」院長で宮崎県皮膚科医会の外山 望先生がご尽力されたとお聞きした。僕は熊本から関西に戻ってきた翌年の2021年に外山先生と一緒にオンライン講演をさせていただいたことがある。

 このような疫学的研究の多くが大学が中心となって行われることが多いが、15年以上にわたり、宮崎県皮膚科医会に属する皮膚科診療所39施設と総合病院の皮膚科7施設を受診した帯状疱疹患者の性別・年齢を月ごとにまとめられたのが宮崎スタディである。1997~2011年までの15年間で宮崎県の人口は約4万5千人(3.8%)減少しているが、帯状疱疹患者数は毎年増加しており、15年間で33.3%増加している。また発症率も38.5%増加していた(図1)。15年間の平均発症率は4.38/千人年であった。興味深いのは水痘の季節性流行ほど明確ではないが、鏡像関係にあり、帯状疱疹は冬に減少し、夏に1.22倍増加する(図2)。おそらくはウイルスが低温で乾燥した環境でより長く生存できることから冬に水疱瘡の発症率が高いため、冬には水疱瘡の子が周りにいるためウイルスによって免疫がブーストされて帯状疱疹を発症しない。そのため逆に夏に帯状疱疹が増えるってことだ。熊本大では夏にバラシクロビルによる急性腎障害が起こりやすい結果を示し、その理由は発汗が増えるため、「こまめな飲水」ができにくい高齢者の腎障害発症が多いという論文が報告されたが(図3)、実は帯状疱疹が夏に多いためにバラシクロビル服用患者が増えただけかもしれない。また外山先生からは2014年の小児の水疱瘡ワクチンの定期接種開始後、お父さん、お母さん世代の若年者の帯状疱疹患者が増えている、50歳以上の患者で急増するということも教えていただいた(図4)。これも水疱瘡の子供がいなくなってブーストされなくなったためと考えられる。宮崎県の帯状疱疹の15年にわたる大規模疫学調査によって得られたものは果てしなく大きい。これをまとめた温和な先生・外山先生と宮崎県皮膚科医会の結束力には大いなる敬意を表したい。どこかの県の薬剤師会、病院薬剤師会がこのようなことをやって論文をまとめてくれたら、薬剤師も医師から大いに評価されると思うのだが・・・・。あまり聞いたことがないのはとっても残念だ。

 

 

 

 

 

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

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