2026年2月14日 X投稿 閲覧者9,691人

 SGLT2阻害薬は腎機能が低下した患者には投与しても有害反応が起こるわけではないので禁忌ではない。ただし、腎臓の近位尿細管に作用する薬なので、腎機能が低下すると効かないんじゃないかと考えられていたため、添付文書には「重度の腎機能障害のある患者又は透析中の末期腎不全患者では本剤の血糖降下作用が期待できないため、投与しないこと」と記載されている。

 従来の利尿作用のある薬は、脱水によって腎機能がさらに悪化するとしてFDAは2016年にカナグリフロジンとダパグリフロジンの販売メーカーに対し、急性腎障害のリスクに関する既存の警告を強化するよう発表した。そのため、添付文書には「本剤投与中にeGFRが低下することがあり、腎機能障害が悪化するおそれがある」という記載がある。しかしその後、SGLT2阻害薬は腎前性腎障害を起こすわけではなく、薬剤性腎障害の発症率を25%も低下させることが明らかになった。そのため現在ではSGLT2阻害薬が薬剤性腎障害の原因薬物だという人はほとんどいないはずだ。

 ただし、腎前性腎障害のリスクはゼロじゃない。なぜなら現に脱水はSGLT2阻害薬の3大合併症の1つで、この中で発症率が4.5%と最も高いからだ。「こまめな飲水」はこれらの脱水、性器感染、ケトアシドーシスを防ぐための共通した服薬指導であることは忘れないでね。しかし利尿作用は数日しか続かないし、多くの脱水は利尿作用のある投与初期とループ利尿薬との併用が原因ではないかと平田は考えている。

 ダパグリフロジンのDAPA-CKD試験はeGFR<25mL/min/1.73m2の患者を除外、エンパグリフロジンのEMPA-KIDNEY試験はeGF<20mL/min/1.73m2の患者を除外しているから、ガイドラインではそれより高い腎機能の患者には投与を開始してよいとなっている。そしていったん投与し始めたら、腎機能が急激に低下しない限り(著明なinitial dippingがない限り)透析導入まで続けていい。だってSGLT2阻害薬には腎機能の低下抑制効果が証明されているから。透析導入後にも効果があるかどうかは、試験してみないとはっきり分からない。

 

 

 

 

 

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

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