僕はその後、英検準1級を取得したものの、 実は英字新聞も満足に読めないし英語の小説も読めない、映画やテレビドラマも字幕がなければ完全には理解できない。プロ野球のヒーローインタビューで元大リーガーたちの話す英語は80%分からない(関係ないけど嫁の故郷、鹿児島の高齢者同士の会話は95%分からない)。149703552_s.jpgラミレス前横浜監督の英語はネイティブスピーカーじゃなかったのでほぼ100%分かったけど。だけど医学論文だけは辞書なし、もちろんgoogle翻訳なしで理解できるし、国際学会に行っても、スライドがあれば日本語と全く変わらず理解できるようになったし、英語で質問もディスカッションもできるようになった。普通の英米人と話していても医学英語に関しては僕の方がはるかによく知っていた。これは半年のオレゴン州立大学での生活で伸びたのではない、まさに23歳の時にやった毎日、論文を訳してきた経験によるのだ。
 今回、伝えたいことは、どうやったら英語が上達するのかではなく、どうやったら、自分に自信を持てるかという1例を若い人たちに知ってもらいたかった。そして、なにかを極めるためには努力じゃない。だって努力はつらいもの。つらいことは続けられないし、無理したら心を病んじゃう。ドキドキワクワクしながら夢中になってやることは自分を信じられないくらいに変えてくれる。でもちょっとだけ好きになる努力は必要だ。だから患者さんを好きになれない人、薬に全く興味のわかない薬剤師は早く転職したほうがいいとも思っている。いつも僕がいつも言うように「オタク」は天才に勝てるのだ。まさに23歳の時、夢中になってやっていれば、頭が多少悪くても何かができるんだ、ということをつかんだターニングポイントだったと思う。今井眞一郎教授の講演を聞いてこの時のころのことを思い出した。

後日談
 結局、「中分子量物質が尿毒素」というのは完全な眉唾だった。今は誰もこの研究に関わっていない。僕はこの学会発表をするまでに、元気な人ほど中分子量物質濃度が高いという気がしてならなかった。はその当時、僕の作ったスライドだが、20210617_1.pngピークa~cあたりが中分子領域といわれていたが、Bёrgstromに言わせると、これが高くなると尿毒症性の心不全で死亡しやすいと言っていたが、僕の測定結果では元気な人ほど高かった。BёrgstromやManの言っていることと全く異なったデータしか得られなかった。中分子量物質の正体が何だったのかよくわからない。ひょっとしたら下条文武先生が発見したβ2ミクログロブリンだったのかもしれないが、元気な人ほど食べているから、低分子蛋白やペプチド(微量のホルモンではなく栄養素としてのペプチド)などの濃度が高かっただけではないかと僕は思っている。この研究は1回の学会発表で終わったけれど、終えて良かったと思っている。なおこのころから10数年後、MacのPCが医学界を席巻するまでのスライドはすべて手書きだ。20210617_3.png20210617_2.pngロットリングペンと製図用テンプレートを使って描いていた。すべて英文なのは格好をつけているんじゃない。薬剤師の研究に病院がお金を出してくれないから、自分で一番安上がりのスライドを作らなくっちゃいけない。ドクターはラフデザインを描くだけで天満橋にあるスライド屋さんが作ってくれ、病院がその代金の数万円を立て替えてくれていたが、薬剤師の僕たちは和文発表なのに、すべて英語で書かれたスライドを使わざるを得なかった、昭和の時代のことである。


プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)