2026年1月30日 X投稿 閲覧者5,021人

 潰瘍性大腸炎、クローン病、大腸がんだけでなく自己免疫疾患やうつ病、自閉症も増えているのは制御性T細胞(T-reg)の減少によるが、T-regを誘導するのが酪酸だ。しかし透析患者では尿毒素産生菌が増加し酪酸産生菌が激減している(図1)。尿毒素蓄積による酸化ストレス・全身炎症、そして腸管上皮細胞の主要なエネルギー源になっている酪酸の減少によってリーキーガット(タイトジャンクションのゆるみ:腸漏れ)が起こる(図2)。そして尿毒素の産生によって腎機能は悪化し、昨日説明したように便秘が原因で起こる腸内細菌叢の破綻もリーキーガットを助長し、「腸内細菌叢の破綻と腎機能の悪化」という腸腎連関が起こる(図3)。

 

 

 

 

 話題を変えるがCRA症候群(Cardia-Renal Anemia syndrome)で最も治療しやすいのは貧血だ。だから貧血を治療すれば貧血→CKD→心不全の悪循環を断ち切れることはよく知られている。腸内細菌叢を改善したり、尿毒素を減らして腸腎連関を断ち切ることは本当に難儀なことだが、便秘は下剤(便軟化剤)によって改善できる。これによって透析患者の様々な悪循環によって発症する致死性の腸閉塞や腸管穿孔を防げるはずだ。ラグノスゼリー、グーフィス、アミティーザ、リンゼス、モビコールなど新しい下剤(便軟化剤)が次々と販売されている。リン吸収阻害薬フォゼベルやの鉄含有リン吸着薬のピートルは下痢しやすい薬なのでこれらもうまく活用して、腸腎連関を断ち切れればいいのだが、「透析患者の便秘に対する薬物療法」について興味を持たない医師・薬剤師が多すぎるのではないだろうか。「たかが便秘じゃないか」と言われることはよくあるが、透析患者の便秘は死亡原因9位(実はもっと高いはず)の腸閉塞の原因になっているだけでなく様々な健康障害を引き起こしている。「たかが」で済まされるような簡単なものではないことを知っていただきたい。

 

 

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

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