大阪の腎センター・白鷺病院を2005年9月に退職し、10月から2006年の3月末まで米国オレゴン州立大学およびその近隣病院で臨床薬学教育および臨床研修を体験したのち、熊本に来て10年位なります。
ずいぶん前から熊本には縁が深く、私がほとんど無名のときに講演会の講師として呼んでいただいて以来、何度か講演会や学会、あるいは阿蘇での一泊研修などでもお世話になりました。また逆にあの小さな(たった92床)の白鷺病院に数日以上の研修に来られた薬剤師数も熊本の方が過去最高人数でした。そんなことから熊本には不思議な親近感を感じており、同時に熊本の薬剤師は「熱いなぁ」という好印象を持っていたため、熊本大学の教授就任のお話をいただいたときには非常に感激した覚えが今も残っています。
さて熊本大学に行くことは決まったけれども、私が熊本に来ていったい何ができるだろうか?と自問自答を繰り返し、渡米中も門脇大介助手(前八代総合病院薬剤師)とインターネット電話やメールで連絡を取りながら、どちらからともなく、「今度できるうちの教室が熊本の近隣の薬剤師が自由に出入りできるようなサロンのようになったらいいよね」という話が出たとたん、2人とも興奮して1日に何度もメールでやり取りをし、その「サロン化計画」について夢を語り合ったものでした。薬剤師がある症例への対処に困ったとき、欲しい情報が見つからないとき、学会発表や院内・薬局内プレゼンテーションのやり方やどのような統計手法を使えばよいか迷ったとき、文献のまとめ方や英文抄録の作成に困ったとき、出身大学に関係なく何でも気軽に相談できる場所が近くにあればよいに違いありません。
私自身は教職についたとはいえ30年近く薬剤師をやってきましたし、門脇准教授(当時助教)も同様に8年間薬剤師をやってきました。その経験を生かし、熊本の薬剤師を活性化し、リサーチマインドを持たせて共同研究を展開し、活発に学会発表・文献投稿する薬剤師を育てて行きたいと考えています。でも誤解してもらっては困ります。学会発表や文献投稿する薬剤師だけのためにサロンを作るのではありません。我々自身も薬剤師の刺激を受けつつ前向きに成長して行きたいと考えているため、現役薬剤師との交流は我々にとっても大きなメリットになると考えているからです。そしてその交流によって学会発表、文献投稿する薬剤師が結果的に増えれば、学会で鍛えられ、文献を査読したレフェリーに鍛えられて、薬剤師としての科学的なものの見方、考え方がさらに高度になり、薬剤師としての実力は明らかに向上していくはずです。その結果として「熊本の薬剤師は違うなぁ」と全国の人にうわさされるようになればいいなぁと夢見ています。
現在は毎週火曜日7時半から英語文献を読む抄読会を模擬薬局で開催しています。これは熊本に赴任してから10年続いています。もちろん参加者に制限はありませんので、開局薬剤師、病院薬剤師、薬学研究者あるいは薬学生、誰でも参加できます。「え~!英語論文なんて読めっこない」なんて思っていませんか?英語論文は、文法が簡単ですから専門用語に慣れれば誰でも簡単に訳せるようになりますし、英訳できるようになればPubMedで文献検索することによって最新で的確な情報が得られるようになり、薬剤師の能力も確実にアップします。抄読会は英語論文を読んで最新の情報を得るだけでなく、その論文についてディスカッションをすることによって薬剤師としての科学的な思考能力が高まってきますし、薬剤師同志の交流の場ともなります。将来的には症例検討会も一緒にできるくらい発展していくことを期待しています。現時点では毎回20名前後の参加者(学生だけでなく薬剤師も医師、他教室の教員も参加しています)が、実に和やかに歓談できる抄読会になっています。
当薬剤師サロンは抄読会開催時以外でも基本的に土日以外は夜11時くらいまではいますので「いつでもどうぞ」、と言いたいところですが、2人とも学会出張や休暇をとる場合もありますので、096-371-4856に前もって電話いただければ幸いです。
薬剤師サロンのご案内
場所:〒862-0973 熊本県熊本市大江本町5-1 熊本大学薬学部 臨床薬理学分野
熊本大学薬学部正門のA棟の2階にあります。
スタッフ:平田純生、門脇大介
営業時間:月曜日~金曜日の朝9時より夜11時くらい(アバウトですので、電話096-371-4856 またはE-メールhirata@kumamoto-u.ac.jp で要予約)
得意分野:二人とも臨床の腎臓についてはめっぽう強いですが、漢方薬、抗がん剤など、正直、苦手な部分も多くあります。
抄読会のご案内 詳細はコチラ
毎週火曜日夜7時半より模擬薬局で開始、育薬フロンティアセミナーになることもありその時は宮本記念館で開催します。参加は全く自由で当日の飛び入りも歓迎です。